Loving Brings Love (後編)

りえぷぅ @riem124blue

186 ―――――― 休み明け、いつもの朝礼で新人の女の子と対面した。 ◇◇「ご迷惑もおかけすると思いますが、よろしくおねがいします！！」 元気でニコニコ笑顔がかわいい、小柄な子。 村上「とりあえず◎◎、引き継ぎ頼むわ。すばるは当てにならんから。」 渋谷「・・・・。」

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187 村上「反論もナシかい！◎◎辞めたら、おまえが後教えなあかんのやからな！わかっとるんか？！」 渋谷「…まぁ…。」 横山「声ちっちゃ！」 村上「まぁ、人見知りなだけやから、ごめんな？」 ◇◇「いえ！私人懐っこいので大丈夫です！」 村上「それ、大丈夫なんか？(笑)」

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188 横山「まぁ、みんな頼むわ！」 その言葉を最後にそれぞれの仕事へ。 チラリと見た章ちゃんは、今日は前みたいにニコニコ笑顔になってて、なんだか安心…。 少しは…元気になったのかな…？ 亮ちゃんと仲良く話してる。 横山「きのうの朝にはあれやってん。」

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189 横から聞こえた社長の声は、わたしにだけ届く声量。 横山「おまえ、きのう休みやったから、知らんかったやろ？」 〇〇「はい…。」 横山「どっくんが、張り切っとったんに、拍子抜けしとったわ。まー、なんがあったんか知らんけど…良かったわ。」 〇〇「…そうですね…。」

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190 きのうの朝から…ってことは、あの後きちんと出社して…。 少しでも元気を取り戻せたんなら良かった…。 わたしと章ちゃん、そして亮ちゃん…３人の仲も元に戻れるかな…？ その為にも亮ちゃんと話さなきゃ…。 横山「おまえ、大丈夫か？」 〇〇「えっ…？」

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191 横山「今日はおまえが元気ないやん。」 〇〇「そ、そんなことないですよ！！」 横山「ホンマか？」 〇〇「はい！！」 横山「ほんならえぇけど。」 こうやってちゃんと見てくれてる社長って、いつも思うけどステキだな。 よし、元気出さなきゃ！！

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192 仲良く話してる章ちゃんと亮ちゃんの後ろ姿に小走りで近寄って、いつもの亮ちゃんみたいにぶつかるように２人の肩を掴まえた。 〇〇「こら！掃除せんかーい！」 錦戸「ぅおっ？！」 安田「わ！！びっくりしたぁ！」 〇〇「ほら、早く！早く！」 錦戸「なんやねん、もー！」

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193 安田「わかった、わかったて！」 あ、この感じ、この笑顔、久しぶり…。 やっぱり、この関係がきっといちばんなんだな…。 章ちゃんは営業に出て、社長も商談でお出かけ。 亮ちゃんは専務に「報告書溜まっとるぞ！」と怒られて、せっせと報告書を書いている。

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194 錦戸「えぇ～？これなんやったかなぁ？？」 村上「溜めるからそうなんねん！せやから、毎日書け言うとるやろ！」 ☆☆「そういう専務は領収書溜めるの止めて下さい。」 村上「えっ？！」 ☆☆「さっきいただいた領収書、また１週間前の分混ざってましたけど？」

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195 村上「えー？えー？そやったかぁ？」 ☆☆「亮くんに、よくそんな言えますね？」 村上「いや、それは、あれ…やろ、」 〇〇「ぷっ…。」 村上「おまえ、笑うなよ…、」 錦戸「専務！俺昼飯行ってきます！〇〇行かへん？」 〇〇「えっ、」

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196 ☆☆「いーよいーよ！先入って！私まだ専務とお話あるから！」 村上「えっ？！」 〇〇「ぷっ…じゃ、行ってきます！」 村上「なんや！なんや、コワイやんけ！」 怯える専務を残して、亮ちゃんと事務所を出る。 ◎◎「部長も聞いててください！」 渋谷「・・・・。」

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197 ◇◇「これは、こっちですね！」 ◎◎「あ！ちがっ…、あっ部長！！」 あー、なんか、店頭も大変そうだ。 その横を通り過ぎて、まんまるへ。 丸山「いらっしゃい♪ホンマ仲良しさんやなぁ♡」 あー…ここもちゃんと説明しないと…。 注文を聞いて笑顔で去る丸山さん。

