茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第1338回「エメリアンと娘が、あなたの心の中で葛藤したときには、娘に従うのが、よいのです」

脳科学者・茂木健一郎さんの10月13日の連続ツイート。 本日は、なんとはなしに朝思っていたこと。
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茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート1338回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、なんとはなしに朝思っていたこと。

2014-10-13 06:27:00
茂木健一郎 @kenichiromogi

ときどき、「人前で話そうとすると、緊張するんですけど」という方がいる。そのような方には、私は、「あっ、それは才能ですよ」と答える。自分が何をすべきか、求められるものがわかっているから、緊張する。その緊張を抜けると、すばらしい話し手になる方が、実際に多い。

2014-10-13 06:28:04
茂木健一郎 @kenichiromogi

緊張は、水に飛び込む前の想像のようなものだろう。いろいろ考えてしまうのは、それだけ思い描くことができるからである。大きな仕事を前にしたときの「とてもできない」という思いも、その仕事に必要とされるあれこれがわかってしまうから、その山脈を越えられないと思ってしまう。

2014-10-13 06:29:01
茂木健一郎 @kenichiromogi

勉強にせよ、仕事にせよ、あるプロジェクトがあるとき、とてもそんなことはできないように思う。手数もかかるし、乗り越えるべき壁も多い。そんな時、どうすればいいかと言えば、結局、何も考えないで、小さなステップから、始めてしまうのが良い。想像は必要だが、邪魔にもなるのだ。

2014-10-13 06:30:04
茂木健一郎 @kenichiromogi

小学生の頃、トルストイの「エメリアンとふしぎなたいこ」の話を読んだ。エメリアンがうつくしい娘と結婚したのを王様が嫉妬して、いろいろ難題を出す。一夜のうちに、城をつくれと言ったり。エメリアンが途方にくれていると、娘が、「何もかんがえずに、とにかくやってみなさい」と言う。

2014-10-13 06:31:39
茂木健一郎 @kenichiromogi

それで、エメリアンが、何も考えずに始めると、ふしぎなもので、夜が白む頃には、お城ができている。そんな話で、もちろん、子ども心にも、現実にそんなことがあるはずがないとは思ったが(そもそも、お話というのは、そういうものだとわかっていたけど)、心の真理があるとも思っていた。

2014-10-13 06:32:37
茂木健一郎 @kenichiromogi

エメリアンと娘は、ひとりの人の中にすんでいるふたりのひとの象徴であろう。ひとりは、あれこれと思って、そんなことできないと思う。もうひとりは、とにかく「やってみなはれ」と言う。エメリアンと娘が、あなたの心の中で葛藤したときには、娘に従うのが、よいのです。

2014-10-13 06:33:35
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート1338回「エメリアンと娘が、あなたの心の中で葛藤したときには、娘に従うのが、よいのです」をテーマに、6つのツイートをお送りしました。

2014-10-13 06:34:14