#完全ノープラン艦これ与太話 【ストラグル・フォア・エヴリフリーツ・ソウルズ】艦ノ章【レイジング・バアル・ゼブル・ディーサイド】 #1~#2

ニンジャスレイヤーをリスペクト重点した艦これファンジンSSです。 第一部最終話となる今回は、複数のエピソードからなる長編を予定しています。 いよいよ最終決戦。 続きを読む
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春魔解丼 @vespiking

「イヤーッ!イヤーッ!」小休止で多少の疲労を抜いた夕立は、同じく息を切らす羽黒、未だ蒼白な顔の阿賀野と共に帝都を駆けていた。『赤レンガ』からの光線。夕立の野生的本能が、危機を知らせていた。「……急ごう。なんだか、やばいっぽい!」 #KZNPLN

2014-08-15 09:03:27
春魔解丼 @vespiking

彼女らの遙か上空で、黒い霧状の影が『赤レンガ』へと向かっていたのを。遙か眼下で、1匹の『白猫』が駆けていたのを。彼女らは気付かなかった。 #KZNPLN

2014-08-15 09:04:54
春魔解丼 @vespiking

#完全ノープラン艦これ与太話 【ストラグル・フォア・エヴリフリーツ・ソウルズ】 艦ノ章【レイジング・バアル・ゼブル・ディーサイド】#1終わり#2へ続く#KZNPLN

2014-08-15 09:05:22
春魔解丼 @vespiking

#完全ノープラン艦これ与太話 【ストラグル・フォア・エヴリフリーツ・ソウルズ】 艦ノ章【レイジング・バアル・ゼブル・ディーサイド】#2 #KZNPLN

2014-08-16 08:04:02
春魔解丼 @vespiking

(これまでのあらすじ:大本営本拠地『赤レンガ』の真の姿、天一号最終決戦兵器を起動し最終戦争勃発を目論む秘密結社『非理法権天』が首魁、戦艦大和。羅針盤妖精・大将イサロク率いる爆撃隊と冥王卯月一派の奈落艦載機郡による集中爆撃を受け、帝都は瓦礫の山に変ずる) #KZNPLN

2014-08-16 08:09:47
春魔解丼 @vespiking

(事態を食い止めるべく出撃した北上らは精鋭部隊と交戦。行く手を阻む浜風と矢矧を撃退し、山城は陸奥を、クリタ・トモナガ両妖精はイサロクを撃破。伊8、磯波、まるゆ、龍鳳の救助に成功し、霧島は秘書艦伊58を殺害せしめた仇敵、大和に単艦決戦を挑む) #KZNPLN

2014-08-16 08:15:44
春魔解丼 @vespiking

(だが、おお、何たる事か!『戦艦の支配』を自称するなんらかのユニーク・ジツにより船体の自由を奪われた霧島は、強制的ドゲザ姿勢で拘束され手も足も出ぬまま、破壊的光線によって一方的敗北!ナムアミダブツ!我らが鎮守府の誇る最強の戦艦ですら歯が立たぬというのか!?) #KZNPLN

2014-08-16 08:19:59
春魔解丼 @vespiking

(それぞれの面々は各々の戦いを終え、ついに『赤レンガ』へと向かう。大和の支配を破らぬ限り、汝らに勝利はない……ブッダ!) #KZNPLN

2014-08-16 08:22:38
春魔解丼 @vespiking

陰惨な破壊的露地を越え、飛龍は伊8と磯波をターミナル近郊の大型ドックへと護送した。ここもまた、ジゴクだ。帝都に最早ヘイヴンは存在しない。2隻はドックの隅で邪魔にならぬよう縮こまり、重傷者順の修復を待った。 #KZNPLN

2014-08-16 08:27:00
春魔解丼 @vespiking

伊8は震えていた。肉体的ダメージはさほどではない。悪鬼めいた飛龍の姿に恐怖していたのだ。飛龍はなにか、自分達を護る為ではなく、もっと別の何かの為に戦っているようにすら見えた。目に見えぬ何かと。薬指の指輪が異常な光を放っていたのを、伊8は鮮明に記憶していた。 #KZNPLN

