#日刊小説　まとめ　3週間目

りんねさん @tmn15679

83：とはいえ、あまり無茶はしないでほしいものだな。君に何かあれば、『あちらのロンドン』の僕自身に、僕が怒られることになる。 何しろ、向こうの自分自身から、君のことをよろしく頼む、とお願いされていたのだからね。 ホームズの語った内容は、メアリにとっても衝撃的だった。 #日刊小説

りんねさん @tmn15679

ってことで、昨日の分の #日刊小説 はここまでです。引き続き今日の分を書くよ～

りんねさん @tmn15679

84：えーっと、その…… あまりの衝撃的な内容に、メアリは言葉が出ない。それを見てホームズは説明の必要性を感じた。 『あちらの僕』の言葉によれば、『あちらのロンドン』と『こちらのロンドン』は、夢の世界……ドリームランドを通じてつながっているのだそうだ。 #日刊小説

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85：故に君が帰りたいのならば、夢の世界を経由することで『あちらのロンドン』に帰ることもできるのだが、『あちらの僕』は、監視の目が緩むまでしばらくこちらで君のことを世話をして欲しいと、そう言っていたのさ。 ホームズの言葉を飲み込んだメアリが、納得したように頷いた。 #日刊小説

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86：わかりました。しばらくは、このままこちらでお世話になります。 メアリはそういって、深々とホームズに頭を下げた。 さてエスティ、少し懐中時計を見てみようか？ ホームズに言われて、エスティは懐中時計を見る。 あっ……1時と、5分ですね。ホームズ様、これって…… #日刊小説

りんねさん @tmn15679

87：そう。この懐中時計は正常ならば0時から1時の間で揺れ動いている。しかし、1時を超えたら、それは世界が歪み始めた証拠だ。エスティはふと思い立ってゴーグルで歪みを『視て』みた。歪みは、メアリを中心として発生している。 そんな…… エスティの悲痛な叫びがこぼれた。 #日刊小説

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88：メアリは悲劇を識っていた。それ故にその悲劇の発生を防いだが……そのことがわずかながら世界に歪みをもたらす結果となってしまったのさ。 ホームズは淡々と語る。 さて、講義の時間だ。こうした善意でも、あるいは我々が契約によって得た力を行使しても、歪みは発生してしまう。 #日刊小説

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89：さて、歪みは原因となったものを殺害するか、破壊するかによって取り除くことができる。 ですがホームズ様！ エスティが叫ぶ。 そう、今回の歪みの原因はメアリだ。だが、だからといってメアリを殺してしまう訳にはいかない。そのような時は我々が歪みを吸収することで解消する。 #日刊小説

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90：それにはどうすれば良いかを実演したいところなのだが……残念ながら昼のうちにはうまくそれを行うことができない。今から蒸気機関車で帰れば、夜頃にはロンドンに帰れるだろう。警部、あとはお任せしますよ。 マーティン警部に後処理を任せ、ホームズは帰ろうと言った。 #日刊小説

りんねさん @tmn15679

91：ロンドンに帰り着いたら、ホームズはベイカー街遊撃隊の子供たちに1ギニーの特別報酬を支払った。 ありがとう、ホームズさん！ 子供たちが口々に唱和する。そして、子供たちはそれぞれの住処に帰っていった。 それを見送って、ホームズも蒸気自動車を拾いベイカー街へと帰る。 #日刊小説

りんねさん @tmn15679

92：ベイカー街221Bに帰り着いた一行は、ホームズの指示で様々な準備を始めた。ワトソンは手術道具や医薬品をかき集めて室内を消毒し、メアリはホームズが中国から輸入した札を窓やドアに張リつける。そしてエスティは聖ジョージの短剣に祈りを込めた。 #日刊小説

りんねさん @tmn15679

93：準備が整うと、ホームズは咳払いをしてから本棚から取り出した黒い表紙の本を開き、その中身を朗々と読み上げ始める。すると、室内におぞましい気配が集まり始め、やがてホームズの腕の筋肉が盛り上がる。 ジョン、頼む！ ホームズの腕に生えた肉腫を、ワトソンはメスで切断した。 #日刊小説

