♮2 間奏曲 ♪ 反逆のアフタヌーン 前編 2/2

エバー・ラスティング・アロー・ミストルティン編まとめ http://togetter.com/li/439782 ⇔人物目録⇔ http://togetter.com/li/446022 第十八話 壊縁♪~ホワイトのショータイム~インディヴィジュアリスツ・エイム~ 続きを読む
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全ては夕里を「金を強請りに来た駆け出し弁護士の小娘」と思い込んでのことである。なお、この件は、数日後に夕里の知るところとなる。その際、彼女は托馬の想定以上の愚かさに笑い死にしかけ、病院送り寸前となる。思わぬ報復を果たした形だが、托馬はそれを生涯知ることは無かった。 61 

2014-09-05 02:07:03
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→→→→[中断]→→→→ 前編は次回で終了予定です。 中編は全編より短く、後編は、前編と同程度を想定。

2014-09-05 02:12:01
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→→→→→→→→→→→→

2014-09-07 23:30:35
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~エバーラスティングアロー第18話 幕間 「♮2 間奏曲 ♪ 反逆のアフタヌーン」~

2014-09-07 23:30:56
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(あらすじ:弁護士・浅空夕里は、県議会議員である子安托馬の元を訪れていた。彼の二人の子供、星護と未菜途の身柄を要求する為である。一見無法な要求だが、托馬は13歳の未菜途を学校に行かせないばかりか、軟禁状態に置いている。つまり虐待状態である。

2014-09-07 23:40:11
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(この要求を托馬は一蹴し、その権力を以って夕里を脅しにかかるが、彼女は飄々と受け流し、逆に脅し返す。未菜途と星護をDNA鑑定し、結果を週刊誌や托馬の敵対勢力に売り込むことを示唆したのだ。托馬は彼女が金目当てだろうと思い込み、交渉を持ちかけるが相手にされない)

2014-09-07 23:56:40
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(夕里は何者かからの電話連絡を受けると、唐突に帰宅と交渉の放棄を宣言した。『秘密』がバレれば身の破滅と托馬は追う。2階の使用人部屋に誘い出された彼は使用人の大半が今朝付で一斉退職したことを知る。勿論、夕里の仕業ではあるが、托馬がそれに気付くのは半日後のことであった)

2014-09-08 00:02:13
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「あの女め…騙しおって!」 2階を探し回ったが、結局夕里はいなかった。彼女は嘘は吐いていない。「第2使用人室までどうぞ」とは言ったが、そこで待つとは一言も行っていないのだから。托馬はその点を見落としてはいたが、どの道夕里に惑わそうという悪意はあったわけなので同じことである。62

2014-09-08 00:12:48
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托馬は住所録を求め、使用人室を引っ掻き回す。辞めた者達どころか、在職者分すら見つからない。本当なら急いで夕里を追いたいが、使用人無しでは車をまともに動かせない。かつて教習が面倒だった彼は、金で免許を買った。当然ながら無謀運転で死にかけたので、以後は滅多に自分で運転しない。 63

2014-09-08 00:24:17
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もっとも無理に乗っていたところで、駐車場に3台ある彼の車は油を抜かれており、彼一人ではどうにもならなかっただろう。さておき托馬は1階の第1使用人室まで調べたが、役立つ物は見つからなかった。既に2時間が経過している。托馬は焦った。あの女弁護士はもう情報を売ってしまったろうか?64

2014-09-08 00:36:05
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金は残っていたが、郊外の屋敷から徒歩で買いに出かけると、往復40分は掛かるので歩きたくない。水はあるので死にはしないが、食事もままならない。次に在職者がが訪れるのは明後日。人を呼ぼうにも固定電話はあっても、電話帳が見当たらず、短縮の呼び出し方など知らない。 65

2014-09-08 00:48:07
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秘書に預けていた携帯電話は自室の卓上で見つけた。多少使い方は分かる。しかし外れていたバッテリーを、20分の格闘の末に差し込んでみると充電切れであった。充電器は見当たらない。苛立ち紛れに携帯を壁に投げつけようとして…流石に止めた。そしてあることを思い出す。 66

2014-09-08 01:00:57
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孫…いや息子の星護のことである。余りの異常事態の連続で後回しにしていた。彼なら電話もインターネットも動かせる。息子も腹を空かせているだろうか、などとは微塵も考えずに早歩きで彼の部屋に辿り着く。 「おい、星護!」 ノックも無しで勢いよくドアを開け放つ。 67

