牛トルトbot

過去のお話まとめ。
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牛トルトbot(二月末日更新停止) @cowtolt

@cowtolt 「(被っていたニットの帽子を更に深く被り直す。尻尾がズボンの中で窮屈だけど、町へ出るときは必ず獣の耳と尻尾を隠すことがライナーとの約束だった)」 「えっと、次はお花屋さん…」 「(まずはどんな花があるのか聞いて、ライナーに贈る花を決めよう)」

2015-02-11 11:19:04
牛トルトbot(二月末日更新停止) @cowtolt

@cowtolt 「(隣にライナーがいない、初めての町)」 「(ライナーは怒るだろう)」 「(言いつけを破ったこと、嘘をついたこと)」 「(頭が痛いからアニの牧場へは行かないと言ったときの心配そうな顔を思い出すと胸がちくちくするけれど…)」 「(…でも、僕は一人で来れたんだ)」

2015-02-11 11:13:50
牛トルトbot(二月末日更新停止) @cowtolt

@cowtolt 「(あげたてのドーナツを二つ貰ってお店を出る。ほかほか温かい袋を鎧の巨人リュックへ丁寧にしまうと、目的の一つを無事遂げられた事に嬉しくなった)」 「(たくさんの人が行き交う大通り。ぶつからないよう隅っこを歩きながら雪雲のかかった空を見上げる)」

2015-02-11 11:08:51
牛トルトbot(二月末日更新停止) @cowtolt

「おばさん、ドーナツ一つください」 「おや。ライナーくんと買い物?」 「ううん、今日は一人できたの」 「一人で?」 「うん」 「バスに乗って?」 「うん」 「まー、えらいねぇ。ドーナツ一個、おまけしとくよ」 「ありがとう!」

2015-02-11 11:04:03
牛トルトbot(二月末日更新停止) @cowtolt

@cowtolt 「頼む、聞き分けてくれ」 「…うん」 「(あやすような、けれどそれ以上の言葉を許さないライナーの声。…そんな風に言われたら、僕はもう頷くしかない)」 「そうか…」 「(ほっとした顔のライナーに抱きしめられる。嬉しいはずなのに、なぜか胸の奥がもやもやしていた)」

2015-02-10 22:08:42
牛トルトbot(二月末日更新停止) @cowtolt

@cowtolt 「…体を売らせるにはうってつけだ」 「体を…売る…?」 「(そこでようやく僕の右手は自由になった。胸を撫でていた手が頬にそっと添えられて…おでこがこつん、とぶつかり合う)」 「なぁ、ベルトルト」 「!」 「(蜂蜜色の瞳が近い。ほんの一瞬、そっと唇が重なった)」

2015-02-10 21:52:59
牛トルトbot(二月末日更新停止) @cowtolt

@cowtolt 「で、でも、僕はおちちが出ないんだよ。そんな牛を連れてっても仕方ないでしょ?」 「…人型の牛には乳を出す以外にも利用価値がある。人と同じ姿で人と同じ法は適用されず、繁殖能力がないーー」 「っ、」 「(僕の手首を掴んだ手はそのままに、反対の手が胸元に伸びる)」

2015-02-10 21:25:25
牛トルトbot(二月末日更新停止) @cowtolt

@cowtolt 「……」 「人型の牛が拐われることは珍しくない。登録された飼い主は生涯変更出来ないし、一度商品として販売登録を行えば登録された者だけが牛の乳を売ることが出来る。だがそれはあくまで正規のルートを通すなら、の話だ。正規のルートを通さなければ売る方法は幾らでもある」

2015-02-10 21:12:00
牛トルトbot(二月末日更新停止) @cowtolt

@cowtolt 「早く」 「う、うん」 「(まずは腕を引いてみる。軽く掴まれているだけだと思った腕はびくともしない。さらに強く、反対の手も添えて引き抜こうともしたけれどやっぱり無理で…僕はとうとう諦めた)」 「…出来ないだろう?」 「……」 「俺の言いたいことが分かるか?」

2015-02-10 21:02:02
牛トルトbot(二月末日更新停止) @cowtolt

@cowtolt 「(ライナーが大きなため息を一つつく。…怒ったわけじゃなさそうだけど…)」 「…心配してるのは何もそれだけじゃない」 「(抱き上げられて、向かい合わせに膝の上へと下ろされる。ライナーが僕の右手をゆっくり掴んだ)」 「俺の手を振りほどいてみろ」 「え?」

2015-02-10 20:50:38
牛トルトbot(二月末日更新停止) @cowtolt

@cowtolt 「…ねぇ、ライナー」 「ん?」 「やっぱり、行っちゃだめ?」 「!またその話か。だめだって言っただろう」 「あの、ね、僕、もう何を言われても平気だよ。そりゃちょっとは落ち込むかもしれないけど…でも、ライナーがいるから平気」 「ベルトルト…」 「だめ…?」

