14/07/23桜井先生スチパンSS

6
桜井光 @h_sakura

まっすぐに、空へと舞い上がる。風もないのに。携行用の噴進機関がある訳でもないのに。見事なものだ。

2014-07-23 21:25:21
桜井光 @h_sakura

「さあてと……」 もうひとつ紫煙を吐き出して、来た道を戻り始める。路肩に停めたままの相棒が文句を言う前に、乗り込んでやるとしよう。ホテルでゆっくりする暇もなく長距離移動か。と。

2014-07-23 21:29:19
桜井光 @h_sakura

『既に、ライオンズ・ゲート・ブリッジを渡りました。パーク入り口でお待ちしています、マイケル』 流石は相棒。分かっている。このまま一本吸いきるまでゆっくり歩いて向かうとしよう。 『残念ですが、走って下さい』 何?

2014-07-23 21:31:01
桜井光 @h_sakura

ふと──海辺の街路へと自然と視線が向いていた。相棒の声が、視界に現れた異常事態に重なる。 『不明の反応が海中からスタンレーパークに接近しています』「……接近じゃあないな」

2014-07-23 21:32:45
桜井光 @h_sakura

「もう上陸してるぞ、キット」 汚染海水を滝のように滴らせて、街路の煉瓦を砕きながら立ち上がる、大型の何者か。そいつを眺めながら──

2014-07-23 21:34:31
桜井光 @h_sakura

火の点いたままの紙巻きを吐き捨てて、ペンと剣を象ったバッジを装着しながら、真鍮製の腕時計へと叫ぶ。「……ショウタイムだ!」

2014-07-23 21:36:48
桜井光 @h_sakura

何処かで、聞き慣れた蒸気機関の駆動音が響く。そうして──   (了)

2014-07-23 21:37:31