ブーブス・バンド海賊版「エピソード：愛しのブロンディ」

ブーブス・バンド・ブートレグ @BSSB_bootleg

一方その頃、コンボイトレーラーの即席舞台では、フォクシーがイライラとタバコを吸っていた。「ドールハウスがいねえ」ジェーンがコロナの瓶を握りつぶして言う。「アー！」ブロンディが突然叫んだ。「ファックしたいよー！」「呼びました？」これはシャーリー！だけど……おお、その格好は？　69

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「シャーリー！」舞台の袖から飛び出した妹を見てブシェーミが叫んだ。「そんな格好、お兄ちゃんは許さんぞ！」そんな格好？どんな格好だ？シャーリーは赤毛の三つ編みを解き、ピッチピチの黒Ｔシャツにホットパンツ、カウボーイブーツといったロックスタイル！でも相変わらずメガネがダサい！　70

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「いいじゃん、似合うよ」フォクシーが言う。「ドールハウスはまだか」ジェーンが新しいコロナのフタを歯でこじ開けながら言う。「あ、あたし探してくるね……」ゲッソリ声でブロンディ。「あたしも！あたしもいきます！」シャーリーが手を上げた。「これ以上許さんぞ！」とブシェーミ。　71

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「早くしな。あと十分しかない」フォクシーが新しいタバコに火をつけ言った。「うん、行ってくる」シャーリーに引きずられるようにして舞台を降りるブロンディ。トレーラーの前に集まったブーブス・ファンの視線がブロンディの揺れるおっぱいやお尻にまとわりつくが、気がつく余裕もない。　72

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二人は校舎に入る。「ドールハウスどこー？」「ドールハウスさん？」廊下を呼びかけ進む二人の前に……現れたのは！「グーテンターク！」「アッ、歴史のせんせい！」シャーリーが声を上げる。「それにドールハウスさんも！」「アッ、あんたは！」こちらはブロンディ！「ナチスの人！」　73

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そう、それはナチス美人女将校デジー・シュタッデルマイヤー！じゃっかん乱れたパツパツのスーツ姿の彼女は、こちらはもっと乱れたゴス衣装のドールハウスを従えている。「ブロンディ……」力なく呟くドールハウスは、ベルトで拘束されている……なにかいけないムフフなことがあったのは明白だ！　74

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「あきらめ悪いのはバカなんだよ！」ブロンディが勇ましく言う。「ダッム・キットン。我らのひみつ基地が一つだけだと思った？」不敵に笑い、金縁メガネを投げ捨てるデジー！その手のモーゼル拳銃がドールハウスの頭につきつけられる。「仲間の命が惜しければ、その本を渡しなさい」「本？」　75

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シャーリーが、手にしていた本を胸に抱えた。「これは図書室の本です。これから返しに行くところ……」「それを寄越しなさい！それは……」「ダメよ、渡しちゃ……」ドールハウスが言った。「それは『名前のない宗教』……恐ろしい魔術の本よ！」　76

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「これが？『アンネの日記』じゃないの？」「違うの……その表紙を見て。そこに刻まれているのはエイボン七つの呪いの刻印……フォン・ユンツトの『黒の書』の初版をちゅう実に訳した魔術の奥義……」「シュティッレ！（黙れ）」デジーが叫ぶ！「仲間の命が惜しければ、いうことを聞きなさい！」　77

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「渡して、シャーリーちゃん」ブロンディが言う。「ブロンディさん、でも……」「ドールハウスは大事な仲間、家族なの。家族はたいせつ！」ブロンディの言葉に、シャーリーがはっとした。「家族……そうですね」渋々本を手に進み出た。「ダメよ！」ドールハウスが珍しく叫んだ。その時だ！　78

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「約束を違えてはノイン」ブロンディの背後で声……その頭につきつけられるワルサーＰ38の銃口！誰だ？「アーン、プロフェッサー！」デジーが目をうるませ、パツンパツンのスーツの開いた胸元の谷間をムニュムニュさせて身を捩る。ワルサーの持ち主は……ああ、プロフェッサーＫ！　79

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「いつお着きになって？」「先程だ。すでに会場は押さえてある。忌々しいブーブス・バンドも我らの手中だ」プロフェッサーがガスマスクの奥で笑えば、背後に控えたナチス兵の一団も笑う。「アーン、素敵ですわ！」デジーの芸術的なヒップが揺れる！たいへんだ！ブーブス・バンドのピンチ！　80

