「ノーホーマー・ノーサヴァイヴ」後半・再放送Ver(実況なし)

ツイッター連載小説"ニンジャスレイヤー 第3部 「不滅のニンジャソウル/Ninjaslayer Never Dies」"より @njslyrによる再放送「ノーホーマー・ノーサヴァイヴ」後半のまとめ(実況なし) 前半(#1~#3) http://togetter.com/li/743795 後半(#4) (今ここ) 続きを読む
0
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「グワーッ!?」ナムサン!およそ五秒間のうちに二度の杭打ち攻撃を受けたフォートレスの首は、その屈強な肩の間に半ばほどまでめり込んだ!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはフックを外し、回転ジャンプで飛び離れた。行動不能となった審判にかわり、近くの塁審が走ってきていた。 41

2014-11-10 22:51:27
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「暗くて見えにくいです!」塁審が恐れた。ニンジャスレイヤーはクルクルと回転し、ホームベースに着地した。「危険行為があった。注意されたし」ニンジャスレイヤーは呟き、ヘルメットを拾い上げた。ランニングホームランが成立した。フォートレスは……恐るべきはビッグニンジャ耐久力。 42

2014-11-10 22:52:10
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ヌウウーッ……」フォートレスはフルヘルムを剥がして投げ捨てると、両側から己の頭を掴み、首を引き伸ばした。バキバキと首関節が鳴り、身体形状は復帰した。ヘルムが失われ、ニンジャ頭巾とメンポ(面頬)のみとなった。目鼻からおびただしく出血。憤怒の形相だ。「貴様ァー」「試合を続けろ」43

2014-11-10 22:55:04
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

主審も目潰し攻撃から復帰し、元の位置へ戻ってきた。再開だ。選手が試合続行不能となれば、速やかに交替を立てねばならない。サブスティテュートはアマクダリ側ベンチで処置を受けている。マウンドには新たなピッチャーヤクザが立つ。持久戦は新たな局面を迎えた。再びギアがトップに入ったのだ。44

2014-11-10 22:57:16
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「私は勝つためにこのスタジアムに来た」ニンジャスレイヤーは言った。「ゆえに勝つ。覚えておくがいい」「おのれ……」フォートレスは目鼻から血を流しながら呻いた。「ナメるなよ……何を企んでやがる?デーゲーム会場時間まで粘り続けようたってなァ……」「そこまで粘るつもりもない」「何?」45

2014-11-10 22:59:59
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

待機時間リミットだ。ピッチャーヤクザが振りかぶり、投げた!「ザッケンナコラー!」「イヤーッ!」ガキィン!ホームランだ!モニタに「お祭り」の文字が光る!パワリオワー!ニンジャスレイヤーは恐るべき速度で塁を回る。彼はサブスティテュートの復帰をいまだ想定しているのだ! 46

2014-11-10 23:02:10
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ガキィン!パワリオワー!……ガキィン!パワリオワー!……ガキィン!パワリオワー!……ガキィン!パワリオワー!……ガキィン!パワリオワー!……「アバーッ!」ピッチャーヤクザがセプクし交替!……ガキィン!パワリオワー!……ガキィン!パワリオワー!ゴウランガ……おお、ゴウランガ! 47

2014-11-10 23:02:49
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「貴様ァー!なぜ得点する!なぜだ!」フォートレスは吠えた。「無駄な努力!何点とろうが貴様に勝ちは無し!無限に無しの筈なのに!」「否」ニンジャスレイヤーは冷たく見据えた。「言い忘れたが128点で試合は終わりだ。そういう仕組みだ」「何?」「嫌でもすぐにわからせる。時、既に遅し!」48

2014-11-10 23:12:18
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「嘘だ!」否、嘘ではない!確信と決意に満ちた宣言……!フォートレスはほとんど悲鳴を上げていた。「ナンデ?ナンデこんな事になりやがってやがる!?ナンデ終わらない?アウトにならない?出塁して失格にならない!?完勝ルールなのに!ハンコなのに!俺は!俺はジョックで、ニンジャなのに!」49

2014-11-10 23:15:57
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「オヌシが!ニンジャだからだ!」ニンジャスレイヤーの双眸がカッと見開かれた!彼はジゴクめいて宣告した!「ニンジャを殺す!慈悲は無い!」「アバーッ!」フォートレスが吐血!「スッゾオラー!」飛びくるヤクザボール!ニンジャスレイヤーは打ち返す!ガキィン!パワリオワー! 50

2014-11-10 23:18:44
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ガキィン!パワリオワー!……ガキィン!パワリオワー!……ガキィン!パワリオワー!……ガキィン!パワリオワー!……ガキィン!パワリオワー!……「アバーッ!」……「ZBRを!持参せよ!」サブスティテュートが身を起こし、サイバネ医師を殴り倒して絶叫した!「パワードラッグを!」 51

2014-11-10 23:22:59
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ハイヨロコンデー!」持参されたZBRアンプルをサブスティテュートは首筋に躊躇いなく注射した。致死量の瀬戸際だ!腕の交換には時間がかかりすぎる。もう一本の腕で投げればよい。彼は暗殺野球のプロだ!「なにが128点だ……勝手な敗北は許さん!」IRCインカムからフォートレスを叱咤!52

