集合修習に参加される修習生に向けたメッセージ 中所克博先生のツイートまとめ

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弁護士中所克博 @K_Nakajo

かの和光方面で、ついにウォータースライダーA号が発進したようだ。ヤツが発進したら、もう止める術はない。あれよあれよの間に秋になり、気づいてみたら二回試験。流れに身を委ね、思い切り緊張感を楽しむのが吉。

2014-08-04 20:31:51
弁護士中所克博 @K_Nakajo

和光で確認したいこと。たくさんはない。一つだけ。主張を正確に押え、主張に関係する+と−の証拠を丹念に、重要性を考えながら拾う。その証拠から素直に導かれる事実を押え、経験則で吟味し、最後に主張と結合させて是非を判断する。

2014-08-04 20:38:27
弁護士中所克博 @K_Nakajo

弁護士は刑事も民事も担当する。弁護士が裁判官になったり、裁判官が弁護士になったりする。なぜこんなことができるのか?それは、五者の思考はコアの部分でほぼ同じだから。コアは、またの名を「事実認定(評価)」という。

2014-08-04 20:42:11
弁護士中所克博 @K_Nakajo

Aに代理権がある、これは司法試験の世界まで。キーマンAに代理権があるのか?ここが事実認定の出番。だがドラえもんのタイムマシンはない。過去の足跡を分析し、積み上げ、代理権授与の有無を考える。アピールが弁護士で判断が裁判官という違いだけ。

2014-08-04 20:50:50
弁護士中所克博 @K_Nakajo

Aへの代理権授与の有無が争われているとき、どんな事実があれば代理権を肯定し易くなるか?委任状の存在、Aの言動、Aの社内における地位、過去にAを介して行った合意が確実に履行されたこと、本人の事後的言動などなど。こんなパーツの合わせ技で代理権授与を描き出すのが「事実認定」のイメージ。

2014-08-05 00:08:30
弁護士中所克博 @K_Nakajo

集合修習に臨み、見るもの聞くものを全て食ってやろうと思うと消化不良を起こし、肝心のコアを見失ってしまう。そうではなく、優先順位をつけて集合修習に臨むのが合理的。その手法やメソッドを理解し、不十分でも真似ごとさえできれば、二回試験は必ず受かる。それが”事実認定の手法”だと思う。

2014-08-05 00:13:51
弁護士中所克博 @K_Nakajo

悪い子ちゃんのパターンを呟いてみる。和光での悪い子ちゃん、二回試験との関係で悪い子ちゃんというだけでなく、実務家としても悪い子ちゃんという意味である。もっとも、実務に出、命をかけて事件に向き合えば、そんなミスは犯しっこない。犯してしまうのが和光というバーチャル空間の怖いところ。

2014-08-05 00:19:33
弁護士中所克博 @K_Nakajo

悪い子その1。主張書面を雑に読む子。そんなアホなと笑うなかれ。クラスの何割かはこれに当たる。例えば相殺の抗弁を反訴と取り違えるとか。実務の裁判官なら一発アウトである。思っている以上に主張書面を丹念に読み、両当事者の主張を正確&確実に把握することが全ての出発点である。

2014-08-05 00:23:14
弁護士中所克博 @K_Nakajo

だからといって、主張書面を見た瞬間、要件事実、しかもいわゆる小ブロックを探す目で主張を読むのはブブーッ!そうではなく、大きく、漏れなく主張を捉える。言うなれば、大ブロックくらいの把握で十分。傍聴席の傍聴人に両当事者の言い分と対立点を語って聞かせるかのように、大きく正確に把握する。

2014-08-05 00:26:53
弁護士中所克博 @K_Nakajo

悪い子ちゃんその2。実体法の理解と確認が不十分な人々。これもクラスの何割かにその傾向が見られる。その主張は、民商法のどれを言っているのか?まず条文を想起し、必ず条文を開き、要件と効果を確認する態度が不可欠。この思考ができていなければ、法的主張とはいえない。条文を大切にせよ。

2014-08-05 00:31:17
弁護士中所克博 @K_Nakajo

悪い子ちゃんその3。主張と反論を漏れなく正確に把握したら、必然的に争点が分かる。争点たる主要事実について、証拠により証明されたか否かで訴訟の結果が決まる。だから、記録中の証拠を精査し、その証拠がどの争点(要件)に関係するものなのか、証拠の色分けをする。

