暗礁艦隊/ZERO 1話

以前やりかけたまま放置してた暗礁艦隊の外伝です。 更新しました。 予想以上に長くなったので分割しました
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CF型マシニーカhir @hir_CF

さて。暗礁艦隊五話も済んだし、こないだの外伝をやるかなー。最初から。 艦これSSなのに艦むすが一切出てこないけどな!(深海棲艦は出ます

2014-07-05 20:33:56
CF型マシニーカhir @hir_CF

―海。見渡す限りの大海原。広がる砂浜。溢れる緑。暮れる夕陽。にぎわう人々。 ここはハワイ。南国の楽園。 香ばしい匂い。肉の焼けるジューシーな音。バーベキュー。囲う男たち。 肉芽焼けるのを待つ彼らの中でもとりわけ巨大なアロハシャツの男―2mは軽い―が、串を手に取る。 #暗礁艦隊0

2014-07-05 20:39:57
CF型マシニーカhir @hir_CF

「うむ。よく焼けておるな!」 アロハ&短パンより皮帯とグレートソード着けて暴れてる方がどう見ても似合っていそうなシュワ似の男―HFO(ひゅーまんふぁいたーおとこ)と仮にしておこう―がガハハと笑う。 それを機に、一同がぐわっと肉へ手を伸ばした。がっつく。子供かお前ら #暗礁艦隊0

2014-07-05 20:43:40
CF型マシニーカhir @hir_CF

彼らは普通の観光客にも見える。 だが、見る者が見れば、誰一人としてただものではない、と気づくであろう。 「くぁーっ!やっぱビールはアメリカのが一番うめえ!」 あんまりお行儀よいとは言えない食べ方をする細見の世馴れてそうな男―シーフとしておこう―は缶ビールに舌鼓を打つ #暗礁艦隊0

2014-07-05 20:49:56
CF型マシニーカhir @hir_CF

「神よ―今日も糧を与えてくださったことに感謝いたします」 祈りを捧げてから肉へと手を伸ばすのは聖者の風格をたたえた男―僧侶としておこう―である。どこか上品な手つきで肉を食べる。服装は普通の観光客と同じだが、やはりただものではありえない。 #暗礁艦隊0

2014-07-05 20:52:44
CF型マシニーカhir @hir_CF

「みんなに気に入ってもらえてよかったよ。私たちの故郷だからな」 ニヤりと笑うのはどこか鋭い瞳ながらも、全体的には不思議な雰囲気を纏った東洋人だ。 彼は泳いできた後なのか、上着に水着といった格好だ。彼こそ魔法使い提督―今はまだ提督ではないので魔法使い―である。 #暗礁艦隊0

2014-07-05 20:55:17
CF型マシニーカhir @hir_CF

「しっかし、見事に溶け込んでんなーお前ら」「まったくだ」 シーフがHFOと僧侶に向けて言うのに魔法使いは同意。 彼らは長い旅をしてきた。永劫とも思えるほど期間をかけた冒険であった。 巨悪と戦い、そして勝利した彼らは身を休めるためにこの地へとたどり着いたのだった。 #暗礁艦隊0

2014-07-05 20:57:59
CF型マシニーカhir @hir_CF

「ま、しばらくは骨休めですね」 僧侶の言葉に一同は笑う。しばらくは働きたくないというのは皆の意見であった。 「しっかし気を付けろよ?パスポート持ってないから警察に捕まったら面倒だぜ?」 「警察?官憲のことか。しかしパスポートとな?」 シーフの言葉にHFOは怪訝な顔。 #暗礁艦隊0

2014-07-05 21:03:51
CF型マシニーカhir @hir_CF

「あー。外国人の身分証明書の事だよ」 シーフが応える。 「解決済みだ。二人には簡単な幻惑の魔法をかけてある。誰何されても向うが勝手に勘違いする」 「へ?なんだよそれ!そんなのあるなら俺にもかけてくれ」 魔法使いに詰め寄るシーフ。 「お前アメリカ人じゃなかったか?」 #暗礁艦隊0

2014-07-05 21:06:21
CF型マシニーカhir @hir_CF

ちなみに魔法使いは日本人であった。 「俺、実は指名手配されてんだよ!な?助けると思って!」 シーフの言葉に一同呆れ顔 「まあそういう事なら構わないが……何やったんだ」 「殺しとクスリ以外は何でも」 「……今後はやるなよ?」 ぶつくさ言いつつ魔法使いが呪文を唱えた #暗礁艦隊0

2014-07-05 21:10:27
CF型マシニーカhir @hir_CF

そうこうしているうちに肉はなくなりビールも消費されていく。 「しかしなんだな。便利な世界だなあここは。しかも平和だ」 プルタブを起こしつつHFO。見る物すべてが珍しそうだ。 「そういえば、このビーチに来る途中で鉄の船を見たが……あれがこの世界の戦船か?」 #暗礁艦隊0

2014-07-05 21:14:06
CF型マシニーカhir @hir_CF

「うん?」 魔法使いはシーフに任せたという顔。 「あー。ありゃミズーリだなぁ。第二次世界大戦……70年くらい前だったっけ。その頃に建造された戦艦だよ」 「ほう。そんなに古い物だったのですね」 感心した顔の僧侶が言う。 「マストがないがありゃ何で動いとるのだ」 #暗礁艦隊0

