概念探偵A 第一夜【○○は無慈悲な夜の女王 其の一】

艦これの二次創作……?艦これ要素はあまりない。 すべてのはじまり http://togetter.com/li/684008 続きを読む
1
モッズ @moderntimes_ns

◇試作晴嵐◇ ◇第一話◇

2014-07-18 01:03:08
モッズ @moderntimes_ns

◇これからパイロット版めいた何かがはじまる。ニガテな方はミュートやブロック推奨。◇割と即興◇

2014-07-18 01:04:12
モッズ @moderntimes_ns

始め、海の彼方、地平線の向こうにある何処とも知れない邦から、妖精たちがやってきた。 1

2014-07-18 01:04:54
モッズ @moderntimes_ns

彼女たちは人類のそれと異なる技術体系、人々がかつて見切りをつけた旧い科学を独自に発展させた文化と、 ある警告をもたらすためにやってきた。 「敵」の存在を知らせに来たのだ。 しかし当初、彼女たちの言に耳を傾けるものは誰もいなかった。 2

2014-07-18 01:06:49
モッズ @moderntimes_ns

それが始まりだった。 3

2014-07-18 01:07:20
モッズ @moderntimes_ns

やがて、海の底から「敵」が来た。 「妖精」たちが報せたように、それは海を荒らし 船舶を襲い 陸に揚がり 地球の総てに牙を剥いた。 4

2014-07-18 01:08:15
モッズ @moderntimes_ns

ここに来て自らの過ちを悟った人類は、教えを齎した妖精と手を組み、抗うための戦いを始めた。 護るための戦い。選ばれたのは、数多くの少女たちと、僅かばかりの男たちだった。 5

2014-07-18 01:10:04
モッズ @moderntimes_ns

人類はあるときは教えに従い、あるときは知恵の働くまま、抗うための剣を作った。 6

2014-07-18 01:10:26
モッズ @moderntimes_ns

こうして、戦いが始まった。世界中の海が赤く染まり、昏く沈み、嘆きに包まれた。 7

2014-07-18 01:11:07
モッズ @moderntimes_ns

それから…………それから、長く激しい戦いのすえ、人類は遂に「敵」を退け母なる星を護ることに成功した。 8

2014-07-18 01:11:55
モッズ @moderntimes_ns

長い戦いに終止符が打たれ、人々が歓びの渦にあった中、妖精たちは人知れず姿を消した。 9

2014-07-18 01:13:05
モッズ @moderntimes_ns

ただひとつ、災厄の種を残して。 10

2014-07-18 01:13:27
モッズ @moderntimes_ns

ぼくはいま、彼女に誘われるままに夜の公園へと向かっていた。 12

2014-07-18 01:14:54
モッズ @moderntimes_ns

手を引かれ、ふらふらと夜の街を闊歩する。 13

2014-07-18 01:15:20
モッズ @moderntimes_ns

ふと少女が振り返り、ぼくに微笑んでみせる。 14

2014-07-18 01:15:57
モッズ @moderntimes_ns

その笑顔を見ただけで、胸の奥を締め付けるような、羞恥の念を伴った、照れ臭い思いが溢れ出して思わず顔を背けてしまう。 15

2014-07-18 01:17:13
モッズ @moderntimes_ns

耳朶に、擽るような少女の笑い声。 嗚呼、幸せとはこういう気持ちのことを謂うんだろう。 16

2014-07-18 01:17:55
モッズ @moderntimes_ns

こみ上げる恥ずかしさと照れ臭さを押し隠し、なんとか少女の方に向き直ってみせる。 彼女は微笑みを浮かべじっとぼくを待っていてくれた。 その事実に尚のこと高揚し、多幸感を覚える。 17

2014-07-18 01:19:17
モッズ @moderntimes_ns

彼女はいろんな感情がごたまぜになったぼくの目をじっと見つめると、満足げに頷き、再度手を引いて歩き始めた。 18

2014-07-18 01:20:11
モッズ @moderntimes_ns

やがて公園に辿り着くと、彼女はそれまで堅く握り合っていた手をするりと引き剥がし、高台へと駆け出して行く。 19

2014-07-18 01:27:07
モッズ @moderntimes_ns

駆け出した彼女は高台の欄干まで一息に乗り越えると、切り立った崖を背にぼくの方へとふわり、と舞うように振り返ってみせ、あの微笑みでぼくを見た。 闇夜を照らす、蛍の光のような儚げで、美しい微笑みだ。 20

2014-07-18 01:42:17
モッズ @moderntimes_ns

いけない。彼女が行ってしまう。どこか遠くへ。引きとめなくちゃ。行かなくちゃ。彼女の招く方へ。 そんな考えが、ぼくの思考を悉く染め尽くした。 崖の先は海であることや、こんな夜更けに少女とふたり、ひと一人いない空間を訪ねていることに少しの違和感も生じなければ、疑念もなかった。 21

2014-07-18 01:53:03
モッズ @moderntimes_ns

ゆっくり、しかし確実に。 夢遊病者のようなおぼつかない足取りで、だが明確な意思を伴って彼女の方へ歩を進めていく。 あと10歩……あと9歩……急がなきゃ。彼女のもとへ。6……もう少し……4……2…… ふたりの距離が、ゼロになる。 22

2014-07-18 01:55:02
モッズ @moderntimes_ns

息を切らすぼくの頬を、彼女の白く、しなやかな手が優しく撫であげた。 恍惚感と多幸感がぼくを満たす。 彼女がぼくの目を上目遣いに見つめる。 ぼくも彼女の目を見つめる。 彼女が微笑む。なんてしあわせなんだろう。 23

2014-07-18 01:56:08