信五

本屋さんで始まる恋
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クラゲ @04kurage

#70 from信五 ① えっと… 資格本は… 案内図を見上げながら本屋さんの中を歩く ドン と何かにぶつかってそれが人だと認識するまで0.5秒… 『すみません!!』 私は顔も見ずに謝る 「いえ。こっちこそすみません。大丈夫ですか?」 『あ、はい…』 とその人を見る

2014-08-16 00:13:49
クラゲ @04kurage

#70 ② その人はすごく爽やかな笑顔で微笑んでて 胸の奥がギュッと締めつける感覚に一瞬でなって それ以上目が合わせられなくて 『すみませんでした』 と足早にその場を立ち去る ヤバイ… まだバクバクしてる… ただぶつかっただけ もう二度と会うことない人になんでこんなに…

2014-08-16 00:26:25
クラゲ @04kurage

#70 ③ でも格好良かったなー 何て仕事中でも頭に浮かぶ顔 同期の子には 「学生じゃないんだから!」 何て笑われた でも出来るならもう一回会いたくて 意味もなく本屋をうろついて見る はぁー 流石にそんなに簡単に会えないよねー と下を向く ドン またぶつかっちゃった…

2014-08-16 00:34:31
クラゲ @04kurage

#70 ④ 『すっすみません…』 「いえ。はははっ」 笑われて顔を上げるとあの人で 「まさかまたぶつかられるなんて」 って言って笑ってた 『すみません…』 「前みて歩かな」 『はい…』 「では」 って去ろうとするから 『あのっ…』 って呼び止めてしまった 「はい?」

2014-08-16 00:38:19
クラゲ @04kurage

#70 ⑤ 呼び止めたけど差し詰め話す事もない… 『あのっ…職場はこの辺なんですか?』 「あー。はい」 『そっ、そうですか…』 「じゃあ、また」 なんて言って去って行った その後ろ姿を見送るしかない 今度会えたらちゃんと話す事考えておこう…

2014-08-16 00:48:06
クラゲ @04kurage

#70 ⑥ 昨日の事をまた同期に話す 「あり得なーい!そこで普通はもう少しさー」 何て笑われる 「まぁその人のまたねを期待するしかないねー。また本屋通うの?」 完全バカにされてる… でも確かに無理もない もう諦めようかな… 本屋に向かう足も重い

2014-08-16 00:55:30
クラゲ @04kurage

#70 ⑦ それから会えない日々も続いて もうあの人がどんな声かも忘れかけてる 「元気出しなって!」 社食でランチしながら同期に励まされるけど 笑われてる風にしか思えなくて席を立つ 人通りの少ないトイレに向かう あー下向いてたら涙出そう ドンッ

2014-08-16 01:01:44
クラゲ @04kurage

#70 ⑧ 『イッタっ…』 派手に転んでしまった私 「すみませんっ!」 忘れかけてたその声に驚いて上を向く 「またぶつかりましたね?」 あの人の笑顔に驚いて声も出ない 「大丈夫ですか?」 『あのっ…』 「やっぱり俺の事知らんかったやろ?」 私を立たせて言う彼

2014-08-16 01:05:17
クラゲ @04kurage

#70 ⑨ 「俺の職場はここですけど」 『え?えー‼︎‼︎』 「ははは。声デカイわ」 『すっすみません…』 「俺営業の村上信五やで」 『あのっ…私は…』 「経理の○○さんやろ?」 『え?』 頭がついていかないこの状況 同じ会社の人で 今私は村上さんの名前を知った?

2014-08-16 01:19:39
クラゲ @04kurage

#70 ①⓪ なのに村上さんは私の名前を知ってた? 『あのっ…』 「一度目は偶然やってん。会社で気になる子にぶつかって声かけるチャンスやったのに逃げるし」 逃げたわけではないんだけどな 「二度目は外から見えてちょっとかまかけた」 村上さんの言葉が理解できない私

2014-08-16 01:24:49
クラゲ @04kurage

#70 ①① 「あの時前みてくださいって言ったよな?」 『すみません…』 「全然直さんし、すれ違っても全然気づかんし」 村上さんは私の腕を掴んで顔を上げさす 真っ直ぐ見つめあってる時 「今日はわざとやで?良い加減気づいて?俺の事」 『あのっ…』

2014-08-16 01:27:40
クラゲ @04kurage

#70 ①② 「君の事好きやねん。付き合ってくれん?」 『あのっ…私…』 ーーーー 「お前そんな安い本で資格の勉強とか無理やろ」 『だって…』 「こっちにしろって」 出会った本屋で参考書を選ぶ 「ほらちゃんと前みろ」 『信ちゃんいるし大丈夫でしょ?』 「あかんって」

2014-08-16 01:43:25
クラゲ @04kurage

#70 ①③ 『何で?』 「人にぶつかった位で一目惚れする位なんやでな」 なんて意地悪く言う彼 『信ちゃんだからだもん…』 「お前なー」 グイッと引き寄せられて抱きしめられる 「浮気すなや」 そう言って軽く触れられた唇 大丈夫だよ あの時から貴方に夢中だから…

2014-08-16 01:46:54