2014-08-16 08:30:27
春魔解丼 @vespiking

鎮守府へのシンカンセンは現在、寸断されている。公衆電話や携帯UNIX通信機にやかましく怒鳴るヒステリー都民の姿を見るに、連絡網も不通だろう。爆撃隊は見えなかったが、10秒後にドックが健在だと、誰が証明できようか。ここは海中だ。伊8はそう感じていた。 #KZNPLN

2014-08-16 08:33:56
春魔解丼 @vespiking

「はちさん!磯波さん!」不意に飛び込んだ聞き慣れた声が、伊8の精神を暗い海中から引き上げた。美しい紅色のキモノを着た軽空母。龍鳳だ。「龍鳳さん……まるゆちゃんも!よかった、無事だったんだ……!」伊8は僅かな希望に精神をすべて委ねた。すうと気が楽になった。 #KZNPLN

2014-08-16 08:38:17
春魔解丼 @vespiking

青白い顔でおどおどとついて来る小柄な潜水艦を、龍鳳はしっかりと支えながらドックに入った。「まるゆちゃん、もう安全だよ、大丈夫……」「ハ、ハイ……」龍鳳はまるゆを座らせると、一目散に受付へと向かった。「大変なんです!クリタ中将が重傷です!」「アイエエエ政府要人!」 #KZNPLN

2014-08-16 08:41:46
春魔解丼 @vespiking

「私に構うな……!いいから、都民の治療を優先しろ……!我々はプロだ……この程度で死ぬ様な、鍛え方はして、いない……グワーッ!」右肩を喪ったクリタはふらつく足で受付にへたりこみ、激痛を堪えた。「ダメですよ!ちゃんと治療しないと!」「いいから!私に構……グワーッ!?」 #KZNPLN

2014-08-16 08:45:04
春魔解丼 @vespiking

へたりこむクリタを、トモナガが組み伏せた。「な、何を……!」「ダッテメッコラーッ!字読めねえのかオラー!『重傷者から順番』!お前だけ順番無視してんじゃねえぞコラー!他の患者様に迷惑かけんなオラー!スッゾドグサレッガッチェラッコラーッ!」 #KZNPLN

2014-08-16 08:47:44
春魔解丼 @vespiking

上級ヤクザスラングの恫喝をうけたクリタは一瞬怯み、おずおずと立ち上がった。「……すまない」「重傷者1名!右肩がオタッシャ!順番札更新お願いします!」ドック妖精がバタバタと走り回る。「いいから、貴女は黙って治療を受けて下さい。騒いで傷が悪化したら、次の人が遅れる」 #KZNPLN

2014-08-16 08:52:22
春魔解丼 @vespiking

トモナガはそう言うと、龍鳳の甲板へと戻った。「あれ、龍鳳さん……?」伊8が怪訝そうに問いかけた。龍鳳の表情はシリアスだった。「……行かなきゃ。ダメだと思う。私は行く。『赤レンガ』を、止めに行く」「……!無理だよ!アブナイだよ!」「それでも。行かなきゃ」 #KZNPLN

2014-08-16 08:55:04
春魔解丼 @vespiking

「龍鳳、さん……」龍鳳の背後から、怯えた声がした。まるゆだ。「……今日のごはん、カレーソバです……。鳳翔さんと、絶対、美味しく作ってます……。待ってますから……!絶対、絶対、食べに、帰ってきて下さい!」まるゆは腹の底から声を搾った。龍鳳はニコリと微笑んだ。 #KZNPLN

2014-08-16 08:58:10
春魔解丼 @vespiking

「ジャガイモ、大きく切りすぎちゃ、ダメだよ」龍鳳は一言だけ言い残し、ドックの外へ駆けていった。「龍鳳……さん……」伊8は震えながら、だが何も言えなかった。ただ、祈るしかなかった。伊8の心は不安で満たされたが、――それもすぐに終わった。 #KZNPLN

2014-08-16 09:00:19
春魔解丼 @vespiking

「……いいなあ」貸し出し車椅子に座る磯波のぽつりと呟いた一言に、伊8の不安は底無しの恐怖で上塗りされた。時間が止まったようにすら感じられた。何故なら、磯波の声には――。 #KZNPLN

2014-08-16 09:01:49
春魔解丼 @vespiking

羨望やソンケイといった表層を包む感情のさらに奥、微かではあるが、伊8は確かに感じた。磯波の声には――怨みと殺意が、混じっていた。 #KZNPLN

2014-08-16 09:03:50
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