稲川淳二のつぶやき怪談　2014年10月31日投稿分

稲川淳二 @Junji_Inagawa

みなさん、お変りないですか？ 稲川淳二です。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

めっきりと冷え込んできましたね。 長かった夏の全国ツアーも、１０月２５日のクラブチッタ川崎の、 オールナイト公演をもって、締め括りとなりました。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

今年は、映画撮影に、ツアーキャンペーンのTV、ラジオ、新聞、雑誌といった出演、取材が１２４本。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

そして「怪談ぱちんこ　ＣＲ稲川淳二」の発表に、 劇場版映画「かたりべ」の、各地上映会での舞台挨拶とあって、 慌しいうちに、怪談ナイト本番に突入ですから、 息つく暇も無かったですね。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

気が付けば、秋も深まってました。 で、また、冬のライブの準備に入ります。 やっぱり、みなさんに会いたいから・・・。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

それでは、今回の「つぶやき怪談」始めましょうか。 節電のために、部屋の明かりを消して、 怖ーい噺で楽しんで下さい。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

どうぞ、お時間がありましたら、遊びに来て下さいね。 ゆったりと、くつろいで、お付き合いいただければと思います。 楽しみにして下さいね。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

こんばんは、稲川淳二です。 お待たせしましたねぇ、それでは、そろそろ始めましょうか。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

稲川淳二の「つぶやき怪談」、怖・楽しい時間を、共有しましょう。 何が起こっても、責任はとれませんけど。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

東関東の内陸部に、宮の森特別区域というのがあるんですよ。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

そこには、古墳跡の小高い丘に、 古い農業用の小さなダム湖があって、 その周囲は、一面、深い雑木におおわれているんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

そのダム湖に沿った岸辺の雑木林の中から、 時折、人骨や服を着た白骨化した死体とか、 比較的新しい、男女の自殺死体が見付けられるそうで、

稲川淳二 @Junji_Inagawa

昔から知る人ぞ知る自殺の名所なんですね。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

もちろん地元の人達は、ここがそういうところだという事は知ってますが、 自殺ですから、殺人ではないんで、 事件にならないし、騒がれる事もないことから、 世間には、ほとんど知られていないんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

なのに、なぜか昔から自殺者がやって来る。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

有名な観光地でもないし、 取り立てて、景色がいいわけでもないし、 特別何かがあるといった訳でもないんですがね。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

ま、裏を返せば、 ここがおとずれる人もいない、静かな古墳跡で、 宮の森という地名から、 自殺者には、人知れず自分の一生をしめくくるのにふさわしい場所に思えるかも知れませんね。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

それで、自殺者があとを絶たないところから 『宮の森特別区域』 となっていると思うのは、私の勝手でしょうかね。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

さて、そんな情報を何処かで聞いて、 おもしろ半分の好奇心でやって来る人達がいるわけだ。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

夏の深夜、深い雑木の闇をヘッドライトが照らし出して、白いクルマが一台。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

木々の間を縫うようにやって来ると、ダム湖の手前にある駐車場の片隅にとまった。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

と、ヘッドライトが消えて、 闇の中でドアが開くと、 二組の若者のカップルが、お喋りしながら外に出てきた。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

雑木林の中の駐車場ですから、 聞えるのは木々の梢を鳴らす風の音と、自分達の話し声くらいで、 他に音もなければ、家の明かりひとつ見えない。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

と、運転してきた彼が手にした懐中電灯で辺りを照らしながら、

稲川淳二 @Junji_Inagawa

「じゃあ、これからダム湖に沿って、雑木の中を、ぐるーっと一周してみようか。