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……数分後。静まり返った校庭に集められた学生とその父兄、学園祭のゲストたちが息を飲む。彼らと、そして彼らを取り囲むマシンガンを構えたナチス兵が見つめるトレーラーの特設舞台には、縛られた我らが美女バンドとシャーリー、そしてプロフェッサーＫとデジー！　81

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「グート、グート、今日は良い晩だ！」プロフェッサーが狂った笑いを響かせる！「これから諸君には、素敵な儀式に参加してもらおう！このアメリカをマイン・フューラーの直轄地とするための、地ならしの第一回に！」彼の手には奇怪な紋章の刻まれた『アンネの日記』！なにをするつもりだろう？　82

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「ウーボラー……ボルボルアー……」不吉な呪文を読み上げるプロフェッサーＫ！「ゲルゲルアー……オボルボラー……」静まり返った校庭に不吉な旋律が響き……「いでよ！邪悪なる地下の主人、ツアゾゾソグア！」高らかに叫んだその時だ！空の星が妖しく光り、ズゴゴゴゴゴゴゴ！大地が揺れる！　83

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ブシュー！校庭のそこかしこから吹き出したスモーク状の気体があたりを白く染め……月と星の妖しい光が照らす中……霧めいたスモークの中に浮かび上がる妖しい影！コウモリのような耳ともじゃもじゃの毛を備えた、ヒキガエルみたいな巨大な影は……ああ、スモークが晴れて！　84

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「ウワーッ！」「キャーッ！」「ギャーッ！」観衆が一斉に悲鳴！見ろ！スモークが晴れた校庭には奇怪なそんざいが！毛むくじゃらのヒキガエルに鉤爪をつけたそいつは、おぞましいクッキーモンスターみたいな怪物だ！見てられない！「グート！グート！」プロフェッサーが狂った笑いを上げた！　85

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「ワッツ、あれはなに？」縛られたフォクシーが言った。「地下の邪神、ツアゾゾソグアよ……」ぶるぶると震えながらドールハウスがかいせつする。「あんな怪物が自由に歩き回ったら……この世はおしまいよ！」「ファック！」ジェーンがもぞもぞと動くが、怪力の彼女にも縄は切れない！その時だ！　86

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「アッ」シャーリーが小さく声を上げた。「シッ！」唇に人差し指をあて言ったのは……ブシェーミ！「お兄ちゃん」「お前も手伝え、シャーリー」ブシェーミは言って、今シャーリーの縄を切ったナイフを差し出す。「この人達だけでも逃がすんだ」「うん！」　87

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「あんた、どうして」「こいつを取りに行ってて、捕まらなかったのさ」フォクシーの縄を切りながら言ったブシェーミが着ているのは……メタリカのＴシャツ！「俺だって……ロックが嫌いなわけじゃないんだぜ」次々と自由になるブーブス・バンド！だが、その時だ！　88

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「ウギャーッ！」「ジーザス！」「助けて！」悲鳴が上がる！「フーアハッハ！ツアゾゾソグアよ！喰らえ！踏み潰せ！ゴッジラのように！」プロフェッサーの哄笑！「アーン、素敵ですわ！」デジーの甘い声！どうした？　89

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トレーラーの前は阿鼻叫喚！不吉な巨大クッキーモンスターめいた邪神が、ハリーハウゼンのダイナメーションみたいな動きで観衆に襲いかかっている！「アーッ！」踏み潰される男！「ギャーッ！」つまみ上げられる生徒！「ヒィーッ！」なぎ倒されるジョックス！ああ、どうなってしまうのか！だが！　90

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ギュワーン！響き渡るギター！デューン！ドゥームライクなベース音！ドラタタタタタ！雷鳴の如きドラミング！「いくよ！シャーリーちゃん！」「はい！」ブロンディとシャーリーの声がスピーカーを響かせ、青いライトが照らしだしたのは……やった！われらがブーブス・バンドの勇姿！　91

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邪神の殺戮を眺めていたプロフェッサーが振り向く！「貴様ら、いつ脱出した！」デジーがモーゼル拳銃を抜いた！「俺さ！」高らかに宣言したのは……メタリカＴシャツを着たブシェーミ！「死ねーッ！」バン！モーゼル拳銃が火を吹いた！「ワッツ……？」倒れるブシェーミの胸に弾痕が！　92

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「イヤーーーーーーーアアアア！」キィーン！シャーリーの悲鳴がハウリング！その時だ！青白い月から差した一条の光が彼女に降り注ぎ、形の定かでないなにかが口に飛び込んだ！その途端、ダサいメガネを投げ捨てるシャーリー！マイクを掴む！「いくぜ、ブーブス・バンド！」叫んだ！　93