章大長編

現状維持それがおれのモットー
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クラゲ @04kurage

#72 from章大 ① “現状維持” それが俺の最も重要な事 仕事もプライベートもそんな大きな変化何ていらへん 別に出世がしたい訳でもない 彼女とも5年付き合っててそろそろ結婚してもいいと思ってるし 大きな転機なんていらへん それが俺の人生やねん

2014-08-17 23:07:48
クラゲ @04kurage

#72 ② 「安田、お前9月から支社行け」 って言われたのが1時間前 支社長に昇格やって言われたけど 何で俺が… しかも支社長なんかになったら3年くらいは返ってこれんやん… 俺の“現状維持”はこうして崩れさった

2014-08-17 23:10:44
クラゲ @04kurage

#72 ③ その日彼女と夕食を食べる 『章ちゃんが出世なんてねー』 と笑った彼女 「ほんまに俺が一番ビックリやわ」 と言ってソファにくつろぐ 「でもええ機会やと思うねんなー。もう付き合って5年やん?俺らもさ…」 『ちょっと待って!』 「え?」 これからって時やねんけど…

2014-08-17 23:20:05
クラゲ @04kurage

#72 ④ 『ごめん章ちゃん。私章ちゃんとは結婚できない』 って言われた 「そうか…」 一日で俺の人生は大きく変わってしまった 『出世とか興味ないとか章ちゃんらしいし、章ちゃんと付き合ってると安定はしてるの。でもそれだけじゃやっぱり満足出来ない』 と言った彼女

2014-08-18 01:22:25
クラゲ @04kurage

#72 ⑤ 向上思考の彼女 仕事を辞めてまで俺と何て考えなかったみたいで 別れた数日後 俺より遥かにインテリそうな男と腕組んで歩いてるのを見かけた 現状維持 安定志向 その何が悪いのかわからへん でも一つ思ったんは 「俺ってつまらんな…」 ただそれだけやった

2014-08-18 01:28:16
クラゲ @04kurage

#72 ⑥ 結局何も変わらんまま相変わらず過ぎて行く毎日 「はぁー」 5階建ての雑居ビルを見上げて朝からため息をつく そんなに大きな会社やないねん それも選んだ理由 あんまり忙しいのも嫌やから 支社って言っても10人位が働いてるだけやねん やから大した出世でもないねん

2014-08-18 13:13:11
クラゲ @04kurage

#72 ⑦ でもまぁどうにかなるやろ 何て開き直る俺 もがいても仕方ないやろ 会社辞めて何て野心俺にはないねん 「つまらん人生でもええわ」 俺が良ければそれでええや 『安田さんおはようございます。お茶どうぞ』 「ありがとう」 『何かありました?』 経理の子に問われる

2014-08-18 13:49:33
クラゲ @04kurage

#72 ⑧ 「あー。うん。彼女と別れてん」 『え?そうなんですか⁈』 めっちゃ驚いた感じの彼女 『あの、それ皆に内緒にして下さい』 「え?なんで?」 『安田さん以外と人気何です。だから狙ってる子もいるんです。まあ私もその一人ですけど』 何て言って笑って去った彼女

2014-08-18 18:31:07
クラゲ @04kurage

#72 ⑨ しばらく考え混んでた どう言うこと? 何かよくわからんけど あの子俺の事好きって事? 何かその日からことあるごとに話しかけられる様になって ボディタッチとかもあって 「この子わかりやす」 って思った これが今流行りの肉食女子なんやなって実感する俺

2014-08-18 18:40:11
クラゲ @04kurage

#72 ①⓪ 『安田さん飲んでますかー』 とグラスに継がれたビール 少し開けた胸元 何時もより濃いメイク 鼻につく香水 あの子ってこんなんやった? 彼女がおったからあんまり見てなかっただけなのか でも職場とは全然違う雰囲気の彼女

2014-08-19 00:28:27
クラゲ @04kurage

#72 ①① 彼女主催の飲み会は 完全彼女好みのメンバーが集まってるみたい 上司やお局さんは居らんし 女子も彼女と同じような格好の子ばっかり 皆それぞれお目当てがあるんやろう 俺の隣はがっちり彼女がおる 同僚達ははさっきからデレデレ鼻の下伸ばしてるし 俺だけが冷静に見えた

2014-08-19 00:32:19
クラゲ @04kurage

#72 ①② とりあえずお開きになって二次会に皆は行くみたい 俺はスッとばれへん様に抜け出してタクシーを拾った はずやのに 『安田さんだけズルいー。私も帰りますー』 って乗り込んで来る彼女 「いやいや。君主催なんやし、家の方向ちゃうやん」

2014-08-19 00:37:08
クラゲ @04kurage

#72 ①③ 『女の子1人帰すんですか…ひどい…』 って泣きだす まあ泣いてるフリなんは明白なんやけど めんどくさくなって 「運転手さん出して下さい」 俺は言った 「君んちの住所いい」 『やだ』 顔を上げた彼女はやっぱり泣いてない 「ならええわ」 運転手に俺の住所を告げた

