- asagi01dog
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「で、君は君で新しい相手を探しに来たわけか。相変わらずさっぱりしてるね」「そりゃどーも」「でも気を付けた方がいいよ、最近じゃ…」
2014-07-01 21:34:57「ちょっといいですか?」マスターが何か言いかけたところで、誰かが流れを止めた。傍らに現れたのは俺より少し若いくらいのひょろっとした男だった。
2014-07-01 21:37:45マスターに話しかけてると思った俺は、自分には関係ないとグラスを手に席を立ち別の場所へ移動しようとして、しかしその腕を男がしっかりと掴まえた。「貴方に、お話があるんですが」何かを含んだ笑み。俺がよく知る表情だった。
2014-07-01 21:41:19相手を見つけるのは然程難しくはない。何がいいかは知らないが俺のルックスを好いてる奴は多く、よく声を掛けられる。俺さえ頷けば成立する関係、相手の素性は別に興味なかった。俺が満足出来なければ簡単に切り離せばいい。その繰り返し。
2014-07-01 21:50:55それでも過去に俺から切った人間はいなかったように思う。いつだって相手から別れを告げられ、俺の前から去っていく。原因はやはり俺なんだろう。イコールにならない互いの感情。それを求めないから、相手は別の相手を探しにいくしかない。
2014-07-01 21:58:40(なんでもっと簡単にいかないんだ)誰かにこの感情を共有してもらおうとは思わないが、その方が楽なのにとは時々考えてしまう。彼奴が見せた思い詰めた表情は、俺には到底理解出来そうになかった。
2014-07-01 22:04:22バーで話しかけてきた男はかなりの暴力魔だった。ホテルに誘われ行ってみればドアを閉めた瞬間に俺の顔を無言で殴り飛ばしてきた。久々の感覚に男の顔を見上げれば、案の定かなりの興奮状態にあり、既に息が荒くなっていた。
2014-07-01 22:15:56当たりかはずれか、俺にはどちらでもない。「やっぱり涼しい顔してる」男は俺の胸ぐらを掴み、舐め回すように見てそう言った。(あぁ、煙草臭すぎてちょっとはずれだな)
2014-07-02 12:33:03男は俺の事を知っていた。といっても名前や年齢とかそんな情報ではない。俺が殴られても、傷つけられても平気な奴で、あのバーで相手を探してるという事だ。
2014-07-02 12:36:32マスターがあの時言いかけたのはそんな俺目当てにやばい奴等が集まってきてるから気を付けろ、ということだった。そんな忠告もその時は流していたが、というか寧ろそんな事態を内心喜んでる自分がいた。
2014-07-02 12:40:05「ねぇ、あんたはいつまでそんな顔していられるんスか?今までどんな程度まで味わってきたんスか?」細長い指が殴った頬を擦り、爪を立てた。
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