氷上雅弓氏の秋のポエム集

9月に入ってから友人が秋になったせいかやけにポエットなのでまとめていこうと思います
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しいたけ @SeaTake1

今、すげー小さい虫が近くで止まったので潰しておいた。 潰した瞬間に脳内に「それは生まれ変わった前世のパートナーよ!」というワードが強く浮かんだ。 はは、まさか。 まさかな?

2014-10-02 23:46:07
しいたけ @SeaTake1

ここで仕事をしていると、死についての感覚が易くなって、それについて考えることが多くなる。 人間って死ぬんだよな、いずれ、絶対に

2014-09-28 07:03:23
しいたけ @SeaTake1

夢を見た。 なんかアメリカのボウリング場みたいなところで遊んでいたら、猿の惑星の猿みたいな猿が銃を片手に大暴れ。阿鼻叫喚の中、首を撃たれて殺された。首を撃たれた瞬間に次の夢に変わってしまい結果が曖昧だが、あれは俺のキル判定で正しいはず。 まあまあおもしろかった

2014-09-28 06:09:24
しいたけ @SeaTake1

無益であろうが過ごしてきた月日が消えないように現実がふと歪曲することもない。齢を重ねた千の物語は忘却に伏したとしても千一の物語の踏み台になっているのだ。私は思わず手に取った写真を戻すと寝台の他人をじっと見てしまう。居室では九十の不覚の現在を八十の過去が笑顔で見つめていた

2014-09-19 15:24:06
しいたけ @SeaTake1

星が陽に陰り霧めいた朝が今日もやってくる。なんとはなく昨日とは違う一日だと確信するが上天から降り注ぐ目の眩む光を受ければ嫌でも正気に還ることになるだろう。今日の自分が大股で歩いてくる。すばらしい日だ。昨日の私はどかりと椅子に腰を据えて陶杯を遊ばせながら今日の私を、今日も待っている

2014-09-13 06:52:23
しいたけ @SeaTake1

宵明けの空気が冷たくなるにつれて秋の訪れを実感してゆく。冬にはいささかの時間が必要だが衣替えを意識するには遅い。私は窓を開けて車を走らせると仕事への地獄門のくぐった。本日は給与日である。辞めてやろうかと心を蝕む薄給であるがないよりはよい。そしてようやく遅刻のいいわけを考え始めた

2014-09-12 12:51:27
しいたけ @SeaTake1

みたまえ。かの星たちこそがオリオン座である。私は黒檀のそらにぽかりと浮かぶ星の繋ぎを指し示した。冬の大空に堂々としている様は他に類をみない。それでいて誰にでも理解できるほど特徴があるのだ。 「へえ。で、食べられるの?」 婦女子の方には宇宙の深淵は興味がないように思えた夜になった

2014-09-12 14:31:36
しいたけ @SeaTake1

前に仕事中に80代のマダムからもらったカシスオレンジがまだ家にある。 どうして俺だけにくれたのか? なんでバッグに入っていたのか? なぜカクテルパートナーなのか? 元々誰が飲む予定だったのか? 手土産のでかいバナナ房との関係は? なぜくれたのか、 それを考えるだけでも、楽しい

2014-09-09 15:26:20
しいたけ @SeaTake1

秋の初めは二度目の梅雨がくる。うそぶく私は重い籠を抱きながら物干しの棒切れに無視を決め込む。見れば柵の向こうは広い芝生で子供が蹴り球に夢中だ。遊戯ではなく目的もないじゃれあいが目に優しい。それも遠くなく終わるだろう。私は濡れた入道雲を籠に押しやると、缶の灰皿を蹴り陰に腰をおろした

2014-09-08 00:54:49
しいたけ @SeaTake1

凪が吹いた。喧騒が遠くなると自然と正面に視線がのびる。見れば小柄な女性が幸福の横顔を見せていた。愛らしい笑みに背伸びした目元が印象的である。わずかに移せば純朴とは無縁そうな青年と睦事を真似ているようだ。私はあの場所に座れただろうか。凪が吹き終わる。 私は六人の一人へと帰った

2014-09-08 00:32:54
しいたけ @SeaTake1

車に乗り込むと旅支度を終えたカマドウマがフロントガラスに背を預けていた。私は特に払うことなく月下の黒絨毯を走る。新天地を求めているのだろうと邪推して近所の店までくると奴はひょいとどこかへ飛んだ。再び戻ると奴めは腸を散らせている。新天地よな。 私は無情にも早々に忘れることにした

2014-09-04 23:49:57