- tiger_lingon
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冬が近づいてきたために、日が落ちるのが早くなった。昼間のきれいな青色が夕暮れ時の今、だんだんと夕日の橙色に染められていく。そんな様子を、波が押し寄せる砂浜に立って眺めながら初霜は、自分の隣に立って同じように眺めている不知火に向けて言葉を紡いだ
2014-11-12 21:33:40「最近あっという間に、色が変わってしまいますね。…少し、寂しいです」 寂しげにそう呟く初霜に不知火は視線を移し、すぐに戻した。 「そうですね。でも不知火は夕焼け、好きですよ」 不知火の瞳に、橙色の光が映る
2014-11-12 21:36:53「何よりオレンジ色が、心をあたたかくしてくれます。…それに」 「それに?」 「橙というより、少し赤っぽいこの夕焼けの色を、あなたの瞳が、映しているからです」 突然のことで何を言われたのかすぐには理解できなかったが、理解してからは自分の瞳の色が少し照れくさく感じた
2014-11-12 21:42:06それよりも、なんて恥ずかしいことを言えるのだろうと思い不知火の方を見てみれば、不知火の耳は真っ赤に染まっていた。やはり言った本人も恥ずかしかったらしい。なんだか嬉しくて、ふっと笑みがこぼれた。初霜は、ずっと水平線に沈もうとしている夕日を眺めている不知火の顔を自分の方へと向けた。
2014-11-12 21:48:47彼女の顔は、夕焼けではない赤に染められている。 「不知火さん私ね、青空が好きなの。雲一つない、青空が」 「雲一つない青空、ですか」 「そう。だってあなたの瞳に、悩み事とかの曇りがあったら嫌じゃないですか」
2014-11-12 21:50:52初霜の告白に、思わぬ形で反撃されたことを悟った不知火は、少しだけ手で自分の瞳を隠した後、微笑んだ。 「不知火の目が青空、ですか。全く、その通りですね」 「不知火さん?」 「だって不知火の瞳は、あなたの瞳という夕焼けに染められているんですからね」
2014-11-12 21:52:58初霜の告白に、思わぬ形で反撃されたことを悟った不知火は、少しだけ手で自分の瞳を隠した後、微笑んだ。 「不知火の目が青空、ですか。全く、その通りですね」 「不知火さん?」 「だって不知火の瞳は、あなたの瞳という夕焼けに染められているんですからね」
2014-11-12 21:52:58不知火の言葉に初霜はくすりと笑って不知火の首筋に腕を絡め、彼女の耳元で問う。 「…染められているのは、瞳だけなんですか?」 「…もちろん、瞳だけじゃありませんよ」 初霜の行為に応えるように不知火も初霜の背中に腕を回す
2014-11-12 21:57:25不知火の言葉に初霜はくすりと笑って不知火の首筋に腕を絡め、彼女の耳元で問う。 「…染められているのは、瞳だけなんですか?」 「…もちろん、瞳だけじゃありませんよ」 初霜の行為に応えるように不知火も初霜の背中に腕を回す
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