#利根概念

みつ◆注射きらい @ironic_blue

#利根概念 についての妄察

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話しかけると基本ちょっと面倒そうにするけど、結局「なんじゃおぬし」と相手にしてくれる。馴れてくると向こうからも話しかけてくれるけど、仲良くなってもここの一線は常にひいてある。なつこいのは雰囲気だけ。　#利根概念

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夏休み、ばったり出会って立ち話をしている。妹の話ばかりで、自分についてはほとんど話さないから妹についてばかり詳しくなる。妹さんじゃなくて君のことを知りたいんだけどな。そう言わせてくれない雰囲気。牽制されている。しかし邪険にはされていないから混乱する。　#利根概念

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暑いからアイスなど食べながら僕にとってはあまり実のない、話をしていることだけが収穫の時間が過ぎていく。蝉の声がやむ。しん、と静まった空気が俄に湿度を増し、まずいと思う間もなく土砂降りの雨。夕立に追いたてられるように適当な、閉店して久しい軒先に逃げ込む。 #利根概念

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逃げ込んだ僕たちは傷んだビニール屋根の下から雁首揃えて荒れた空を見上げる。散水機で撒いたような雨を透かして遠くに晴れ間が見える。「もう少しの辛抱じゃな」ずぶ濡れの利根が笑って、小さくくしゃみをする。風も強い。冷えたのだろうか。しかし僕もＴシャツなので貸せる上着もない。　#利根概念

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雨は弱まるどころか勢いを増すばかりだ。濡れた服がはりついて気持ち悪い。もういっそこの雨のなかを走った方が涼しくていいかもしれない。冗談半分の提案に利根は眼を輝かせた。「それだ！」利根は僕の手首を掴むと、初めての彼女の方からの接触に戸惑う僕を豪雨のなかに引きずりだした。　#利根概念

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叩きつけるような雨のなかに飛び出した僕たちはたちまちしんまでずぶ濡れになった。叫んだ声も聞こえない豪雨のなかで利根が笑っている。ずぶ濡れのその笑顔は、今まで僕が見てきた利根の笑顔なんか全部忘れてしまうなほどにきらきらとしていて、今に至るまで僕はそれを忘れられずにいる。　#利根概念

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山城を塔の天辺に閉じこめて「外は危険でいっぱいだ、おまえはここでじっとして、僕の話し相手にさえなってくれればよいのだ」と言い聞かせながら飼い殺したい。そしてある日階段から足を滑らせて頸を折って死んだ僕を待ちくたびれた山城もまた僕と同じところから足を滑らせて永遠に一緒になりたい。