Loving Brings Love (後編)

りえぷぅ @riem124blue

211 ブツブツ言ってる専務。 ☆☆「何かあったんですか？亮くん。」 横山「やー、俺がちょっとからかってもーてん！すまんすまん！」 社長ってば…優しい嘘ついて…。 それから終礼前、戻ってきた亮ちゃんと目が合ったけど、拗ねたような、でも泣きそうな顔してから目を逸らされた。

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212 店を出て「お疲れさまでした」といつものように解散。 真っ先に帰る亮ちゃん。 その後にみんなが帰って社長が鍵を閉めてる時、章ちゃんが近付いてきた。 安田「なぁ、〇〇～！」 〇〇「ん？」 横山「おつかれさーん…。」 鍵を締め終えた社長が軽く手を上げて通り過ぎる。

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213 この後約束をしているとは思えないほどしれっと、チラリともこちらを見ないで。 安田「おつかれさまでーす！」 〇〇「お、おつかれさま、です。」 安田「な、この後ヒマぁ？」 〇〇「ごめんなさい、章ちゃん…わたし、約束あって。」 安田「そーなんやぁ、残念…。」

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214 残念だなんて…。 まだ傷は癒えきってないのに…。 そんなふうに誘われたら、決心が鈍るじゃん…。 章ちゃんは…、彼女のこと…もう吹っ切れたのかな…？ 安田「どっち行くん？こっち？じゃ途中まで一緒行こ？」 ニコニコ大好きな笑顔が隣に…はぁ…わたし、ホントに忘れられる…？

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215 安田「急に誘ってごめんな？そら用事入ってるよなぁ？へへっ…。」 〇〇「ううん、そんな…あ、ごめん…メールが…。」 パッと送信者を確認すると、社長…「ごめん」と言って内容を確認する。 『今日の約束は、また今度にしよか？』 ホントにどこまで優しいんだか…。

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216 『いえ、すぐ行きます！』 と、素早く返信して章ちゃんに言った。 〇〇「ごめん、章ちゃん！待たせてるから、走ってく！」 安田「あ、おん！わかった！」 〇〇「ごめん！また明日！」 そう言い、走ろうとしたら、章ちゃんにまた名前を呼ばれた。 安田「〇〇！」

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217 〇〇「んー？」 安田「また誘ってもえぇ？」 〇〇「えっ？！」 安田「そのっ…、ちゃんとお礼もしたいから！」 〇〇「…う、うん！」 お礼って…。 よく眠れて元気になれたから…？？ それって、ちょっと変だけど…それぐらいしか心当たりない…。

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218 よくわからなかったけど、頷くと章ちゃんは、ニコッと笑って手を振った。 わたしも振り返してから、慌てて待ち合わせ場所へ急いだ。 カフェへは入らず、その前で待ってた社長。 〇〇「す、すみません！お待たせして！！」 弾んだ呼吸を抑えながら言うと、心配そうな顔の社長。

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219 横山「走ってこんでも良かったんに。」 〇〇「いえ！社長をお待たせするなんて…！」 横山「つか、ヤスは良かったん？」 〇〇「はい、もちろん！だって、社長が先約ですから！」 横山「そーかぁ…？まー…じゃ行こか？」 歩きだした社長の隣へ。

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220 〇〇「あれ？まんまるじゃないんですね？」 横山「あんなうっさいとこで話なんかできんやろ。それにみんなを振り切った意味ないやん。」 〇〇「あっ、そっか。」 じゃあ、どこ連れてってくれるんだろ…。 そう思ってると着いたお店…フレンチのお店…？

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221 お店の雰囲気もだけどフレンチって…すごい高そ…。 お店の人が「お久しぶりでございますね、どうぞ奥のお部屋へ…」って案内してくれた。 お店の人がわたしの後ろに回って椅子を引いてくれるのを、社長が軽く手を上げて阻止。 代わりに社長が椅子を引いて座らせてくれた。

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222 初めて見る社長の紳士ぶりに驚きとドキドキがたぶん隠せてない。 横山「ワイン飲めるやろ？」 そう言って社長がテキパキと注文をした。 そして料理が運ばれてきて、口に運ぶと、想像以上の味に「美味しい」の言葉さえ口から出てこない。 横山「ぷっ、おまえ料理睨むなや(笑)」

