片岡剛士氏「14年Q3のGDP速報値をエコノミストが大幅に外したことについて」2014年11月26日

「多くのエコノミストが増税ありき(&増税の影響は軽微)という前提で分析していたことは自戒する必要はあるでしょう」 「QEの成長率を各項目の動向まで含めてぴったり公表値とほぼ変わらない形で当てるのは至難の業であることは理解した方がよい」
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片岡剛士(Kataoka Goushi) @goushikataoka

14年Q3のGDP速報値をエコノミストが大幅に外したことについて、日経でも記事が出ていたが、僕の所感を少しつぶやきたいと思います。以下ご参考まで。

2014-11-26 01:17:05
片岡剛士(Kataoka Goushi) @goushikataoka

@goushikataoka まず各社が出している「予想」の性格についてだが、これは顧客向けに自社の製品を買ってもらうための基礎情報としての経済シナリオを提供するという意味合いがあるので、純粋にバイアスなしでの「予想」とは言いがたい側面はある事に留意する必要がある。

2014-11-26 01:21:22
片岡剛士(Kataoka Goushi) @goushikataoka

@goushikataoka つまり株式市場に近い場合は楽観的、債券市場に近い場合は悲観的という特徴は致し方ない。

2014-11-26 01:25:35
yasuhiro @yasuhiro392

@goushikataoka ということは、金融機関においては、調査部の独立性は担保されていないと見て間違いないのでしょうか?

2014-11-26 01:27:47
片岡剛士(Kataoka Goushi) @goushikataoka

@goushikataoka 次にGDPは各種統計から推計される加工統計であることに留意する必要がある。予測とは言うけれども、各種統計がアップデートされれば、その動きに応じて計算されるGDPも変化する。

2014-11-26 01:27:50
片岡剛士(Kataoka Goushi) @goushikataoka

@goushikataoka 一次QEの場合は鉱工業生産の結果に大きく影響を受けるので、鉱工業生産が大きく変動した場合には、当初の「予測値」が鉱工業生産の結果を反映して大きく変化することもある。例えば14年Q2の一次速報段階の「予測値」が大きく修正されたのはこのため。

2014-11-26 01:29:53
片岡剛士(Kataoka Goushi) @goushikataoka

@yasuhiro392 そこは各社それぞれでしょう。私もよくわかりませんし、知っていてもここで特定の会社についてはつぶやけません。汗。

2014-11-26 01:31:08
片岡剛士(Kataoka Goushi) @goushikataoka

@goushikataoka GDPは加工統計だから、GDP速報値が公表される直前において速報値と各社予測値の距離が縮まるのは当然の動き。ただ前期比伸び率で0.1%の差は年率に直すと0.4%。0.2%伸び率が違うと年率の予測誤差は0.8%。現状、ぴったり当てるのは至難の業。汗。

2014-11-26 01:37:00
片岡剛士(Kataoka Goushi) @goushikataoka

@goushikataoka 加えて、特に一次QE段階ではGDP推計の際の参考になる情報量が少ない(鉱工業統計といった供給側統計がメイン)のと、在庫の推計は困難を極める。14年Q3の一次QEについては在庫の急減がクローズアップされたが、これを予測できたエコノミストは皆無だと思う。

2014-11-26 01:39:44
片岡剛士(Kataoka Goushi) @goushikataoka

@goushikataoka 鉱工業生産の在庫の動きを見ていても、在庫の動きを予測することは元々できない。在庫急減を予測できないエコノミストはバカというのはさすがに言い過ぎだと思う。逆にいうと、在庫の寄与度が急減したくらいでGDPの伸びの見通しが大幅に変わった事の方を問題にすべき

2014-11-26 01:42:27
片岡剛士(Kataoka Goushi) @goushikataoka

@goushikataoka 民間消費については、耐久財消費の落ち込みが長く続いていること、消費税の影響を反動減のみだとしてV字回復するのではないかという思い込みがあったのは事実でしょう。ここは批判されても仕方がないかな。

2014-11-26 01:47:24
yasuhiro @yasuhiro392

@goushikataoka なるほど。とは言え、落ち込みの原因が天候だとか(勿論、その影響がゼロとは言いませんが)、4-6の反動がとかいうエコノミストの分析ロジックやその言い訳けは論外かと。そもそも増税しているわけで、その影響が軽微だとかは、素人目線でも違和感ありましたね。

2014-11-26 01:47:43
片岡剛士(Kataoka Goushi) @goushikataoka

@goushikataoka 後は設備投資が前期比マイナスだったのも、楽観派にとっては想定外だったでしょう。ただこうした点は需要側の統計が出そろってくる段階でどうなるかは今のところはわからない。自分はそんなに増えるかな?とは思いますが。