2014-07-05 21:15:53
CF型マシニーカhir @hir_CF

魔法使いがバトンタッチを受けて説明を続ける。 「そうだな。この薬缶の湯気があるだろう?」 その上にハンカチを垂らすと、湯気の圧力でゆらゆらと揺れた。 「湯気は物を動かす力がある。これをもっと高温にして、熱が逃げないようにしてやると、湯気の力も増す。あれを動かせる」 #暗礁艦隊0

2014-07-05 21:18:34
CF型マシニーカhir @hir_CF

「なるほどなあ。文明の力とは凄まじいもんだ」 蛮人なHFOはしきりに感心。 「さあて。喰った喰った。そろそろホテルに帰ろうぜ。本格的に遊ぶのは明日にしよう」 「ああ」 「えー?もうちょっと遊んでいたいのだが……」 「この国は治安が結構いいんだよ。その代り…分かるな?」 #暗礁艦隊

2014-07-05 21:23:04
CF型マシニーカhir @hir_CF

レンタルのバーベキューセットを片づけると一同は歩き出した。 ―ふと。 視線を感じたHFOは、海の方へ視線をやった。 ―?紅い瞳? ほんの一瞬でそれも消える。 「どうした?」 「いや、勘違いだったようだ」 今度こそ、皆はその場から立ち去った。 #暗礁艦隊0

2014-07-05 21:24:42
CF型マシニーカhir @hir_CF

暗礁艦隊0、冒頭部分おしまいー

2014-07-05 21:25:20
CF型マシニーカhir @hir_CF

霧が出ていた。 視界が制限されれば困るのは半世紀前でも現代でも変わらない。それが最新鋭の装備を満載したイージス艦であってもだ。 艦長は艦橋にあって、警戒を厳重にするよう命じた。 ―と。 「艦長、何かいます」見張り員が叫ぶ。 #暗礁艦隊0

2014-07-06 21:15:17
CF型マシニーカhir @hir_CF

何を見つけた? 「いえ、それが―女が」 女?報告ははっきりせよ。 「女が―立ってるんです。水の上に…」 艦長は双眼鏡を取ると、自らの目で確認した。 ―いる。確かに、いる。水着に上だけ服を羽織っているのか?何か機械を持った女が、水面に確かに立っていた #暗礁艦隊0

2014-07-06 21:18:12
CF型マシニーカhir @hir_CF

いや、水面に立つ女等いるはずがない。視界が悪くて見えていないが、ボートか何かがあるのだろう。 要救助者かもしれない。 艦長は救助活動を命じようとした。その矢先。 女が左腕をこちらに向けた。 機械―あれは砲塔か? 彼は女の一挙一動に目が離せない。 ―波紋が走った。 #暗礁艦隊0

2014-07-06 21:21:31
CF型マシニーカhir @hir_CF

女を中心として、衝撃波が広がる。 いや、それよりも重要なのは、あの砲の向いた先― ―戦闘用意! 対空、とはつけなかった。あれはそういうものとは異なるというのが本能的に分かった。 轟音 #暗礁艦隊0

2014-07-06 21:26:01
CF型マシニーカhir @hir_CF

船内を凄まじい揺れが襲う。 人が、ものが飛び交う。固定されていないすべての物が同じ運命をたどった。 船首から飛び込んだ16インチ砲弾2発は、装甲など施されていない艦体を突き破り、艦尾から抜ける。 爆発。轟沈。 乗員は最後の瞬間まで何が起こったか理解できなかった。 #暗礁艦隊0

2014-07-06 21:27:58
CF型マシニーカhir @hir_CF

これが、この世界の人類の初めて体験する異種知性体―深海棲艦との戦争の始まりであり― そして、新たな冒険の幕開けでもあった。 #暗礁艦隊0

2014-07-06 21:39:16
CF型マシニーカhir @hir_CF

大男が欠伸をしつつ、ホテルのラウンジで新聞を読んでいた。 HFOである。 「よう。何か面白い記事はあるかい?」 シーフの問いかけに彼は 「おお。おはよう。なんというか―面白い記事しかないな。これほどの情報を毎日安価に購入する事が出来るのであろう?恐るべき国であるな」 #暗礁艦隊0

2014-07-06 21:42:43
CF型マシニーカhir @hir_CF

「しかし、今日は朝から妙に肌が泡立っていかん」 「あー。リムパック…えーと、複数の国の艦隊で演習があるらしいのよ。それのせいじゃね?」 「なるほど。それなら妙に雰囲気がピリピリしとるのも納得だが」 雑談している二人の前に、魔法使いと僧侶の姿も。 #暗礁艦隊0

2014-07-06 21:46:45
CF型マシニーカhir @hir_CF

二人は挨拶もそこそこに席に着くと、朝食を取り始めた。 「今日はどうする」 「一度動物組のとこ見に行こうか。その後は…どうせだから記念館とか見てくか?昨日話してた戦争の奴だが」 「おお、面白そうであるな」「私も異存ありません」 魔法使いの提案に戦士と僧侶も同意する。 #暗礁艦隊0

2014-07-06 21:51:23
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