2015-02-10 20:40:11
牛トルトbot(二月末日更新停止) @cowtolt

「…よし、乾いたぞ」 「ふーっ…」 「一仕事終えた顔だな。そんなにドライヤーが嫌いか?」 「だって、ぶおーって顔にあたると息が苦しくなるんだもん」 「ぶっ…、そうか、ぶおーってなるか」 「なんで笑うのっ」 「悪い悪い。…じゃあ頑張ったご褒美に蜂蜜ミルクを作ってやる。飲むだろ?」

2015-02-10 20:31:34
牛トルトbot(二月末日更新停止) @cowtolt

@cowtolt 「(怖い顔で部屋を出ていくライナーに何も言えなかった。だから…だからライナーは僕が一人で町へ行くのを嫌がってたんだ…)」 「…まだ日にちはある。もう一度考えてみてくれないか?」 「……俺の答えは変わらん」 「(ドアが閉まる。足音は静かに遠ざかっていった)」

2015-02-10 12:03:40
牛トルトbot(二月末日更新停止) @cowtolt

@cowtolt 「(僕が…傷つく…?)」 「傷つくとは限らないじゃないか」 「傷つくに決まってる。俺がこいつを買ったことは町のほとんどの連中が知ってるんだ。…乳が出せないこともな」 「…!」 「…配達の時間だ。ベルトルト、いい子にしてるんだぞ」 「…うん」

2015-02-10 11:55:11
牛トルトbot(二月末日更新停止) @cowtolt

@cowtolt 「何でだと?人型の牛が飼い主の目もなくうろつくなんてどんなトラブルに巻き込まれても文句は言えないんだぞ?」 「ライナー、君が心配する気持ちもわかるけど彼もそろそろ外の世界と接するべきじゃないかな」 「それでまたこいつが傷つくのを黙って見てろって言うのか?」

2015-02-10 11:50:18
牛トルトbot(二月末日更新停止) @cowtolt

@cowtolt 「気持ちは分かるが承諾は出来ん。アルミン、お前が一人で町へ下りることにアニは何も言わないのか?」 「僕は個体識別プレートにGPS機能が追加されてるし、販売登録もされてるから…」 「なら悪いが一人で行ってくれ。ベルトルトの付き添いは認めない」 「な、なんで…?」

2015-02-10 11:36:44
牛トルトbot(二月末日更新停止) @cowtolt

@cowtolt 「だめだ」 「……」 「うーん…少しぐらい考える時間を挟んでくれないかなぁ…」 「いくら考えても他に答えはない。俺がお前達を連れていく、それでいいだろう」 「らいな…」 「だめだ」 「でもさ、僕はアニへの贈り物を買いたいんだ。だから自分で行かないと意味がない」

2015-02-10 11:23:01
牛トルトbot(二月末日更新停止) @cowtolt

@cowtolt 「君が花を買うのは内緒でね。そうだな…僕買い物の付き添い、が一番自然かな。大丈夫だよ、僕も一緒に言うから」 「うん!…あ、ライナーだ。僕、先に聞いてみるね」 「(…とは言ったものの…さて、無事に説得できるのかな…)」 .

2015-02-10 11:10:20
牛トルトbot(二月末日更新停止) @cowtolt

@cowtolt 「ありがとう!」 「でも…その前にライナーを説得しないとね」 「説得?」 「きっとライナーは君が一人で町へ出ることを嫌がるだろうから」 「どうして?」 「君も知ってるだろ?ライナーが心配性だってこと。最近じゃこんな田舎町でも怖い事件は多いし」 「そっかぁ」

2015-02-10 11:00:42
牛トルトbot(二月末日更新停止) @cowtolt

@cowtolt 「そっか…(いつもライナーと一緒…)」 「お花って高い?たくさんある中から自分で選ぶの?これね、お手伝いで貯めたの。足りる?」 「……」 「アルミン?」 「…一緒に買いに行こうか?僕もアニに花を贈るつもりだったんだ」 「! 一緒に行ってくれるの?」 「うん」

2015-02-10 10:49:34
牛トルトbot(二月末日更新停止) @cowtolt

「ベルトルト、相談って?」 「あ、あのね、その…今度ライナーに花を買おうと思ってるんだけど…」 「ああ、バレンタインの?」 「うん。でもどうやって買ったらいいのかわからなくて」 「?」 「僕、角のパン屋さんでしかおつかいしたことないの。町へ降りる時はいつもライナーと一緒だから」

2015-02-10 10:38:31
牛トルトbot(二月末日更新停止) @cowtolt

【お知らせ】当アカウントは二月末日をもって更新を完全に停止いたします。(停止についての詳細な理由、その他のお知らせについてはまた後程ついぷろにて記載させて頂きますのでそちらをご覧ください)あと二回お話を更新させて頂く予定ですので、宜しければ最後までお付きあい頂けますと幸いです。

2015-02-09 14:46:31
牛トルトbot(二月末日更新停止) @cowtolt

@cowtolt 「…奇妙で面白い体験だったな」 「(まだどこか温かい『ベルトルト』の温もり。それを思い出しながら、俺は今度こそ目を閉じて眠りに落ちた)」 . 【終】

2015-01-04 00:31:07
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