【第二部-拾八】冷たい五月雨の手 #見つめる時雨

時雨 五月雨
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誰かを見つめる時雨 @rainshowers_bot

「ん…あれ…?」 「あ、五月雨。起きちゃった?」 五月雨が瞼を重たそうに開いた。でも僕の声はあまり届いてないようだった。半分寝てる感じだ。 「…夕張…さん…」 「ふふ、ごめんね。僕は夕張じゃないんだ」 寝ぼけた様子の五月雨が可愛くて、思わず笑みがこぼれた。

2014-07-27 00:15:10
誰かを見つめる時雨 @rainshowers_bot

五月雨がまた穏やかな寝息をたて始めた。それを見て、僕は五月雨を座布団に寝かせる。さて、夕立達が来る前に布団を敷いて…そう思って立ち上がろうとしたら、五月雨の左手が僕の浴衣をつまんでいるのに気付いた。…それはとても弱くて、振りほどいてしまえば消えてしまいそうな…そんな力だった。

2014-07-27 00:30:12
誰かを見つめる時雨 @rainshowers_bot

「…夕立達が戻るのを待とう」 僕は五月雨の手に自分の手を添えて、二人が戻って来るのを待つことにした。五月雨の指が、まるで行かないでって言っているように見えたから。…そういえば、もうすぐあの日か…。五月雨、もうキミを置いて行ったりはしないから。僕も皆も…ずっと一緒だよ――

2014-07-27 00:35:09
誰かを見つめる時雨 @rainshowers_bot

ん…朝か。あれ…何だか身体が動かない…。また夕立かな、寝ぼけて僕に抱き付いてきてるのは…って、五月雨…!? あ、そっか、昨日は…でも五月雨にも抱き付き癖あったんだ。知らなかったな…。えっと…離して欲しいんだけど…。

2014-07-27 07:01:12
誰かを見つめる時雨 @rainshowers_bot

「…時雨、夕立が抱き付いてたら放り投げるクセに、五月雨には甘いっぽい…!?」 わ!?ゆ、夕立…!?そんな、誤解だよ…!? 「じゃあ、夕立も抱き付いてもいいよね?」 えええ!?わっ…やめてってば!暑いって!ああ、もう、五月雨も離してくれないし、だ、誰か助けて…。

2014-07-27 07:05:11