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198 そして、亮ちゃんにきちんと話さなきゃ…。 でも、ここじゃゆっくり話せないか。 錦戸「今朝、びっくりしたやろ？章ちゃん、元戻ってて。」 〇〇「あ、うん…。」 錦戸「きのうメールしよか思ってたんやけど、なんか帰ってすぐ寝とってさ！」 〇〇「そっか…疲れてたんだね。」

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199 って、そんなんじゃなくて。 錦戸「まぁ、なんかあったんやろけどさ、まだ詳しく聞けてへんねん。また飲み行きたいな？」 〇〇「うん、そうだね。あの、亮ちゃ…、」 丸山「おまちどーさぁん♡日替り２つねー♪」 錦戸「わ、うまそ♪」 〇〇「…そだね…。」

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200 やっぱここじゃムリだな…。 丸山さん、なんかまた居座ってるし…。 丸山「これ、オススメやねーん♡」 錦戸「あ、ホンマ♪めっちゃうまい！」 今日は亮ちゃんも珍しく拒否ってないし。 そして、結局話したいことは言えず、お店を出る。 錦戸「あー、めっちゃ食べた！」

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201 〇〇「ねっ、亮ちゃん！」 錦戸「ん？何？」 ちょっと声が大きくなってか、亮ちゃんがびっくりしてる。 〇〇「あ、のさ、今夜、ごはん食べに行かない？」 錦戸「え？あ、や…今日はさ、友達と会うねん…。」 〇〇「そっか…じゃ、明日は？」 錦戸「・・・・。」

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202 〇〇「亮ちゃん？」 錦戸「…行かへん。」 〇〇「え？」 錦戸「…行かへんよ…。メシなんか行かん。」 〇〇「…な、なんで…？」 錦戸「…だって、おまえ、イヤなこと言うつもりやん。」 〇〇「えっ…？！」 錦戸「…なんで？俺待ってるって言うたやん…。」

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203 〇〇「そ、それはっ、」 錦戸「このままでええって…中途半端でも、俺はえぇねん…。このまま好きでおらしてや？な？」 〇〇「でも、」 錦戸「もしかしてさ、・・・章ちゃんが元戻ったの、おまえ関係あるん？」 〇〇「え？！いや…っ、」 錦戸「や、えぇねん…。」

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204 錦戸「もし…、もし…、２人に“何か”あったとしても…俺…諦めきれへんもん…。ごめ、先行くわ…。」 そう言って亮ちゃんは、わたしを残して歩いて行った。 “何か”

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205 ―――――― 「もう、泣かんといて…、な？…好きなってくれてありがとぉ。…俺、ここんとこ眠られへんねん…。せやから、このまま朝まで一緒におって？このまま…抱きしめたまま眠ってくれへん？」 ―――――― 答える代わりに彼に抱きついて。 そのまま２人で眠った。

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206 “何も” なかった、とは言えない…。 キスもした。 でも、それ以上はなかった。 わたしには役不足だった、ということだと思う。 でも、章ちゃんは優しいから、拒否せずに、あんなに優しく抱きしめてくれた。 だから、言った通り、わたしは章ちゃんを諦める。

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207 でもだからって、もう亮ちゃんに甘えたりもしない。 そんなことできない、資格もない。 そして、何より、ただ仲良しな３人に戻りたい…。 それも我が儘だって分かってるけど…。 だから、亮ちゃん…、 横山「喧嘩でもしたんか？」 背後から声が聞こえた。

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208 〇〇「社長…。」 振り向いたわたしを見て、社長が優しい目をする。 横山「なんやおまえ、泣きそうやんけ。」 横に来て、わたしの頭に手を置く。 横山「大丈夫か？会社戻れるか？」 〇〇「はい…大丈夫です…。」 横山「ホンマか…？…あー…おまえ夜空いとる？」

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209 〇〇「え？はい…大丈夫ですけど…。」 横山「ほんならちょっと付き合ってくれへん？」 〇〇「はい…。」 横山「あいつら煩いから、仕事終わったら、あっこのカフェで待っといて？」 社長は人差し指を口元で“しーっ”ってしてから、ここからでも見えるカフェを指差した。

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210 〇〇「わかりました…。」 社長は少しだけ笑って、わたしの頭をくしゃくしゃっと撫でた。 横山「ほな行こかー？」 と会社へ一緒に戻った。 横山「あれ？どっくんは？」 村上「休憩から戻ってきた思ったら、すぐ出て行きよった！報告書まだのくせに…。」