2014-08-19 00:42:07
クラゲ @04kurage

#72 ①④ 車内ではずっと彼女が喋ってたけど 聞いてないフリをした 『ガツガツ来られるの嫌いですか?』 と言った彼女 ガツガツ来られた事無いでわからんけど 嫌いと言うよりめんどくさい そない焦らんでもそのうちええ人現れるやろ何て彼女と別れた時思ったし

2014-08-19 22:01:12
クラゲ @04kurage

#72 ①⑤ でもそれは自分に言い聞かしただけで 本間は彼女の事めっちゃ好きやったし ちょっと強引にでも引き留めたら良かったって男と腕組んで歩いてる姿見て思った 支社に行くんも不安で仕方ない 俺なんかに出来るんかって でも誰にも言えない 『安田さん?』 何か自然に流れた涙

2014-08-19 22:44:21
クラゲ @04kurage

#72 ①⑥ ずっと我慢してたもんがこみ上げてきたみたい 彼女を率いれて部屋に入る 『安田さん?あの…』 「一緒におってくれん?」 こうなるつもりでタクシーに乗り込んで来たはずやのに戸惑ってる彼女 「あかん?」 『いいですよ』 そう言った彼女を引き寄せてキスをする

2014-08-19 23:14:01
クラゲ @04kurage

#72 ①⑦ キスを繰り返し 服を少し乱暴に脱がせながら寝室に進む ベッドに押し倒してからは求める様に彼女を抱いた ーーーーー 目を覚ますと眠ってる彼女 化粧はかなり崩れてて 少し幼い寝顔 『んーっ…』 とこっちに寝返りを打ってきた 薄っすらと目を開けた彼女

2014-08-19 23:22:47
クラゲ @04kurage

#72 ①⑧ 「おはよう」 『あっ…おはようございます…』 「ごめん。腰大丈夫?」 『はい…すみませんっ』 「どうしたん?」 『安田さんが起きるまでに帰ろうと思ったんですけど服が…』 とベッドの下の彼女のブラウスを確認する 数カ所ボタンが取れとった

2014-08-19 23:29:17
クラゲ @04kurage

#72 ①⑨ 「あっ…」 『寝てる間に帰ったらかっこよかったのに』 何て言った彼女 『ふふふ…』 「ははは…」 自然と2人で笑った シャワーの後俺のTシャツとスウェット貸す すっかり化粧の落ちた彼女 「俺、そっちの顔の方が好きやな」

2014-08-19 23:39:23
クラゲ @04kurage

#72 ②⓪ 『そんな事言ったら期待してしまいます』 と言った彼女 「それは…」 『いいんです。わかってますから』 それ以上何も言えんかった俺 そのまま彼女とは何もないまま 俺は転勤の為に引継ぎやらに追われる日々 それに何と無く避けられてる感じやってん

2014-08-19 23:59:30
クラゲ @04kurage

#72 ②① 送別会で開かれた飲み会の帰り 「ちょっと」 とようやく彼女を捕まえた 『なっなんですか⁈』 「俺の事避けてるやろ」 『あのっ…』 「ええからこっち」 と彼女を連れ出す 『もう少し飲みたかったんですけどー』 何て言う彼女 「化粧変えたん?」

2014-08-20 00:06:27
クラゲ @04kurage

#72 ②② 『話聞いてます?化粧は変えましたけど』 公園のブランコに乗った彼女 「俺さ人生に変化何て要らんと思っててん。現状維持が大切やってん。でもさ転勤言われてプロポーズしようとして彼女にフラれてん。俺の人生一気にめちゃめちゃやったわ」 俺もブランコに乗る

2014-08-20 00:14:08
クラゲ @04kurage

#72 ②③ 「今までそんな事なかったし、まあどうにかなるかなんて開き直ったんやけど、どっかさ落ち込んでてん。でもどうにも出来んし誰にも言えんかった。そんな時に君がガツガツ来てくててん」 『すみません…』 下を向いたままの彼女 「ありがとう」 『え?』

2014-08-20 00:27:07
クラゲ @04kurage

#72 ②④ 「俺頑張ろうって思ってん。やれるとこまでやってやろうって。このままつまらんやつでは終わらさへんってね」 『そうですか』 ブランコから降りて彼女の前に立つ 「だからさ、見ててくれん?」 『え?』 「ちゃんと行き来するから。あ、たまには来てくれてもええなー」

2014-08-20 00:31:28
クラゲ @04kurage

#72 ②⑤ 驚いて俺を見上げてる彼女 「ガツガツ来られるの苦手ですか?」 ブランコで下がろうとするから止める俺 「顔真っ赤やで」 『あっあの…』 「何?」 『毎日電話してくださいね?会うのは頑張って月一回で我慢します』 と微笑んだ彼女 「ん、わかった」

2014-08-20 00:37:14