【トワイライト・オブ・ザ・シークレット・リリー・ガーデン】#3
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スリットからローソクめいた黄色い炎が見える。ちっぽけな灯だ。それ以外に中身はない。空っぽの鎧。くすんだ鋼が鏡めいてシホの顔を映す。「…通りで堅い訳ね」シホは呟き、鎧に両手の銃を押し当てた。「ファイナルトリガー・ジツ!イイイヤアアアアアアア!」巨大なビームが星空を引き裂いた。 23
2014-09-29 22:05:04ユリコが落雷めいて急降下!「マイティイイパァアア…ア…あれ…?」唐突に減速停止!茫然と右手のエネルギーが弱まっていくのを見、彼方を振り向いた。ナムサン!今まさにシホが騎士を雲散霧消せしめた瞬間だった!アンナにはボタモチめいた好機!「ビビットオペレーション・ジツ!イヤーッ!」 24
2014-09-29 22:10:08FLAAAAASH!すぐ傍の照明装置が極大発光!ユリコの目を突き刺す!「ンアーッ!?」アンナは全身を奮い起こし渾身のタックル!目を覆うユリコは避けられない!「イヤーッ!」「ンアーッ!?」アンナはユリコの腰を抱えタタミ10枚分の距離を押し戻し社長像に激突!KRAAASH! 25
2014-09-29 22:15:06衝撃で社長像の首がへし折れる!ナムサン!そのまま後ろにいたイマジナリー・モンスターに直撃し雲散霧消!ポイント倍点!するとどうしたことだろうか。庭園に召喚されていた怪物達が次々と塵と化していったではないか!アイドル達は社長像の台座を見た。 26
2014-09-29 22:20:07首のない社長像の下ではアンナが固くユリコを抱き締めている。二人のアイドル装束は融けて消えていた。「……ユリコ=サン」「…アンナ=サン」「一人に…なりたい気持ちは…アンナも、分かる……でも、独りで抱え込まないで…」ユリコは目を閉じて優しくアンナの頭を撫でた。「うん…ゴメンね」 27
2014-09-29 22:25:04そこへシホとカナも駆け寄ってきた。息を切らせてカナが言う。「そうだよ、また皆でガンバロ!私達ならダイジョブダッテ!…ね、シホ=サン?」「わ、私!?」シホは咳払いをした。「…出来ないなら、出来る様になるまで何度でも付き合ってあげるわ。…って何よその顔」「アイエッ!?別に!」 28
2014-09-29 22:30:06「…でも、色々壊しちゃった。事務所も…私のせいで」庭園を見てユリコが言う。その有様は実際爆発事故が起こったとしかいいようがない惨状だ。「それなら心配ないぜ」「アイエッ!?」一同が庭園の入り口に注目する。新たに二人のアイドルがエントリーした。「スバル=サンに、トモカ=サン?」 29
2014-09-29 22:35:05「ドーモ」「ドーモ~」手短なアイサツを終え、スバルは頭を掻いた。「帰ってきたら事務所がスゴイなことになってたからさ。オレ達も大変だったんだぜ?」ユリコが赤面する。涙目になった彼女をトモカが制した。「ごあんしんください~。私達には実際心強い味方が付いていますから~」 30
2014-09-29 22:40:09そう言ってトモカは後ろに回してあった手を突き出した。「…ア…アア…」そこには一人のアイドルが吊るされていた。ナムサン!泡を吹いて白目を剥いている!「アイエッ!?ロコ=サン!?」カナが悲鳴を上げるが、トモカは意に介さない。「ロコ=サンが、以前迷惑を掛けたお詫びだと言って~」 31
2014-09-29 22:45:06「でも、ロコ=サンのロコモーション・ジツは…」シホがやや不安げに尋ねた。確かにロコのジツは物体の修復に向いている。だが、そのディティールは明らかにオリジナルとはディファレントにロコナイズされることは良く知られていた。「ダイジョブです~。私がしっかりと監督していますから~」 32
2014-09-29 22:50:08トモカはロコの耳元で囁いた。「それでは、ドーゾ、ヨロシクオネガイシマス」ロコはビクリと痙攣すると、震える手で絵筆を持ち上げた。「…ア…アア……オブジェッ…」筆の先から淡い光の波が立ち昇ると、ゴウランガ!それらは庭園の破壊箇所に絡みつき瞬く間に元の形状に完全修復したではないか!33
2014-09-29 22:55:05「と、まあこんな感じで事務所は元通りって訳」今度こそユリコは大粒の涙を流し出した。雫が石畳を濡らす。「ス、スミマセン…私…」「…あー、もうダイジョブダッテ!ホラ…」助けを求める様にスバルは仲間を見た。クスリと笑ってトモカが言った。「ロコ=サンにスシ補給をさせてあげませんと~」34
2014-09-29 23:00:10「それだ!皆でファミレスでも行かないか?」カナは目を輝かせ、シホは肩を竦めた。「……アンナも…行くよ…」「よっし!決まりだな!」スバルを先頭にアイドル達はぞろぞろと庭園を出ていく。その後ろから、首を修復された社長像が豊かに蓄えた金色の髭を誇らしげに逆立て、彼女達を見送った。 35
2014-09-29 23:05:04「これで一件落着かしら」「メデタシって感じだね」チハヤとヒビキも頷き合って事務所を目指す。その途中、事務所方向から歩いて来たやや煤けた姿のシズカとミライが合流するのが見えた。…劇場の空はいよいよ暗く沈み、不夜城めいたネオサイタマの威容がアイドル達を迎え入れた。 36
2014-09-29 23:10:09