2014-11-26 01:49:39
片岡剛士(Kataoka Goushi) @goushikataoka

@yasuhiro392 ご指摘の点は言うまでもなく論外です。多くのエコノミストが増税ありき(&増税の影響は軽微)という前提で分析していたことは自戒する必要はあるでしょう。自分は当初から予想はしていましたが、毎月のデータは予想通りにひどくてビビッてましたが。。。汗。

2014-11-26 01:52:26
片岡剛士(Kataoka Goushi) @goushikataoka

@goushikataoka いずれにせよ、QEの成長率を各項目の動向まで含めてぴったり公表値とほぼ変わらない形で当てるのは至難の業であることは理解した方がよいのではないかと思います。自分はQEの予測はしませんが、それは当たらないとの批判を避けるためでもあります。笑。

2014-11-26 01:55:24
yasuhiro @yasuhiro392

@goushikataoka 片岡さんは、Twitterでも消費増税の影響を最も心配されておりましたね。前回や今回の点検会合でも、消費増税には反対の立場も一貫しています。最も信頼できる民間エコノミストのお一人です。 著書も購入いたしました!

2014-11-26 01:56:24
片岡剛士(Kataoka Goushi) @goushikataoka

@goushikataoka エコノミストの「予測」をどう使うかですが、楽観派、悲観派の中で理屈立てて予測をしている人の見通しを定期的に参照するのは意味のあることだと僕は思います。内閣府の公表値との距離感をつかんでおけば、定期的にウォッチしている人の予測から大体の事はわかる筈。

2014-11-26 02:00:01
片岡剛士(Kataoka Goushi) @goushikataoka

@goushikataoka なお、経済財政モデルなり、政府経済見通しなりの予測と、各社が出しているQEの見通しとは方法論が違いますので、同列に批判なり論じても意味がないと思います。

2014-11-26 02:01:29
片岡剛士(Kataoka Goushi) @goushikataoka

@goushikataoka 内閣府が年初と年央に出している中長期の経済財政の絵姿は、経済財政モデルというマクロ経済モデルから得られるシミュレーション結果です。これは外生変数を与えてモデルを回し、内生変数を解くという作業により出てくるもの。外生変数の条件設定から得られる条件付予測

2014-11-26 02:04:16
片岡剛士(Kataoka Goushi) @goushikataoka

@goushikataoka 加えて年度単位の数値を出す年度モデル。7月に公表された経済財政試算は当然4-6GDPの結果など折り込んでいませんので、14年度の実質GDP成長率は1.2%と、現時点の各社見通し(マイナス成長)とは開きがある。

2014-11-26 02:06:13
片岡剛士(Kataoka Goushi) @goushikataoka

@goushikataoka もちろん内閣府の試算結果が消費税増税の影響を軽く見ていたという批判は正しいでしょうし、僕も本の中でも批判していますけど、そうした点以外にも元々前提条件が違うし、方法が元々違うことを踏まえて批判をした方が良いと思う。

2014-11-26 02:08:38
片岡剛士(Kataoka Goushi) @goushikataoka

@goushikataoka なお、経済財政モデルから得られる試算結果は、財政健全化への道筋を得るための条件とは何かという目線から検討・利用した方が良いと思う。作業をされている方も将来予測をするというより、政府が行う施策によって将来こんな姿を目指すという絵姿を描いている訳だから。

2014-11-26 02:11:00
片岡剛士(Kataoka Goushi) @goushikataoka

@yasuhiro392 ありがとうございます。実は政策の影響が色濃く反映される状況って、経済動向を予測しやすいと思うのです。異次元緩和後の動きしかり、消費税増税しかり。過去の動向も参考になりますので。むしろこうした政策の影響をあまり重視しなかった事の方が予測云々より問題かと。

2014-11-26 02:14:09
片岡剛士(Kataoka Goushi) @goushikataoka

@goushikataoka 政府経済見通しについては、各省の担当するパートに分かれて予測するという手法をとっている(と自分の経験からは)思う。短期の見通しなので四半期ベースの予測をして、それを年度ベースに展開しているかと。予測の手法はそれぞれなのでしょうが。

2014-11-26 02:16:13
yasuhiro @yasuhiro392

@goushikataoka 特に今回は、97年の消費増税の影響を一度おさらいできていれば、増税後の景気減速は素人的にも予想できたと思います。ところが、民間エコノミストの多くが、7-9月のV字回復予想という失態を犯したように思います。 深夜に、ご丁寧にありがとうございました。

2014-11-26 02:20:05