約束の海

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りえこ @eighter_rieko83

213 倒れちゃって、仕事は遅れるし、でももう倒れたりしたくないから頑張りすぎないように…って、大変なんだよ!! △△「全然大変に聞こえないけど?」 電話の向こうの親友は、呆れ声。 △△「浮かれてるのは分かったけど    さぁ、結局それから    会えてないわけでしょ?」

2014-09-21 16:16:22
りえこ @eighter_rieko83

214 あれから2週間程…彼もだけど、私も忙しい。 デートどころか、会えてもいない。 電話やメールはくれるけど、やっぱり会いたいなぁ…なんて。 △△「ところで、    私仕事辞めたんだよね。」 私 「えっ!そうなの?」 △△「で、遊びに行こうと    思ってるんだけど。」

2014-09-21 16:16:36
りえこ @eighter_rieko83

215 聞けば、人間関係こじらせて、ちょっぴり鬱っぽくなって、それがバカらしくなって辞めたらしい。 しばらくゆっくりしたくなったと。 せっかくだしウチに好きなだけ泊まったらと提案した。 彼女のことも心配だしね…。 その提案に乗ってくれて、さっそく明日すぐにでも東京に来ると。

2014-09-21 16:16:55
りえこ @eighter_rieko83

216 電話を切って、再び仕事に戻る。 この前までとは打って変わってノってる私。 仕事はかなり順調で、今月は締め切りよりずっと早く仕上げれそう…。 なんかプライベートがこんなにも仕事に影響するなんて…プロ失格だな、なんて…。 その時、着信を知らせる音。 あ、しょーちゃん…!

2014-09-21 16:17:12
りえこ @eighter_rieko83

217 安田「もしもしぃ?俺~♪」 私 「なんかご機嫌だね!ふふ。」 安田「がんばりすぎてない?」 あれから、彼はこう聞くのが口癖みたいになってた。 私 「もぉっ大丈夫だよ。ふふ。    仕事すごく順調なんだ。」 安田「そぉなんやぁ♪」 彼の笑ってる顔が頭に浮かぶ。

2014-09-21 16:18:21
りえこ @eighter_rieko83

218 安田「な~あ~、これからちょっと    会えへぇん?」 私 「えっ!」 安田「急に仕事が無くなって    もーてん!」 私 「え、ホントに…?」 急な申し出に嬉しくてドキドキしてしまう。 安田「今からやったら、もう4時過ぎ    てまうけど…会いたいねん…。」

2014-09-21 16:18:39
りえこ @eighter_rieko83

219 私 「私も…会いたい…!」 すぐに着替えてお化粧をした。 彼の到着を待って、マンションを飛び出すように外に出る。 嬉しくて飛びつきたい衝動を押さえて、彼の車に乗る。 一方的にTVでは見てたけど、久しぶりに見る現実の彼の笑顔。 嬉しいだけじゃなく、なんだか恥ずかしい。

2014-09-21 16:19:02
りえこ @eighter_rieko83

220 安田「ふはっ、なにぃ~?」 うまく目が合わせらんない私を見て、からかうように顔を覗き込んでくる。 「行くで?」って言って車が走り出した。 1時間ぐらい走ったら、前に一度見た海が迎えてくれた。 安田「約束やったやろ?」 そう言って一緒に車を降りた。

2014-09-21 16:19:23
りえこ @eighter_rieko83

221 夏も過ぎて、涼しくなったからか、人はほとんどいない。 お散歩で歩いてる人はいても、変装もしていない彼に気付く人はいない。 自然と絡め取られた手が、とても幸せで、特に言葉は必要なかった。 ゆっくりと歩きながら、時々笑顔を向けてくれる彼。 そのたびに胸がきゅうっとなる。

2014-09-21 16:19:40
りえこ @eighter_rieko83

222 安田「今度はさぁ、海の中で    デートしたいなぁ。」 私 「いいねぇ、でも私、体験    ダイビングしかしたこと    ない…。」 安田「手取り足取り腰取り    教えたろっか?」 私 「あは、なんか今、    最後一個多くなかった?」 安田「そやったぁ?」

2014-09-21 16:20:22
りえこ @eighter_rieko83

223 安田「今日も夕日きれいやな?」 ちょっとグイッと手を引っ張られて、彼にぶつかるようにして止まった。 前来た時とは違う、すごく近い距離にいる。 繋がれたままの手をまたギュッと握られたから、彼の方を向く。 夕日に照らされて、穏やかな表情。 安田「俺、○○が好きや。」

2014-09-21 16:20:40
りえこ @eighter_rieko83

224 私 「しょーちゃん……。」 待ってた言葉。 嬉しくて、嬉しすぎて、泣きそう。 私 「私もしょーちゃんが好き…。」 そして、言いたかった言葉を素直に口にした。 クシャッと笑った彼。 安田「ただの好きとちゃうで!    めっちゃ好き!    もう、めぇっっちゃ!」

