アンダー・ザ・ブラック・サン #3

日本語版公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「そこには何が」「……」ユカノは悔しげに首を振った。「わかりません。ですが、むやみに暴いてよいものではない筈」「封印があるのなら……」「ええ。健在ならば」ユカノは肩をすくめた。「少なくとも以前の来訪時は無事でした。鉄釘を見つけた私は不安を感じ、封印が衰えていない事を確かめた」41

2014-06-22 22:05:27
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

その時である!「確かここに……」呟きながらテントに入り込んで来た者あり!ニンジャではない。ディプロマットは躊躇なく、男の進行方向に両手をかざす。男は超自然の穴をくぐり、「アイエ」消失した。ディプロマットは両手を握り込むと、そこにはもう、なにもない。ポータル・ジツである! 42

2014-06-22 22:20:41
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「弟の元へ送りました」ディプロマットが言った。「インタビューさせますが……此奴らの母体がギルドならば、モータルが重大情報を握っているとは考えにくい。おそらく山岳ガイドないし小間使いの奴隷の類い。期待はできません」「そして、ニンジャは今の罠にはかからないでしょうね」「恐らく」43

2014-06-22 22:26:54
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「便利なものですね」「お互い近くに居ますから」ディプロマットは言った。「シュラインを確かめますか?」「……」ユカノは思案し、やがて言った。「最悪の事態を想定しておきましょう。そしてどのみち、今から我々がシュラインに降りたところで、何ができるでもない。この野営地を探るのが先決」44

2014-06-22 22:38:37
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ユカノは懐から鉄釘を取り出して見せた。既にこの品については一行に説明を済ませてある。世界を周り、数箇所で同様の痕跡を見出す中で、彼女はある程度の推論を立てていたのだ。「これはおそらく転送装置の類いです。この釘と、漢字サークルが必要となる。彼らは再び釘を打ち込んだのでしょう」45

2014-06-22 22:50:55
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ユカノはマキモノを次々にあらためてゆく。「わざわざこの難所へ戻り、おそらく、再び鉄釘を打ち込んだ……そして大勢を呼び込んだ。たいした執着です。彼らはこの地を始めとして、世界各所に同様の仕掛けを残し、転送のしるべとしている。しかし今は彼らの求める物よりもまず、大本の正体を……」46

2014-06-22 22:57:55
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ユカノは言葉を切った。「何です?」ディプロマットはテント内の虚空一点を見つめていた。「ランチハンド」彼は呟いた。「奴も生きていたか!」視線の先に、鬼火めいた赤い火が生じていた。火は手脚を生やし……「外へ。急いで!」ディプロマットはユカノの手を掴み、テントの外へ走り出た。47

2014-06-22 23:08:26
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(さっきの奴はやはり詳しくない。要領を得ないんだよ。やはりニンジャを捕まえてこないと……)アンバサダーの声がディプロマットのニューロンに響いた。(兄さん?どうした!)(ランチハンドだ!)ディプロマットは応えた。アンバサダーの緊張が伝わってきた。(見つかったのか)(わからん!)48

2014-06-22 23:12:47
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「GRRRR!」走り出す二人の背後、テントの中から、燃える犬が飛び出し、追って来た。燃える犬、否、火そのものだ。犬の形をとった炎の塊だ!「GRRRR!」「イヤーッ!」ディプロマットは両手を翳した。炎の犬はディプロマットへ真っ直ぐ襲いかかった。そしてポータルに呑み込まれた! 49

2014-06-22 23:19:36
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ユカノはディプロマットと共に庵めがけて駆け出した。かつてフジキドと瞑想した場所だ。「ランチハンドはギルドのマスターニンジャだ。今の魔犬が奴のジツです」「では、見つかった?」「おそらくはまだ!奴は数匹の魔犬を呼び出し、従える。魔犬は嗅ぎなれぬ生命に反応し、ああして現れるのです」50

2014-06-22 23:24:31
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ディプロマットはブッダに毒づいた。「魔犬の護りまで想定できるわけがない……!」別の魔犬が行く手を遮るように出現した。ポータルは自ら当てに行く事ができないジツだ!「イヤーッ!」ユカノはキリモミ回転跳躍し、生じかかった魔犬に空中回し蹴りを叩き込む!「GRRRR!」炎が爆ぜて散る!51

2014-06-22 23:33:10
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だが間髪入れず、更なる魔犬が出現!更にやや離れた位置にもう一匹!「何だ?騒がしいぞ」「トラブルか?」テント群の方向から遠い声!ユカノはカラテを構えた。「覚悟を決めるしかありませんね。使役者を仕留めねば」「このジツがわかるのですか」「不完全ながら、記憶があります」52

2014-06-22 23:41:15
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「アイエッ!これは!」魔犬に包囲される二者を、駆けつけたモータルが指差した。「男に、女です!誰か来てください!私に落ち度はありません!急に現れた!誰か!」「黙らぬか!」ディプロマットが叱責した。当然無意味だ!「誰か!」モータルが逃げ去る!「アオオーン!」魔犬が襲いかかる! 53

