お母さん空母鳳翔【艦これのえほん:第3巻】
鳳翔は航空母艦(空母)です。鳳翔はこの国で初めての航空母艦でした。いえ、それどころか最初から空母として作られた船の中では一番最初に出来上がった船でした。鳳翔から航空機が発着艦した時、この国の海にも航空時代が訪れたのです。
2014-07-05 22:50:50鳳翔は空母の中では一番旧式でした。最初に作られた船だから当たり前なのですが。でも、他の空母たちはみんな鳳翔のことが大好きで、尊敬しています。鳳翔が作られて、実際に動いたデータでみんなが作られたからです。さながらみんなのお母さんのようでした。
2014-07-05 22:52:03そんな鳳翔も艦娘となってこの鎮守府に着任しました。鳳翔は他の空母たちの世話を任せられました。艦載機を動かす妖精さんたちの訓練も鳳翔の役目です。鳳翔はみんなの世話をすることが大好きでした。
2014-07-05 22:52:56ですが、演習以外で実戦に出ることは余りありませんでした。鳳翔は旧式なので戦闘に出てもすぐに被弾してしまいます。それに艦載機の数も少なかったのです。
2014-07-05 22:53:46そんな鳳翔を見て、駆逐艦の三日月はかわいそうだと思いました。三日月は、空母に生まれたならばやはり実戦に出たほうがいいと思っていました。自分もこの鎮守府では旧式の睦月型駆逐艦ですから、そう思うのです。
2014-07-05 22:54:49あるとき、三日月は鳳翔に聞きました。鳳翔はみんなの服のお洗濯をしていました。 「鳳翔さん」 「あら、三日月ちゃん。なあに?」 「今日も演習とみんなのお世話で退屈じゃないですか?」 「あら。どうして?」
2014-07-05 22:56:13「だって鳳翔さん、しばらく実戦に出ていないです……。せっかく艦娘に生まれたのに、演習とお洗濯だなんて……」
2014-07-05 22:58:22三日月はしょんぼりしていました。三日月は"あの戦争"の時、鳳翔と瑞鳳と、夕風で第三航空戦隊を組んでいたのです。待機任務ばかりでしたが、大きな戦いに出撃したこともあります。それなのに艦娘となった今、出撃することは少なくなってしまいました。
2014-07-05 22:59:30鳳翔はしょんぼりした三日月をみてほほえみました。 「三日月ちゃんは心配してくれてるのね。ありがとう。でも、私はちっとも退屈じゃありませんよ」 「でも……」
2014-07-05 23:00:22「実戦に出ているみんなは疲れて帰ってくるんだもの。笑顔で迎えて、せめて母港や泊地だけでも穏やかに過ごしてもらいたいの。そして、妖精さんたちの訓練は、いつか必ずみんなの役に立つわ」 三日月はこれを聞いて、自分が少し恥ずかしくなりました。どんなにちいさな仕事だって立派な仕事なのです。
2014-07-05 23:01:39「それに、いつか実戦に出ることもあると思うの。だから私はそれまで、ちょっとだけお留守番ね」 鳳翔は三日月のあたまを撫でてあげます。三日月はふわふわした気持ちいい感じがしました。三日月にとっても、鳳翔はお母さんのような存在でした。
2014-07-05 23:02:53「さあ、お洗濯物も干したから、晩御飯ね。みんなお腹を空かせているわ。三日月ちゃんも食べます?」 「はい! 鳳翔さんのごはん大好きです!」 「ふふ。ありがとう」
2014-07-05 23:04:29