2014-08-05 00:34:08
弁護士中所克博 @K_Nakajo

起案の出来が悪いとき、答案構成とともに、使った白表紙記録を見せて貰う。出来の悪い起案の書き手は、白表紙記録が真っ新であることが多い。もしも争点を漏れなく正しく把握し、争点と証拠との関連づけができているなら、その修習生の白表紙記録は相当に汚れているはず。キレイなままであるのが変。

2014-08-05 00:37:43
弁護士中所克博 @K_Nakajo

例えば、要件Aと要件Bが争われ、原告はAとBの2点について証拠を使い積極的論証をしなければならなとする。この状況で白表紙記録を精査するとき、甲1はAの裏付け、甲2はBの裏付け・・・と、争点と証拠とを結びつける。出来る起案の書き手は、白表紙の甲2の頁にBと手書きして汚している。

2014-08-05 00:44:34
弁護士中所克博 @K_Nakajo

悪い子ちゃんその4。よって、もって、結論はダメ。甲○から××の事実が認められるから、○○の結論になる・・・では不足。甲○の証拠から××の事実が抽出できるまでは良い。その事実がなぜその結論を導く要素になるのか?そこを考え、経験則を絡めて書かなければ、紛争当事者は納得してくれない。

2014-08-05 00:47:55
弁護士中所克博 @K_Nakajo

要するに、証拠から事実を抽出しただけで満足し、その事実を吟味せず、吟味のプロセスを起案上にアウトプットせずに結論を導くのは悪い子ちゃん。なぜその事実with証拠からその結論が導き出されるのか、その推論過程までバッチリ起案上に書いてくれよな!こう言いたい。

2014-08-05 00:50:17
弁護士中所克博 @K_Nakajo

中途半端なお利口ちゃんは、「いかに何でも、こんなに基本的で青臭いこと、起案上に書き記さなくても良いよな」と勝手に決めつけ、その事実からその結論が導かれる推論の過程を省略することがままある。これは悪い子ちゃん。紛争当事者のことを失念している。推論過程を示さねば納得は得られない。

2014-08-05 00:53:16
弁護士中所克博 @K_Nakajo

和光方面でウォータースライダーA号が発進したと聞いた。教官と呼ばれたのは遠い遠い過去の話。悪い記憶は消え、バラ色の思い出だけが残り、それも消えてしまったのが今。教官だったことすら忘れがちである。だが、集合修習と聞いた瞬間、フラッシュバックのように過去が蘇った。だから呟いた。

2014-08-05 00:57:23
弁護士中所克博 @K_Nakajo

必ず主張を漏れなく正確に押さえる。その主張と証拠をリンクさせる。証拠から導き出される事実に、経験則を使った評価を加え、その主張(争点)と結合させる。この推論過程を謙虚に、忠実に起案上・答案上にアウトプットする。これこそがコアであり、どの科目も似たり寄ったり。ミッション成功を祈る!

2014-08-05 01:01:09
弁護士中所克博 @K_Nakajo

例えば、建物賃貸借契約における更新拒絶の主張がある事案に出会ったとする。真っ先に借地借家法を開き、28条の条文を確認しただろうか?条文を読み、列挙されている要素に沿って事案の分析を進めたであろうか?クラス75人の中で、条文も見ず感覚的に正当事由の論証を始めるのが約半数もいる現実。

2014-08-05 01:13:16
弁護士中所克博 @K_Nakajo

長粒米のお水(=世間では泡盛と呼ぶらしい)の香りを嗅ぎ、蒸発させながら、和光監獄に幽閉された囚人たる修習生に向けたメッセージを呟いてみた。だが、30度のお水はやけに眠気を誘う。ふと見ると、かなり蒸発してしまっている。もうダメ・・・、布団に急行する。

2014-08-05 01:17:57
弁護士中所克博 @K_Nakajo

一つ補足。訴訟になる事件でワンサイドゲームは少ない。必ず弱点のケアが必要。反論ばかりで自説の論証が脆弱だと困る。自説ばかりで弱点の反論がないのも困る。+の積極展開を8割、−の希釈や排斥を2割くらいの感覚。

2014-08-05 08:50:53