病理医ヤンデル先生による「アレルギーと免疫について」
生命は、「自分とそれ以外」をわけるための仕組みをすごくいっぱい持っています。生命の定義として「自己と非自己の間に境界がある」というのはすごく大事なのです。
2014-08-12 12:34:46「自立増殖する」+「自己を維持する」+「代謝をする」だけだと、たとえば積乱雲とか沼とかも生命になってしまいます。「ここからここまでが確固たる自分」ってのはすごく大切。
2014-08-12 12:35:26「自己と非自己」をわけたら、次に「体の中に入り込んでいいものと入り込んではいけないものをわける」作業が必要となります。外から栄養や水分、酸素は取り込まなければいけないですが、それ以外の夾雑物(きょうざつぶつ)や、さらに「病原体」は敵として排除しなければいけません。
2014-08-12 12:36:27取り込んでいいものとよくないものをわける仕組みとして、生命の体には「免疫」が備わっています。免疫機構とは「敵を攻撃・排除し、敵じゃないものは通す」というシステムです。非常に高性能な関所であります。
2014-08-12 12:37:19「免疫力が落ちるとかかってしまう病気」とはすなわち、「敵が体の中で自由に行動できる状態で起こる病気」です。この最たるものは感染症であり、腫瘍でもあります。病原体や腫瘍が体の中で自由に行動するというのは、「敵軍が自国であばれまわる状態」ですね。
2014-08-12 12:38:26注意が必要なのは、「敵軍が自国であばれまわっている時、それを排除しようと自国の軍隊が国内で発砲してしまうと、それによって自国の領土が荒れてしまう」ことです。ヤブ蚊に刺されて赤くなり、晴れ上がるのは主に「自国の軍隊ががんばりすぎた結果」によります。
2014-08-12 12:39:37そのため、疾病の治療においては「敵を排除する薬と同時に、自国の軍隊をも統制する薬も投与する」ことがしばしば行われます。重要感染症でステロイドを用いるケースというのはつまり、「強すぎる免疫を抑える」ことにあたります。さじ加減がかなり難しいですが、「適切な処置」です。
2014-08-12 12:40:39さて話かわって「アレルギー」です。これは、「敵を排除する機構が強すぎる」ケースにあたります。もっというと、「そこまで厳しく敵を認識しなくてもいいだろう」的な状態です。街を歩いているリーゼントを全員ヤクザと決めつけて発砲するのは危険きわまりないですが、アレルギーとはこれに近い状態。
2014-08-12 12:41:49今回の話で寛容なのは、「アレルギー」は確かに「免疫力の不均衡」によってもたらされるものではありますが、「免疫力をつけるとアレルギーにならない」という言葉はぜんぜん適切でない、ということです。自国の軍隊による過剰な防衛こそがアレルギーのキモですからね。
2014-08-12 12:43:29疾病の治療において、「通り一遍・ひとつの理屈」だけで「この治療はおかしい!間違っている!医師は薬を出してもうけようとしている!」みたいな発言をする人達は99割方、「疾病の原理=病理」がわかっていません。ちゃんと勉強してね。次が最後のツイートで、釣り糸を引き上げます。
2014-08-12 12:44:49「99割方」というのは「10割わかっていない上に、その9.9倍くらい間違った知識を世にひろめようとする迷惑な状態」を端的に言い表したギャグですので、「誤用です!」みたいなリプライは要りません。よろしくおねがいします。
2014-08-12 12:46:09