2014-11-10 23:29:25
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

破砕した腕にPVC耐久テープを巻いて締めつけ、サブスティテュートはグラウンドへ降りた。審判にタイムを指示し、無雑作にマウンドへ歩いて行く。更なるピッチャーヤクザがセプクし、再び新たなピッチャーに交替したところである。「イヤーッ!」「アバーッ!」その者を速やかに蹴り殺す。 53

2014-11-10 23:30:11
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……」ニンジャスレイヤーは目を細める。サブスティテュートの再復帰に至るまでの大量打点の結果、電光掲示板には127の数字が灯っていた。ニンジャスレイヤーはこのまま容赦無く点を取り切り、UNIXシステムを破壊するつもりでいた。だが、敵は戻ってきたのだ。 54

2014-11-10 23:32:07
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

二者の視線は再度ぶつかり合う。ニンジャスレイヤーはサブスティテュートの目に、何らかの意地を見て取った。……ただ捩じ伏せ、潰すのみ。「アバッ」かろうじてミットを構えるフォートレスが血泡混じりに呻いた。サブスティテュートが振りかぶった。先程とは逆の手!そして投げる!「イヤーッ!」55

2014-11-10 23:34:38
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

マウンドに螺旋状の砂煙が渦巻き、紫色のエンハンス光が闇を割いて残像を描く。やや遅れて、質量が空気を貫く音が鳴り響いた。KDOOOOM!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはバットを振った。小刻みにブレながら飛ぶボールは残像と並行し、渦巻くようにキャッチャーミットをめがけた。 56

2014-11-10 23:37:02
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

バットがボールを……捉えた!ゴウランガ!だが、ボールは飛ばない!見よ!恐るべき投球はシュルシュルと音を立てて回転し、バットを押し戻し始めたのである!「ヌウウウーッ……!」ニンジャスレイヤーが目を見開く。その目にジゴクめいた赤黒の光が灯り、装束越しに縄めいた筋肉が浮き上がる! 57

2014-11-10 23:40:07
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

押し戻し……押し返し……押し戻し……押し戻し……押し戻し……押し返す!「イイイイイヤアアアアァーッ!」ニンジャスレイヤーはバットを振り抜いた!赤黒の炎めいた残像!打った!その瞬間、フォートレスは「サヨナラ!」爆発四散!打球は地を這うように飛ぶ!その先にはサブスティテュート! 58

2014-11-10 23:43:03
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」サブスティテュートはグローブで赤黒の炎を纏う打球を捉えた!ナムサン……打球はグローブの中で回転を止めず……否、いまだその回転の勢いを増し続ける!二人のニンジャの投打力が乗算された打球はグローブをそのまま焼き切る!「グワーッ!」破壊衝撃が腕を伝う!「グワーッ!」 59

2014-11-10 23:45:34
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ボールはサブスティテュートのサイバネティクス腕を抉り削り取りながら這い登り、胸部を貫通して背中から飛び出した!「グワーッ!」サブスティテュートは両膝から崩れ落ちる。突き抜けたボールはそのまま等比級数グラフじみた飛行軌道を描いて上昇し、ドーム天井の聖ラオモト画を貫通した! 60

2014-11-10 23:47:47
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ゴウランガ!ゴウランガ!ドームを突き破ってのホームラン!モニタに「お祭り」の表示が灯り、一瞬後、「おかしな」の表示に切り替わった。そしてカラーバーに。サブスティテュートの「サヨナラ!」という叫びはディストーションのかかったパワリオワー音に掻き消された。ガガ、ガガピガガー! 61

2014-11-10 23:49:51
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ナムサン!球場UNIXシステムは128点などという点数を想定していない。計算システムがオーバーフローし、モニタが火を吹き、そして爆発した。KABOOOM!KABOOOOM!一回表、128-0。その表示がモニタに正しく表示されることはなかった。KRA-TOOOOM! 62

2014-11-10 23:52:03
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「スッゾ……」「退避重点アバーッ!」アマクダリベンチが崩落し、サイボーグ野球ヤクザ達が押し潰されて死んでゆく。ガガピガガー!ガガピガガー!狂った天使ファンファーレ騒音が、死にゆく者らを鎮魂する。 63

2014-11-10 23:53:54
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

この瞬間、球場を遠く離れた某所、ナンシー・リーは結わえた髪をほどき、美しい横顔にUNIXモニタ光を受けていた。球場のシステム脆弱性をバックドアに、彼女は闇サーバーシステムに侵入。ハンコと筆跡データを痕跡一つ残さず消去し、エミュレイターという名のニンジャのIP情報を押さえた。 64

2014-11-10 23:55:54
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「流石ね」ナンシーは微笑んだ。「本当に128点取るなんて。一人で」部屋の反対側の椅子で横になるサイバーゴスの少女を見た。床に落ちた毛布をかけ直してやった。「奴らにはまだまだ後悔させてあげられるわよ」エミュレイターの命は24時間保つまい。デッキがディスクを吐き出し、闇が訪れた。65

2014-11-10 23:59:27