「谷口陽子の視点」

もうどうにでもしてください!(笑)
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くさがみ•R•シン @kusagamirin

@bellgaku 谷口陽子の視点。 「 経過報告書 vol.1 」 #私立ベル学園

2014-10-06 15:53:26
くさがみ•R•シン @kusagamirin

@bellgaku 人里離れた深い森の奥に。 その施設はある。 公益財団医療法人「ラピス」。 陽子の勤務場所。 その特別治験室。 通称「燐の部屋」 部屋の隅でノートパソコンに向かう陽子。 #私立ベル学園

2014-10-06 15:54:23
くさがみ•R•シン @kusagamirin

@bellgaku 被験者をナノマシン溶液に隔離してから55時間が過ぎた。 新型ナノマシンとの融合適性は上々。 現在シンクロ率17%で脳波も安定している。 ここまでは順調。 今後、5時間おきに電気信号を流し、少しずつ被験体とのシンクロ率を上げていく予定。 #私立ベル学園

2014-10-06 15:56:45
くさがみ•R•シン @kusagamirin

@bellgaku この調子でいけば…… −−−−−−−−−−− カタカタカタカタ… 突然、男性職員が乱入。 「姐さあああん!! 燐ちゃんが戻ってきたって本当ですかああああ!!」 #私立ベル学園

2014-10-06 15:57:08
くさがみ•R•シン @kusagamirin

@bellgaku 扉バーン!に即座に反応。ノートパソコンを椅子に置いて、そのまま流れるような動作でステップを踏んでモーションに入る。 「何度も何度も何度も、お約束のように入ってきやがって…!」 長い足がムチのようにしなりグンッと加速。 #私立ベル学園

2014-10-06 15:57:41
くさがみ•R•シン @kusagamirin

@bellgaku 陽子の瞳が獰猛な肉食獣のソレと重なった。 「ここは男子禁制だって何度言えば分かるんだ馬鹿野郎っっ!!!」 破壊の意思を持ったムエタイ式ミドルキックが、突然の乱入者の腰にクリティカルヒット!!! #私立ベル学園

2014-10-06 15:58:03
くさがみ•R•シン @kusagamirin

@bellgaku 「うぼあああぁぁぁぁああ!!!」 身体をくの字に曲げながら宙を舞い、入ってきた扉から男性職員は退室。壁にビタン!と張り付いて止まる。 「すすすすすいません!!! 燐ちゃんが戻ってきたと聞いて嬉しくて、つい。うへへ」 #私立ベル学園

2014-10-06 16:00:10
くさがみ•R•シン @kusagamirin

@bellgaku 男性職員と溶液プールの間に仁王立ち。 「お前、前回も前々回も、同じ事をやってるだろうがっ!! 魂胆が見え見えなんだよっ! お前がロリコンなのは知ったこっちゃないが、燐の裸体を見ていいのは、この私だけだ!!(親指でビシィッ!と自身を指す)」 #私立ベル学園

2014-10-06 16:17:12
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@bellgaku 陽子の後方、薄グリーン色の透明なナノマシン溶液プールの中で、燐は一糸まとわぬ生まれたままの姿で宙に浮いていた。その手足も胴体も、枯れ枝のように細い。骨格標本にゴム布を被せて真空パックにした状態…そんな表現が相応しい。一言で言うなら「干物」。 #私立ベル学園

2014-10-06 16:18:47
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@bellgaku 「男の人に見られたくない」という燐の希望で、陽子が数年前より男子禁制を言い渡した。それが治療の遅延原因となり経営陣から非難轟々。陽子は一切耳を貸さない。 「おっさんの損得勘定よりも、うら若き乙女の純情の方が100倍大事なんだよ!!黙っとけ!!」 #私立ベル学園

2014-10-06 16:21:19
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@bellgaku 「それより聞きましたよ、姐さん。燐ちゃんを連れて帰ってきた時の大騒動」 「ああ…。やっぱり、広まってる?」 「あれだけのことをやらかして、そんな事を聞く姐さんが逆に凄いです。溶液プールに、燐ちゃんを投げ入れたそうじゃないですか……」 #私立ベル学園

2014-10-06 16:22:52
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@bellgaku 深い闇が続く森の中。午前4時過ぎ。コブラGT500が170km/hの光の弾丸となって疾走していた。猛り狂うエンジン音の狭間から、助手席に完全固定された燐の荒い呼吸が陽子の耳に届く。時間がない。ギリギリで間に合わないかもしれない。 #私立ベル学園

2014-10-06 16:25:30
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@bellgaku ハンドルを握る陽子の奥歯がギリっと鳴る。 「この森を抜ければ施設だ!!! 絶対に間に合わせるからなっっ!!! それまで死ぬんじゃないぞ、燐っっ!!」 陽子の怒号に薄く目を開けて、燐が微笑む。 #私立ベル学園