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223 〇〇「え？睨んでました？…いや、あんまり美味しいから…。」 横山「ほんなら良かったわ。」 知らなかったけど、社長って、やっぱり大人なんだなー…。 なんか今日の社長、めちゃくちゃカッコイイんですけど。 横山「個室やし、そんなかしこまらんでもえぇで？」

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224 〇〇「社長…なんでわたしなんか連れてきてくれたんですか？」 横山「んー、なんやろ？俺が久しぶりにここ来たかったから？」 〇〇「…普通…彼女連れてくるでしょ？美人の彼女さんに怒られますよ？」 横山「はぁ？彼女ぉ？」 〇〇「だって、いるじゃないですか。」

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225 横山「はぁ？？おらんわ、そんなん。」 〇〇「？？だって、ジュエリーショップに彼女と行ったでしょ？どう見たって…」 横山「えぇっ？！あれぇっ？！」 〇〇「はい…すみません、見てました…。」 横山「あははは！！あほ！彼女ちゃうわー！！」

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226 〇〇「えっ？違うんですかっ？！」 横山「あれ妹じゃ！！」 〇〇「ええっ？！…そか…通りで色白…。」 横山「そそそ、兄妹揃って真っ白しろすけ…って、言わすな、こら！」 顔真っ赤にしながら、ノリツッコミ…(笑) おかげでわたしの緊張はすっかり解れてた…。

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227 〇〇「でもあれは、誰がどう見たって彼女に見えますよ！肩ってゆーか、背中？優しく押して…彼氏のエスコートにしか見えませんでした！！」 横山「そーかぁー？まぁ…事情あって、しばらく会うてなかったしな…。兄妹には見えへんのかもな…。」 〇〇「…そーなんですか…？」

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228 横山「あの日はあいつ誕生日やってん。せやから、たまには兄貴らしいことしてやりたかってん。」 〇〇「そうなんだ…。」 横山「俺の妹、めっちゃ！かわいかったやろ？！」 〇〇「ぷっ…シスコン…！」 横山「おー！シスコン上等じゃ！！」 〇〇「あはは！！」

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229 横山「ふっ…やっぱおまえはそんなふうに 笑ってた方がえぇわ。」 〇〇「えっ？」 横山「なんか助けて欲しいこととかあったら、いつでも言いや？なんぼでも相談乗ったるからな？」 これだよね、今日わたしをここに連れてきてくれたホントの理由は…。

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230 〇〇「…聞かないんですか？今日のこと…。」 横山「聞いて欲しいなら聞くで？今言うたやろ？なんぼでも相談乗ったるって。でも言いたくないこと聞くほど野暮ちゃうで？」 亮ちゃんとのデート現場見られたけど、社長はたぶん誰にも言ってない。 そういう人なんだ…。

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231 すごく気遣いができる人。 そして、すごくみんなのこと見てくれてるから、わたしの気持ちも、言わないだけで知ってるんじゃないかな？ 〇〇「わたし、亮ちゃんにひどいことして…。でもわたし、前の３人に戻りたいとか、勝手なこと思ってて…とにかく、最低なんです、わたし…。」

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232 横山「最低とか言わとき？人間誰でも自分がいちばんかわえぇねん。人を傷つけることもあれば、傷つけられることもある。もし傷つけたんなら、ちゃんと手当てしたったらえぇねん。」 〇〇「手当て…。」 横山「ゆっくりでえぇやん、焦らんでちゃんと話、しぃや？傷は治るもんやで？」

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233 社長の言葉に涙が出てきた…。 横山「まぁ、でも、俺も偉そうなこと言えんねん。俺もおまえと似たよな経験したことある。」 穏やかだけど、寂しげな表情の社長。 横山「…彼女が、他に好きなやつできたって言うから別れたんやけど、その相手が俺の親友やった。」

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234 横山「そいつも彼女のことが好きやって、俺は密かに気付いててんけど、知らんふりしとった。でも、彼女が好きになったんやったら、もー仕方ないやん？別れてんけど、結局そいつらは今もちゃんと付き合うてへん…。俺の存在がそうさせてんのやろな…。俺が背中押したらえぇんやろけどな…。」

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235 それって、まさか…。 横山「な？俺の方があかんやろ？」 社長はいたずらっ子みたいな顔で少しだけ笑った。 横山「おまえの秘密内緒にしたるから、俺の秘密も誰にも言わんとけよ？」 また、そんな言い方して…最初から、誰にも言う気なんかないくせに…。