艦々これ#2

あっきぃ。@いろいろつぶやくやつ @akkiy_ya

　確かに。 　むしろより気を付けなければならないのは私達の方だろう。 　敵空母にとって、艦載機部隊を運用できない私達は格好の餌だ。 　まずは手痛い一撃を食らわないようにしなくては。 「第一艦隊、輪月島の沿岸部まで近づいて。川内は偵察機の発艦をお願い」 『了解！』 #knknkr

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　川内はカタパルトの軌条に零式水上偵察機を載せ、右腕を正面に伸ばした。 　パシン――ッ。 　軽い炸裂音と同時に押し出された機体は、あっという間に高度を上げて飛び去る。 　金剛の率いる隊からは引き絞った弓から艦載機達が飛び出し、母艦の周囲で隊列を整えつつあった。 #knknkr

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『まずは数を減らしまショウ。敵艦隊もバトルシップばかりではない筈デース！』 「わかってるわ。川内、索敵が成功したら小型の艦を優先して攻撃して」 　積極的に漸減を狙わなければ、敵の包囲網は突破できない。 　睨む空の向こうでは、西日を映す機翼と対空砲火が煌めいていた。 #knknkr

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　初撃を終えた艦載機が戻ってきた。 　その数は飛び立った時よりも明らかに減っている。 『あまり芳しくないですネ。制空権も確保とまではいかなかったようデス』 　深刻さを帯びた金剛の声色に、私も緊張感をひときわ募らせる。 『でも、注意を惹くことはできたようネー！』 #knknkr

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　覗く双眼鏡のレンズに、敵の姿が映った。 　戦艦一隻に空母と軽空母、軽巡からなる機動部隊だ。 　一部の随伴艦を失い再編成したのか、数隻が足並みの揃わないまま進んでいる。 　これは貴重なチャンスだ。上手く突くことができれば、先制して相手を沈められるかもしれない。 #knknkr

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『皆さんいいですカー？　砲撃戦ヨーイ！』 「全艦、魚雷発射用意！　雷撃戦に備えて！」 　金剛と私、それぞれの号令が戦場を飛び交う。 　衝撃、広がる硝煙とともに撃ち出された砲弾。弧を描いたそれが敵艦の船殻に刺さり、貫かれた武装が爆発を引き起こす。 #knknkr

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　それでも敵は無事な方の腕を突き出し、覆う武装殻から報復の弾丸を放つ。 「金剛、回避を！」 『ノープロブレーム、その程度の攻撃は当たらないネー』 　肌を掠めるほどの至近弾を受けながらも、彼女は余裕を崩していない。 　鮮やかに回避機動を取り、二射目の弾薬を装填する。 #knknkr

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『絶対に逃がさないヨー！』 　連動して動く四基の連装砲塔が再び敵を捉えた。 　随伴する他の艦達も、各々の砲を傷付いた敵へと向ける。 『よーく狙って……ファイアー！』 　号令と同時に飛び出した砲弾の雨は、寸分の違いもなく、戦艦と空母に降り注いだ。 #knknkr

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　残った軽巡も航空隊の第二次攻撃によって致命傷を負い、激しく炎上する。 『これでフィニッシュ！　雷撃をお願いシマース！』 　満身創痍の状態で漂う敵艦隊を射程に捉えたまま、金剛は私達に向かって叫んだ。 「川内！」 『任せて。片舷魚雷斉射、てぇ――！』 #knknkr

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　白い航跡を残しながら滑っていく無数の魚雷。 　酸素魚雷でない分気付かれやすいが、あれだけ損傷しているなら回避もできないだろう。 　やがて大きな水柱が上がり、散発的に響いていた砲声も聞こえなくなった。 「敵艦隊撃破を確認したわ。可能な艦は発射管の次発装填を急いで」 #knknkr

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『今ので六隻、駆逐あたりをやってたとしても四、五隻は残ってるね。どうする、提督？』 『残りは強い艦ばかりってめんどくさいなぁ～』 　状況を冷静に見る川内の声と、望月の不満げなぼやきが重なって響く。 　そう、彼らは前衛に過ぎない。　後方にはまだ主力が残っているのだ。 #knknkr