2014-09-21 19:30:56
りえこ @eighter_rieko83

225 笑い合った2人。 通じてるって思っていても、わかっていたとしても、ちゃんと言葉にするって大切なんだなと思った。 ずっとずっと彼に近付いた気がした。 すでに近付いていた身体…。 繋がれた手をほどいて、今度は両手で身体をギュッとされた。 私も彼の背中に手を回してギュッと。

2014-09-21 19:31:11
りえこ @eighter_rieko83

226 夕日はいつの間にかもうほとんどが沈んでいた。 腕の力を弱められ、彼の顔を見ると、赤く照らされていた顔が暗闇に溶けようとしていた。 安田「この前はめっちゃ    我慢してんで?」 私 「え?」 安田「え、ちゃうわぁ…。    …キス…してええやんな?」

2014-09-21 19:31:45
りえこ @eighter_rieko83

227 返事の代わりに、一度目を伏せて、それからもう一度彼を見つめた。 ちょっと微笑んでおでこをコツン、てぶつけられた。 身体に回されていた両手が私の腰に置かれて、そのまま身体が引っ張られた。 彼の柔らかい唇が、私の唇に触れた。 優しくて、ちょっと長いキス。

2014-09-21 19:32:00
りえこ @eighter_rieko83

228 離れたら、またおでこがコツン、とぶつかった。 幸せで、でもやっぱり恥ずかしくって、また目を伏せた。 彼の右手が背中に回ったのを感じて、目を上げたら、さっきより強めに当てられた唇。 応えるように抱きつくと、さらに強く、何度もキスされた。 やっと離れたと思ったら、

2014-09-21 19:32:17
りえこ @eighter_rieko83

229 また強く抱きしめられて、耳元で彼の声が聞こえた。 安田「このまま押し倒したいわ…。    全部俺のもんにしたい…。」 私 「しょーちゃ…、」 安田「…今日泊まってえぇ?」 私 「え…。」 安田「それとも、俺んち来る?」 正直、このまま…と思った。

2014-09-21 19:33:34
りえこ @eighter_rieko83

230 あ、でも、待って? 明日、△△が…。 一気に悲しくなって彼の肩におでこを落とした。 私 「う~、しょーちゃぁん…。」 安田「ん?何?」 私 「明日、地元の友達が来るの…。」 安田「え?」 私 「しばらくウチにいると思うの。」 安田「う、ん…。」

2014-09-21 19:33:56
りえこ @eighter_rieko83

231 私 「帰って、色々準備しなきゃ…。」 私の肩を押して顔を見合わせた。 安田「○○んち、キレイやん!」 私 「ダメだよぉ、彼女肌弱いし、    きちんと掃除して迎えて    あげたいの…仕事も辞めて、    落ち込んでるみたいだし…。」 安田「えぇぇぇぇ~…?」

2014-09-21 19:34:11
りえこ @eighter_rieko83

232 私 「それに朝早く空港に迎えにも    行ってあげたいし…。」 安田「や!俺も一緒に行くやん!」 私 「でも、明日、しょーちゃん    大阪でしょ?朝イチで…、」 安田「ああああああ!」 私 「ね?」 安田「そぉやぁ…。」 泣きそうな顔の彼。

2014-09-21 19:34:28
りえこ @eighter_rieko83

233 安田「イヤやぁ…。」 ギュウッって抱きしめて、だだこねるみたいな彼。 私だって一緒にいたい…でも、△△をきちんと迎えてあげたい。 しっかりして見えるけど、強がりで人一倍気を遣う彼女。 電話では弱音吐かなかったけど、絶対弱ってる…。 だからいつまででも居ていいよって…。

2014-09-21 19:34:42
りえこ @eighter_rieko83

234 あー、なんてタイミング…。 私 「ごめん、しょーちゃん…。」 安田「どうしても、あかんー?」 への字眉で見てくる。 あたし、今日彼と一緒にいたら、今より離れたくないってなっちゃう…。 絶対そう…だって、こんなに好き…。 私 「ね、しょーちゃん、」

2014-09-21 19:34:56
りえこ @eighter_rieko83

235 私 「今度2人ともゆっくり    できる時に一緒にいたいな?」 安田「んーーーーー。」 変わらないへの字眉。 そして再び抱きしめてまた「んーーーーー。」て言ってる。 そしてゆっくり身体を離すと、すごく小さな声で「わかった」と言った。

2014-09-21 19:35:17
りえこ @eighter_rieko83

236 安田「でも、もちょっと    一緒におりたい…。」 私 「うん…私も…。」 それからまた手を繋いだ2人。 ごはん食べに行こうって、車に向かって歩き出した。 安田「また我慢やぁ…もー、そん時    どーなるか知らんからなー?」 拗ねたような顔から、怪しい顔に。

2014-09-21 19:35:32
りえこ @eighter_rieko83

237 コワイよな楽しみのよな…。 またドキドキしてきちゃった…。 もぉ…やっぱりかなわないなー。 ちょっと悔しくなって、また前を向いて歩きだした彼の名前を呼ぶ。 こちらを向いた彼のほっぺにチュッ。 安田「あ!わ!あかん、もぉっ!」 じゃれながら2人の時間が過ぎる………。

2014-09-21 19:35:47