日経新聞が2014/08/24付けの記事で嘘を書いている件

(致命的なデタラメの部分)今の制度では裁判官が解雇を無効だと認めても、判決では職場復帰しか命じることができない。労働者がもらえたはずの賃金を受け取るには、判決後にあらためて和解や賠償請求の手続きがいる。 (正しくは)地位確認と賃金請求を同時に行うため判決後に改めて和解や賠償請求の手続きがいることはない。もしあれば弁護過誤のレベル。  また不当な原因で給付しないのは民法536条2項前文によりその義務を免れない。 (関連) 解雇の金銭解決の「日経」記事について 続きを読む
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不当解雇、金銭補償で解決 政府が検討着手

年収1~2年分 主要国と足並み

2014/8/24 1:02
 政府は裁判で認められた不当な解雇を金銭補償で解決する制度の検討に入る。解雇された労働者が職場に戻る代わりに年収の1~2年分の補償金を受け取れる枠組みを軸に検討を進める。労働者が泣き寝入りを迫られる現状を改めつつ、主要国と金銭解決のルールで足並みをそろえる狙いだ。2016年春の導入をめざすが、中小企業や労働組合の反発は強い。実現には曲折がありそうだ。

 厚生労働省は23日までに全国の解雇トラブルに関する実態調査に着手した。同調査をふまえ15年4月をめどに内閣官房、厚労省、法務省が合同で有識者会議を設け、新制度の枠組みを作る。労使の代表が参加する厚労省の労働政策審議会で詳細を詰め、早ければ16年の通常国会で関連法の改正を目指す。

 厚労省に寄せられる解雇トラブルの相談は年5万件。うち裁判にまで進むのは1000件程度で、裁判で判決を受けるのは300件程度だ。今の制度では裁判官が解雇を無効だと認めても、判決では職場復帰しか命じることができない。労働者がもらえたはずの賃金を受け取るには、判決後にあらためて和解や賠償請求の手続きがいる。

 新制度では、労働者側の希望に応じて裁判官が判決時に不当解雇の補償金を払うよう企業に命じられるようにする。年収の1~2年分を補償金としている海外の相場を軸に制度の枠組み作りが進む見通しだ。

 政府調査によると、主要12カ国のうち韓国と日本を除く欧米アジア10カ国では、不当解雇時の金銭解決の仕組みが整っている。日本の制度は「先進国のなかで遅れている」(金銭解決制度に詳しい岡田和樹弁護士)のが実態だ。

 厚労省は「金銭解決制度を作れば労働者の保護につながる」(幹部)とみている。解雇トラブルの補償金の相場は裁判で和解した場合300万円程度との調査もあるが、個々の事例によって千差万別だ。金銭解決制度を導入すれば補償金の目安がはっきりする。労働者は金銭補償を受けて、次の職場に早く移れるようになる。

 具体的な制度作りは難航しそうだ。補償金の目安が年収の1~2年分となれば解雇が多い中小企業の負担が重くなる。水面下では企業規模に応じ目安を設ける案もあるが、経済界が同意するかは微妙な状況だ。労働組合も解雇が増えるとみて反対する公算が大きい。政府は2003年にも金銭解決ルールの導入を検討したが、労使の反発から断念した経緯がある。

 雇用規制の見直しは、海外に比べ遅れが目立つ。厚労省は高度な専門職を対象に労働時間の規制を外す「ホワイトカラー・エグゼンプション」の導入を検討しており、15年の通常国会で法改正を目指す。米国ではすでに管理職を含め2割の労働者に適用されている。

 政府は6月の成長戦略で「透明でグローバルに通用する紛争解決システムの具体化に向けた議論の場を立ち上げる」と明記した。不当解雇の金銭補償制度に慎重だった厚労省も容認姿勢に転じた。

 政府関係者は「新制度は一部の不当解雇だけが対象で、終身雇用を前提としてきた日本の慣行を大きく見直すわけではない」と説明する。こうした理解がどこまで浸透するかが、実現の成否を分けそうだ。
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO76084660T20C14A8NN1000/

解雇の金銭解決とは

2014/8/24付
 ▼解雇の金銭解決 日本の労働法は経営上の必要性がない解雇を禁止している。裁判で「不当な解雇だ」と認定された時に、希望すれば職場に戻る代わりに補償金を受け取れるようにする仕組みを解雇の金銭解決という。裁判の後に金銭の支払いが発生することから「事後型」とも呼ばれる。
 労働者にあらかじめ一定額の金銭を渡せば、正当な解雇と認められるようにするのが「事前型」の金銭解決と呼ばれる仕組みだ。事前型は「金を払えば自由に解雇できる」仕組みになるため、安倍晋三首相は「検討しない」と明言している。
編注:リンクはうまく作動しません。一度テキストエディターなどにコピーして入れてみてください。
http://www.nikkei.com/article/DGKDZO76084710T20C14A8NN1000/?bu=BFBD9496EABAB5E6B39EB888B8A7A0A0B0A1AAABA5B990AB8394B893F9E5B08795AA9390E08AAB90E4959CABBDBB9FE281E1EA8A86E080B5B0969DEAE0A39582B4B4E2A7B4B7B384969D9690A4B3909FB180A1BFEB82E5A0B8BAAA9D87BF95B3B59DA5A7BEA6A697B799F99580939DEAE2A897B7859FEA9DA59688889880A48A9588B3E0E2949EE79D8AA790BAB4BB88E7E2E1E2BFA2E49EA495B8EB83AB93EAB0B798E3FD849B90BF8497EAA385E6E794B9A0E3BB99A5B0B78191969AB6B1838BE5ABE4B4AB85ABE68B94E6E69C9F85918782A58AEABDE09EA5E2EA88E098849E86B1959DA3E5E4A79C97F9A6E298A6BA95909DBE87B9E2A6E4E6B3A8BEB7E28BBF90BAB1A8F9B09DFDB79DBEE684AB828AA4E397889FA099B6E588AA93E796E0BAB0AAB4B08B9BA6BF98F9969AFDB98180BAB79884BB90EBBEFDE7879DA2E694B7E0889DB19FBBA69086E4E2A0A6E598E684A29A9D9FBA94B8A28AA5B7B6B9919A9886FDB7A4ABB59697EF&bv=NDSKDBDGKDZO7608466023082014NN1000\DM1\87f6ec23++++++