2014-10-06 16:26:53
くさがみ•R•シン @kusagamirin

@bellgaku 「あ、あたしが…ヨーコさんを、…疑…う、わけ、ない…。じゃ…」 燐の首が。 糸の切れたピノキオのように。 カクン。 ピ−−−−−−−−−−。 車内の簡易心肺モニターが無情な単音を響かせる。 #私立ベル学園

2014-10-06 16:30:08
くさがみ•R•シン @kusagamirin

@bellgaku 燐の方を見ようとする衝動を強引にねじ伏せる。 「勝手に死ぬんじゃねぇっっ!!! 馬鹿野郎っっっ!!!!」 アクセルを限界まで踏み込む。速度計が125マイル/h(時速200km)を超えた。 車内の無線機を乱暴に掴み取る。 #私立ベル学園

2014-10-06 16:33:08
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@bellgaku 「レイチェル!!」 『はいな』 「正面ゲートを開けろ!!」 『あいあいさー』 「燐が心肺停止した!! 最短ルートを確保しろ!!」 『がってんしょうちっ!! そのまま「燐ちゃんの部屋」までどーぞ!』 「なに?」 #私立ベル学園

2014-10-06 16:36:04
くさがみ•R•シン @kusagamirin

@bellgaku (レイチェルさん。褐色肌。ウェービーな銀髪。丸眼鏡。口癖「ふんふふんふーん♪(と口ずさみながら何かをクルクル回す)」この軽いノリが大好きやねん!!) #私立ベル学園

2014-10-06 16:39:17
くさがみ•R•シン @kusagamirin

@bellgaku 『こんなこともあろうかと、こっそり業者にお願いして直通ルートを作っておきました!勝手に予算使っちゃった!てへ!』 陽子の口角が上がる。 「レイチェル…お前、サイコーだな。あとでキスしてやるよ」 『お姉様ったら、みんなが聞いているのに…いやん!』 #私立ベル学園

2014-10-06 16:42:37
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@bellgaku 「ナノマシン溶液の「蓋」も完全開放しとけ!!」 『もちろん、そのつもりでーす』 「周囲の機器にビニールシートを被せろ!!」 『はい?』 「大至急!!」 『うそん。まさか』 「一秒が惜しいんだっっ!!」 『が、がってんしょうちっ!!』 #私立ベル学園

2014-10-06 16:45:02
くさがみ•R•シン @kusagamirin

@bellgaku 時速200kmで「ラピス」の外門を突破。彼方にライトアップされた正面ゲート。 「見えた!!」 ハンドル脇のボタンを押す。ボンッと燐の周囲を囲むようにエアバッグが飛び出す。陽子も前傾姿勢になって覚悟を決める。 「ナムサンっ!!」 フルブレーキ! #私立ベル学園

2014-10-06 16:46:36
くさがみ•R•シン @kusagamirin

@bellgaku ABSにより軋むタイヤとアスファルトとの摩擦で、悪魔の断末魔のようなブレーキ音。陽子の帰りを待ちわびていた職員たち全員が思わず耳を塞ぐ。正面ゲート、真新しい屋内ゲート3つを一気に通過。長い長い長いタイヤ痕を残して停止した車体の先。 #私立ベル学園

2014-10-06 16:48:32
くさがみ•R•シン @kusagamirin

@bellgaku 3m四方のアクリル板に囲まれた薄グリーン色のナノマシン溶液プール。その巨大な「風呂桶」が傾いた状態で主人の帰りを待っていた。運転席側の扉を蹴り開けて、もう動かなくなった燐を抱えた陽子が飛び出す。 「どけっ! 私と「風呂桶」の間に入るなっ!!」 #私立ベル学園

2014-10-06 16:50:52
くさがみ•R•シン @kusagamirin

@bellgaku 怒号に驚いて職員たちが蜘蛛の子を散らすように道を開ける。 「指向性電気ショック用意!!! 最大出力!!」 燐を抱えたまま、2歩3歩進んで身体を捻りながら回転を始める。燐の顔を覗き込んで「今、お姫様のキスで起こしてやるからな?」額にキス。ちゅっ。 #私立ベル学園

2014-10-06 16:53:56
くさがみ•R•シン @kusagamirin

@bellgaku 陽子が何をしようとしているのかに気付いた職員が「ちょっ!まさか!それだけは駄目だああぁぁぁ…っ!!」 円盤投げの要領で渾身の力を込めて燐の体を放り投げる。 「うおぉりゃぁぁぁああああ!!!」 そして。 どっっっぷーーーんん!! #私立ベル学園

2014-10-06 16:57:10