内需の縮小は交易条件を悪化させ、実質賃金を減らす

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広夢 @scidreamer

以下、経済に関する連続ツイート。タイトルは「内需の縮小が交易条件を悪化させる」。

2014-11-02 14:21:56
広夢 @scidreamer

(1)労働生産性と賃金との関係を調べていて、次のような記事を見つけた。 >賃金上昇の条件 生産性向上のみでは困難 rieti.go.jp/jp/papers/cont…

2014-11-02 14:22:33
広夢 @scidreamer

(2)この記事の要点を述べると「交易条件が悪化が賃金へのマイナス要因になる。2000年以降、労働生産性が上昇したにも関わらず実質賃金が上がらなかったのは交易条件が悪化したからである」といったところだ。

2014-11-02 14:23:10
広夢 @scidreamer

(3)「交易条件=輸出財価格/輸入財価格」である。輸入財価格に対して輸出財価格が上がることを「交易条件が改善する」、輸入財価格に対して輸出財価格が下がることを「交易条件が悪化する」という。

2014-11-02 14:23:37
広夢 @scidreamer

(4)交易条件の改善は海外からの所得流入を意味し、逆に交易条件の悪化は海外への所得流出を意味する。理論的な話は以下を参照すると良い。 >経済成長とトランスファー問題 経済指標の見方・使い方<H16.11> pref.toyama.jp/sections/1015/…

2014-11-02 14:24:09
広夢 @scidreamer

(5)冒頭の記事が言っているのは、2000年代は交易条件が悪化したために海外へ所得が流出し、賃金が上がらなかったということである。

2014-11-02 14:24:35
広夢 @scidreamer

(6)さて、そうなると、ここで問題とすべきは、「なぜ2000年代に交易条件が悪化したのか」ということだ。 冒頭の記事では、「交易条件の悪化を止めるには、原燃料の海外調達における交渉力を増すと同時に、生産の海外移転抑制が重要であろう」と主張されている。

2014-11-02 14:25:06
広夢 @scidreamer

(7)しかし、ここに疑問がある。交易条件とは輸出財価格と輸入財価格の比である。そして、輸出財価格や輸入財価格とはマクロ指標であろう。となると、それらの価格決定は、政府や企業の努力といったミクロの問題ではなく、需要と供給というマクロの結果によるものと考えるべきではないか。

2014-11-02 14:25:42
広夢 @scidreamer

(8)二つ目に引用した交易条件の決定に関する理論で言えば、輸出財価格は外国の輸入需要曲線と自国の輸出供給曲線との交点で均衡するし、輸入財価格は自国の輸入需要曲線と外国の輸出供給曲線との関係で決まるはずだ。

2014-11-02 14:26:24
広夢 @scidreamer

(9)さて、そのように考えると、2000年代の交易条件の悪化はなぜ起こったのか。 交易条件が悪化するとは、たとえば輸入財価格が上がる一方で、輸出財価格が上がらなかったという場合であろう。もちろん、問題は両者の相対的な価格である。

2014-11-02 14:26:56
広夢 @scidreamer

(10)2000年代にはアメリカの住宅バブルがあった。だから、世界的に需要は増えていた。そうなると、日本が輸入している資源価格も当然上がる。輸入財価格が上がったのはこれで説明できるだろう。

2014-11-02 14:27:29
広夢 @scidreamer

(11)しかし、一方で世界的に需要が増大していたならば、日本の工業製品などの需要も増え、輸出財価格も上がったはずである。なぜ、日本の輸出財価格は輸入財価格ほど上がらなかったのか。

2014-11-02 14:28:01
広夢 @scidreamer

(12)日本の輸出財価格は、外国の輸入需要曲線と日本の輸出需要曲線との関係で決まる。世界的に需要が増えていたということは、外国の輸入需要曲線が右側にシフトしていたということだ。それは当然、日本の輸出財価格を上昇させる要因となる。

2014-11-02 14:28:28
広夢 @scidreamer

(13)しかし、現実には輸出財価格はそれほど上がらなかった。なぜか。それは日本の輸出供給曲線の方も右側にシフトしていからではないだろうか。需要曲線が右方シフトしても、同時に供給曲線も右方シフトしたならば、価格は上がらない。そのようなことが起こったのではないか。

2014-11-02 14:28:54
広夢 @scidreamer

(14)日本の輸出供給曲線が右方シフトするとはどういうことか。これはつまり日本の輸出財の供給量が増えるということである。では、なぜ日本の輸出財の供給量が増えたのか。 それを理解するには総生産・総支出と輸出・輸入の関係を考えるべきだろう。

2014-11-02 14:29:30
広夢 @scidreamer

(15)「総生産量-総支出量=輸出量-輸入量」という関係式は常に成り立つ。ここで、総生産量が一定の下で総支出量が減少すると、輸出量-輸入量が増える。ここで、輸入量も一定だとすると、輸出量が増える。

2014-11-02 14:30:07
広夢 @scidreamer

(16)つまり、内需(総支出量)が縮小すると、そこで消費されなかった財が輸出に回されることとなり、輸出供給量が増えることになるのではないか。そして、輸出供給量が増えると、輸出供給曲線が右方シフトし、輸出財価格に対してマイナス要因になるというわけだ。

2014-11-02 14:31:07
広夢 @scidreamer

(17)輸出財価格が上がらないと、交易条件は悪化する。 ただし、ここで外国の輸入需要曲線と日本の輸出供給曲線が共に右方シフトすると、輸出財価格は上がらないけれども、輸出数量は増えることになる。価格が一定で数量が増えるので、輸出額は増えることになる。

2014-11-02 14:31:37
広夢 @scidreamer

(18)以上、結論として、内需の縮小は交易条件を悪化させる。

2014-11-02 14:32:01
広夢 @scidreamer

(19)2000年代は小泉政権下で公共事業の削減が行われたために、内需が縮小していた。一方でアメリカの住宅バブルで外需は増大していたため、日本も輸出額が増え、経済成長することができた。

2014-11-02 14:32:30
広夢 @scidreamer

(20)しかし、交易条件は悪化したため、実質賃金は上がらなかった。これがいわゆる『実感なき経済成長』の所以ではないだろうか。

2014-11-02 14:35:25
広夢 @scidreamer

(21)ここから得られる教訓は、経済成長を意味あるものにするには、外需だけでなく内需も増やさなければならないということだ。外需主導の経済成長では国民は豊かにならない。内需も同時に増やす必要がある。

2014-11-02 14:35:46
広夢 @scidreamer

以上、連続ツイート「内需の縮小が交易条件を悪化させる」でした。ただ、理論としてもデータとしてもまだまだ分析が足りない仮説程度ですので、間違いや不十分な点があれば、是非ご指摘ください。

2014-11-02 14:39:19
広夢 @scidreamer

先の連続ツイートで誤字を発見したので訂正します。 (12) 誤:日本の輸出財価格は、外国の輸入需要曲線と日本の輸出需要曲線との関係で決まる。 正:日本の輸出財価格は、外国の輸入需要曲線と日本の輸出供給曲線との関係で決まる。 「供給」と書くべきところを「需要」と書いていました。

2014-11-02 19:38:23