2014-06-22 23:47:26
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」ディプロマットが魔犬の横面を殴り、間髪入れずユカノが踵落としでトドメを刺す!「アオオーン!」別の魔犬がディプロマットに背後から襲いかかる!「グワーッ!」ディプロマットの腕に魔犬は燃える顎で喰らいつく!「イヤーッ!」ユカノが魔犬の首を斬り落とす!その手にはサイ!54

2014-06-23 00:00:49
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「GRRRR!」「GRRRR!」更に二匹が虚空より出現!「イヤーッ!」さらに回転ジャンプで靄を越えて推参したのはボロゴーヴ!目を見張る!「何故こんな地にニンジャ……貴様ら……何!?ディプロマット……」「イヤーッ!」ユカノがサイを投擲!「イヤーッ!」ボロゴーヴはブリッジ回避! 55

2014-06-23 00:04:12
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「イヤーッ!」「アオオーン!」ユカノが魔犬を蹴り、「イヤーッ!」「アオオーン!」ディプロマットが魔犬を殴りつける!ボロゴーヴは素早くブリッジから復帰し、その勢いを乗せてアイサツした。「ドーモ。ディプロマット=サン。ボロゴーヴです……ナムサン!ドラゴン・ニンジャ=サンだと!?」56

2014-06-23 00:11:31
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「よくご存知ですね」ユカノは冷ややかに見返し、アイサツを返した。「ドーモ。ボロゴーヴ=サン。ドラゴン・ニンジャです」「ドーモ。ディプロマットです」「ザイバツの大敵!いや、しかし……ウヌッ……」ボロゴーヴはカラテを構えて後ずさり、唐突な大量の情報を処理しようと努めた。 57

2014-06-23 00:13:42
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「貴様らがこの地に何の用だ?」ボロゴーヴは呻くように問うた。ユカノの目が燃え上がった。「恥知らずにも、よくぞ申した!このドラゴン・ドージョーが誰のものと考えておるか、下郎!」「ヌウウーッ」ボロゴーヴは言葉に詰まった。「何処より参った、ボロゴーヴ=サン」ディプロマットが尋ねた。58

2014-06-23 00:23:42
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「我らは……我ら罪罰罪罰罪罰罪罰罪罰「何処より参った、ボロゴーヴ=サン」ディプロマットが尋ねた。「我らは……我ら罪罰罪罰罪罰罪罰罪罰罪罰った、ボロゴーヴ……」ユカノがディプロマットの肩を掴んで制し、言葉を継いだ。「キョート城です。貴方がたはキョート城より来た!違いますか!」59

2014-06-23 00:30:30
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ゴウランガ!虚空より生じた魔犬すらも、今この張りつめた空気をあえて破って襲いかかりはしない!ユカノの眼力がボロゴーヴを貫く!彼女のニンジャ洞察力は気圧されたボロゴーヴの瞳孔収縮から真実を読み取った!「でッ……デアエー!デアエー!」ボロゴーヴは後退しながら叫んだ。「イヤーッ!」60

2014-06-23 00:39:04
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

庵の方向から回転ジャンプで新たなニンジャが推参!ダークイエローの装束を着たニンジャは着地と同時にアイサツした。「ドーモ、ドラゴン・ニンジャ=サン。ディプロマット=サン。ランチハンドです。今の話は聞かせてもらった。イヤーッ!」彼は足元に鞭を数度振るう。新たな魔犬が生じる!61

2014-06-23 00:44:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「かつての所有者が誰であるかなど知ったことではない」ランチハンドは吐き捨てるように言った。「我らの探索行を妨害しに参ったか?ご苦労なことだ。ドラゴン・ニンジャよ、無事に帰れると思うなよ……いわば秘宝が一つ増えた。貴様を召し捕って持ち帰れば、あるじは大層お喜びになるであろう」62

2014-06-23 00:48:40
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ユカノはなおも問おうとしたが、ランチハンドはボロゴーヴのようにはいかなかった。彼は威圧的に鞭を振るい、しもべの魔犬に命じた。「かかれ!」「GRRRRR!」「GRRRRRR!」「アオオーン!」ナムサン!包囲網は今や八匹!それらが一斉に襲いかかったのだ! 63

2014-06-23 00:52:08
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ユカノとディプロマットは炎の犬にカラテで応戦する。「イヤーッ!」「アオオーン!」「イヤーッ!」「アオオオーン!」徐々に苦戦!多勢に無勢か!ランチハンドは腕組みして下がり、ボロゴーヴの傍らに立った。「さて。ここに至る経緯に興味がある」「それは私もだ」ボロゴーヴは答えた。 64

2014-06-23 00:56:37
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「奴らに魔犬は倒せぬ。魔犬は生き物ではない。超自然の存在だ。虚しい努力よ……力を削ぎ、消耗しきったところを捕縛し、ベオウルフ=サンに突き合わすとしよう」「異存なしだ」ボロゴーヴは頷き、二者の苦闘を見守る。やがて彼は眉根を寄せた。「しかしディプロマットとは……フム……弟は?」65

2014-06-23 01:02:25