2014-09-08 01:06:21
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…星護はいなかった。部屋の様子は托馬が見る限りでは普段通りだ。ノートPCと専用バッグ、その余剰スペースに入る分だけの服と本が消えている、そのことに彼はまだ気が付かない。 「おい!星護!どこにいる!」 だから彼を探すべく部屋を出ようとした、その背中を着信音が引き留める。 68

2014-09-08 01:13:54
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托馬は急ぎ受話器を取る。 「子安だ!」 「こんにちはお父様」 「ん…星護か!?何処から掛けている!すぐ部屋に戻って来い!緊急事態だ!」 「いや、こんばんはクソジジイか…はーあ…」 「貴様…親に向かって何だその口の聞き方はぁっ!」 托馬は屋敷中に響く声で怒鳴りつける。 69

2014-09-08 01:18:34
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星護のような5歳児どころか大人も竦み上がる筈の爆音だが、受話器からは気怠げな溜息だけが聞こえた。 「僕に父親はいない。お前は祖父だ」 「…ッ」 「そもそも、その『緊急事態』に子供を4時間以上放っておく。その時点で血縁を問わず親じゃない」 70

2014-09-08 01:24:30
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星護の口調も話す内容も、5歳児のそれでは無い。大人でも激昂した相手にここまで淡々と話せるものは多くは無い。托馬の過剰な詰め込み教育の成果だ。それでいて声だけは、変声期は遥か先、年相応に幼い物である。大人が5歳児の口調で話すのと同程度には、聞く者に異常さを感じさせる。 71

2014-09-08 01:33:04
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彼は学力で言えば、大学入試模試で全国20位以内入りは出来る教養を持つ。週70時間以上もの異常な勉強時間と自身の才能の賜物である。托馬は息子に高い能力を求めたのだ。その、自分を無自覚に棚に上げた期待は確かに実を結んだが、同時にこうして星護に武器を与えることになった。 72

2014-09-08 01:48:05
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「黙りなさい!親不孝者め!どの部屋に隠れている!さっさと外と連絡を取らんか!」 『どの部屋、ですか…リビングで早めの夕食を頂くところですが』 「……何?どこに食料があった?出前でも取ったか?もう誰か呼んだのか?」 『それは……もういいや。面倒だ』 73

2014-09-08 01:54:03
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「面倒だと?」 『いつまで僕がその家…つまり、子安家の中にいると思ってるんです?』 「…………は?」 托馬は、あんぐりと口を開けた。文字通り開いた口が塞がらなかった。 『さっき、浅空先生と一緒に家を出て来たんです。今は彼女に紹介してもらった家で暮らし始めるところです』 74

2014-09-08 01:59:40
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「は?…あ…?あ?…それで…いつ…帰ってくるつもりだ?」 『「暮らす」っつっただろ馬鹿。檻の中に帰る馬鹿が何処にいる。何をどうしたらそんな低知能で生きていられるんだこの近親相姦ジジイが』 「あぐ…あっ…あ!……ああ!…あ…お前!貴様!…黙れぇっっ!!」75

2014-09-08 02:06:24
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『…いいんですね?』 「何がだ…!」 『この電話を切ったら、二度と掛けませんよ?』 「それがどうしたあ!」 『使用人の住所録が要らないんならこ「どこにある!」 『「教えて下さい、星護様」は?』 「な、あ…誰が言うかそんなこ『じゃあさようなら』 「ま、待て!」 76

2014-09-08 02:11:32
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『「待て?」』 「ま、待ってくれ…」 『「下さい」』 「まって……下さい」 『土下座』 「何だと!?」 『じゃあさような』 「ま、待って……下さい!」 『土下座は?』 「した…しました!」 『嘘を吐くなクズ』 その通りだった。托馬は立ったままである。 77

2014-09-08 02:15:08
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『電話越しなら分からないと思ったかクズ?』 「ど、どうして」 『……』 托馬は辺りを見回す。カメラか何かが仕掛けてあるのか?ざっと見た限りでは見当たらない。 『電話の前で土下座しながら言ってみろ。それで分かる』 「ぐ…ぬぬ…」 78

2014-09-08 02:18:39
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托馬は生まれてこの方土下座は愚か、『謝罪』とも無縁の生活を送ってきた。どうしても謝る必要がある時は代理人で済ませてきた。その彼にとっての土下座は公衆トイレの床を舌で舐めるかの様な屈辱である。だがやらねば、歩いて2日分の買い出しに行く屈辱か同じ間の空腹が待っている。 79

2014-09-08 02:22:49