弁護士白鳥玲子 @sirarei

「今の制度では裁判官が解雇を無効だと認めても、判決では職場復帰しか命じることができない。労働者がもらえたはずの賃金を受け取るには、判決後に、あらためて和解や賠償請求の手続きがいる」って日経新聞が書いてるんだけど、そんなことないんだけどなnikkei.com/article/DGXLZO…

2014-08-24 20:44:58
弁護士白鳥玲子 @sirarei

(承前)日経新聞の不当解雇金銭解決の記事の引用部分は、「労働者側は反対してるけど、実は労働者側にも有利な面があるよ」という文脈で書いているんだけど、完全な誤りなんだよね。読者へのミスリードを誘うためにわざと間違えて書いていたりして(怖

2014-08-24 21:01:04
ささきりょう @ssk_ryo

日本経済新聞の記者さんへ。嘘を書いてはいけませんよ。→「今の制度では裁判官が解雇を無効だと認めても、判決では職場復帰しか命じることができない。労働者がもらえたはずの賃金を受け取るには、判決後にあらためて和解や賠償請求の手続きがいる。」 nikkei.com/article/DGXLZO…

2014-08-24 21:45:17
ささきりょう @ssk_ryo

書いた記者さんは不勉強にもほどがあるね。こういう記事を通しちゃうデスクも何を考えているのかな。多分、「わざと」なんだろうけど、いい加減、そういうやり方はよした方がいいね。

2014-08-24 21:47:08
ささきりょう @ssk_ryo

一応、解説すると、解雇の無効を争う場合は、「地位確認」と「賃金請求」をセットで行います。地位確認は、「今も私は御社の従業員であります」という請求です。他方、賃金請求は「御社の従業員でありますので給料を払え」という請求です。

2014-08-24 21:49:15
ささきりょう @ssk_ryo

ここで、「解雇されている間は働いてないじゃん」→「だから給料ないじゃん、ノーワークノーペイじゃん」というのが、先ほどの嘘の記事を書いた日本経済新聞の記者さんの頭の中ですね。ここで民法536条2項前文の登場です。

2014-08-24 21:51:26
ささきりょう @ssk_ryo

同条には「債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債務者は、反対給付を受ける権利を失わない。」と書いてある。債権者を使用者、債務者を労働者、反対給付を賃金(給料)に置き換えてみましょう。

2014-08-24 21:52:49
ささきりょう @ssk_ryo

不当な解雇をしたのは使用者の責任ですので、当然、労働者は働いていなくても給料を受ける権利があります。よって、判決で勝てば賃金支払判決が出ます。むしろ、地位確認請求だけして賃金請求をしない弁護士がいたら大問題で、弁護過誤ですね。さすがにこのような例は耳にしたことがありません。

2014-08-24 21:54:53
ささきりょう @ssk_ryo

とすると、あの記事を書いた日本経済新聞の記者さんは何をどうやって、どういう取材などをして、ああいう記事を書くに到ったのか。基本中の「き」の字も知らないでああいう記事を書かせる日本経済新聞ではないでしょう、いくらなんでも。とすると、そこには何かの意図があるんでしょうねぇ。

2014-08-24 21:57:21
ささきりょう @ssk_ryo

しかし、少なくとも私の知っている新聞記者の人々はこんなことは当然知っているので、厚労に出入りしている記者じゃない人が書いたんだろうと邪推。

2014-08-24 22:02:08
ささきりょう @ssk_ryo

やはり嘘はよくないよな。解雇の金銭解決制度について、もっと正面から議論するんだったらわかるけど、嘘を書いている日本経済新聞のやり方はどうかと思うな。このような嘘を書いている日本経済新聞のやり方は、推進派の足も引っ張ることになるだろうね。

2014-08-24 22:12:28
塩見卓也 @roubenshiomi

おい日経、この記事 nikkei.com/article/DGXLZO… は大内伸也先生にすら非難されてるぞ souchi.cocolog-nifty.com/blog/2014/08/p… しかし、大内先生は実務家とは全然違うところでこの記事を批判されとるのう。学者は「判決後に改めて…手続きがいる」とか気にならんのかね

2014-08-25 02:01:04