潜入

リカ=アナグラム @rika_anagram

ここまで来てしまえば勝手知ったる我が家のようなもの。

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闇に目を慣らし、トラップに気をつけながら気楽に進む。

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辺りには人の気配は無かった。

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葛西からの情報によれば、とある財閥の少女がこの学校に通っていたが、 SPだか護衛だかを殺して逃亡したらしい。

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捕まったのかどうかは知らないが、その責任追求はこの学園にも少なからず回ってきた。

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全寮制と言う形で多くの少女達の人格形成の場であったこの学園は、その疑いを受けるすら不味かったのだろう。

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やんごとなき血筋に関係する様々な家からの圧力で潰されてしまったのだった。

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「私と勝負をつけるのにここを選んだセンスはいいですが、甘いですよ…

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沙都子」

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そして電気をつけようとするも、やはりスイッチは反応しない。

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既に電気代を払うものもいないこの学園には電気もガスも水道も何も通っていないのだろう。

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「仕方ないか」

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私は呟き、持ってきた懐中電灯に灯りをともす。

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まずは階段まで進まねば、と行く先を照らす。

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本来ならば招待状にあった通り、寮の正面口から進めば鍵を開けたりする手間もなく入れたのだろう。

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だが待ち受けうるのは沙都子だ。トラップをしかけないはずが無い。

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となれば、相手の思考の裏を掻くしかない。そして選んだのが裏口からの侵入であった。

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「そもそもがふざけてるんですよね。何がにーにーはねーねーには渡さないですわ、よ。悟史君を沙都子に独り占めなんてさせないんだから！！」

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そして招待状の文面を思い出す。

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"はいけい、詩音さん。

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にーにーは詩音さんには任せられません。

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どうしても欲しければりょうの部屋まできてごらんあそばせ。

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ピーエス、にーにーはねーねーには渡さないですわ。

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沙都子より”

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なんで学校の寮なのか、そしてどうやってここに来たのか全く思い出せないし、期にもしていない詩音だったが、気が付いたら学園の前にいたのだった…