りんねさん @tmn15679

ということで2日分の #日刊小説 を書きました。 普段はワトソンと呼ぶホームズが、ジョン、とファーストネームのは、多分あまり多くないことだと思います（笑）

りんねさん @tmn15679

ちょっと遅くなったけど #日刊小説 やりまする～

りんねさん @tmn15679

94：ワトソンがメスで切断した、ホームズの腕から生えた肉腫は、何やらおぞましい叫びを上げる。 さらに切断されずに残った部分からホームズの腕に繋がろうと融合し始める。 エスティ！ 聖ジョージの短剣を！！ ホームズが叫び、エスティは聖ジョージの短剣に祈りを込めた。 #日刊小説

りんねさん @tmn15679

95：聖ジョージの短剣が輝くと、ワトソンが切りつけた傷が大きく広がり、肉腫はホームズの腕から完全に分離した。 そして、自身の腕から落ちた肉腫をホームズが踏みつけると、それは何処かへと消え去った。 流石は聖ジョージの加護を受けた短剣だけはある。 ホームズは呟いた。 #日刊小説

りんねさん @tmn15679

96：聖ジョージの短剣には、加護を受けるものの失敗を覆し、成功をさらに拡大させる奇跡が込められている。その奇跡の効果が、ワトソンの切断の威力を高めることとなったのだが、自身の武器についてすら詳しいことを把握していないエスティにはこの時はまだそれがわからなかった。 #日刊小説

りんねさん @tmn15679

ゲーム的な解釈だと ファンブルのペナルティを排除して、成功した場合には達成値にボーナス的なイメージです＞聖ジョージの短剣 #日刊小説

りんねさん @tmn15679

97：ホームズ、今のは一体何なんなんだ？ おぞましい気配が消えた室内に、ワトソンの質問の声がやけに甲高く響いた。 ワトソン、あれはいわば世界の歪みを僕自身が引き受けた結果さ。それより、早く治療をお願いできないかな。いささか気が遠くなってきたよ…… #日刊小説

りんねさん @tmn15679

98：弱々しい声で椅子に座り込むホームズに、ワトソンはまず上腕部を縛って止血し、アルコールを傷口に吹きかけて消毒を行う。 さすがのホームズにも、傷口の消毒の刺激は強かったらしい。肉腫を切り落とされるときには表情一つ変えなかった彼も、その時ばかりは盛大に叫んだ。 #日刊小説

りんねさん @tmn15679

99：そしてワトソンの治療が続き、この時ばかりはワトソンもホームズにアヘンを摂取させて鎮痛剤の代わりとした。 アヘンが効いてきたのかしばらくするとホームズは次第に寝息を立て始めたが、ワトソンは心配気な声と表情で言った。 これはいけない。思ったよりも傷が深いな…… #日刊小説

りんねさん @tmn15679

00：先生、私これから教会に行って来ます。 ワトソンの言葉を聞いて、メアリが決意を込めた視線でワトソンを見ながら宣言した。 こんな深夜にレディに外を歩かせるわけにはいかんよ！ ワトソンは反対を表明したが、メアリの決意は揺るがなかった。 そこに、エスティが口添えする。 #日刊小説

りんねさん @tmn15679

01：先生、私もついていきます。私が女王陛下より授かった短剣があれば、帝都の闇に潜む妖魔とて撃退できましょうし、ホームズ様に万が一のことがあってはいけません。そして何より、この薔薇の紋章をお見せすれば、さすがに彼らでも無碍に拒みはしないでしょうから…… #日刊小説

りんねさん @tmn15679

02：二人のレディにそう言われると、さすがにワトソンの劣勢は明白だった。ワトソンは無理をしないように、危ないことはしないようにと条件をつけて、二人を送り出した。 また、この時メアリは何やら解析機関に読み込ませる、穴の開いた紙束をホームズの本棚から引っ張りだしたていた。 #日刊小説

りんねさん @tmn15679

03：紙束の表紙には、ラブレース伯爵夫人オーガスタ・エイダ・キングと言う著者名があり、タイトルは英語で『ネクロノミコン機械語写本』と書いてあった。 さらにメアリは首から懐中時計をかけた。それ明らかにエスティたちの持つものとは違うが、何かの力を秘めているように見えた。 #日刊小説