掌小説語り~自作つぃのべる集14~

自作つぃのべるまとめです。2013年8月分。
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リュカ @ryuka511

君が望むならピエロにだってなれるよ。君が笑ってくれるならどんな滑稽な役割でも喜んで演じよう。手を汚すのも厭わない。僕の涙はただのメイクだから気にしないで。手袋だってしてるから。冷たい雨も暗い陰謀も卑しい悪意も、君に触れる事は許さない。君は何も知らなくていいんだ。 #twnovel

2013-08-01 00:02:15
リュカ @ryuka511

終末を迎えた世界のある島にタブレット端末が流れ着いた。壊れかけたそれは音も無く映像の再生を繰り返す。静かな記憶を何もいない世界に語るかのように。聴き手のいない語りは、タブレットのバッテリーが切れ唐突に終わった。世界の終わりと同じように。 #twnovel #世界もう滅ぼしたい協会

2013-08-01 23:24:29
リュカ @ryuka511

ランプに想像の火を灯したら、重いカーテンの緞帳を上げよう。窓の向こうには冒険の世界が広がってる。高層ビルは天空への塔、輝く月は空飛ぶ城。世界を救うも滅ぼすも自分次第、さぁ冒険の始まりだ。 #twnovel 何? 中二病? なら君は退屈な現実を退屈なままに生きればいいさ。

2013-08-03 01:05:51
リュカ @ryuka511

お城には、かつて勇者が魔王を討った際に使われたという銀色の聖剣が収められていた。勇者の末裔である王子にも触れる事は許されない伝説の剣。何故、と王子は思う。魔物が世界に跋扈し始め、魔王復活の噂が囁かれる今、勇者の子孫である自分が立ち上がる時ではないか。 #twnovel 1/2

2013-08-03 23:55:30
リュカ @ryuka511

剣が収められた部屋に向かう。行く手を阻む魔法陣を解除した。「これで俺が勇者だ!」台座に近付き勢いよく剣を抜く。あっさり抜けた剣に勢い余って転倒した王子は、顔を上げ驚愕した。黒い影が嗤う。剣は、封印だったのだ。「勇者気取りの愚かな王子よ、感謝するぞ。」 #twnovel 2/2

2013-08-04 21:03:15
リュカ @ryuka511

戦いの果てに残されたものは、荒廃しきった世界だった。魔王から世界を救う為に戦っていたのに。勇者は途方に暮れる。強大な力のぶつかり合いに、世界は耐えられなかった。「こんな世界は支配してもつまらん。」そう言って魔王は消えてしまった。「狡いぞ魔王。俺も連れて行けよ。」 #twnovel

2013-08-05 23:19:29
リュカ @ryuka511

旅の途中で意気投合し再会を約束して別れたあなた。こんな形で再会するなんて。私にとってあなたは仲間の仇、あなたにとって私は部下の仇。けど出逢うべきじゃなかった、なんて言えない。宿命を忘れただの少女でいられた時間は幸福だったから。宿命も恋もこれで終わりと剣を交わす。 #twnovel

2013-08-06 22:43:53
リュカ @ryuka511

天国に来て数年。老紳士はお気に入りの椅子に腰掛ける。娘ほど歳の離れた妻は元気だろうか。孤独な時間を愛で埋めてくれた彼女に残せるような財産など無く、また彼女もそんなものを望まなかった。彼女が望んだのは彼の使い古した鞄。なぜそれを望んだのか、彼にはよく解らなかった。 #twnovel

2013-08-07 22:08:15
リュカ @ryuka511

霧雨が降り乳白色に煙る街をさ迷う。雨は思いの他冷たく、細い背中が震えていた。ぬくもりなどいらない、自分の力で生きるのだと決めていたはずなのに。 #twnovel 「俺ん家来るか?」「にゃーん。」自分を抱き上げた温かい手と優しさに思わず身を寄せたのは、寂しかったからだろうか。

2013-08-08 23:29:03
リュカ @ryuka511

夢は記憶の整理だとか、願望の表れだとか、何らかのメッセージだとも言われます。生きている証だと言っていいでしょう。ところで、最近人間そっくりのアンドロイドが施設から数体逃げ出しましてね、回収と処分を命じられてるんですが……。あなた、最近夢をみましたか? #twnovel

2013-08-10 00:02:44
リュカ @ryuka511

引き出しに眠る破れた手紙、出す事も捨てる事も出来なかったこの手紙は、僕の時間を止めていた。彼女に恋して、彼女に釣り合う人間になりたくて努力した。もっと早くそうなれていたら、少しは何かが変わっただろうか。高嶺の花は、永久に手の届かない存在になってしまった。 #twnovel

2013-08-11 00:12:53
リュカ @ryuka511

吸血鬼と人間の間に生まれた自分を半端者と見下す吸血鬼より優しい人間の方が好きだ。だが彼は不安だった。自分の秘密と嘘を知っても彼らは変わらず接してくれるだろうか。 #twnovel 答えは否。抑えられない吸血衝動。そして理解する。半端者と言いつつ吸血鬼は自分を受け入れていたのだと。

2013-08-11 23:00:18
リュカ @ryuka511

楽園の最果ての門で彼は途方に暮れる。大好きだった人は赤く実った果実を食べたせいで楽園を追い出された。名を呼んでもらう事も、優しく撫でてもらう事も叶わない。胸がきりきり痛む正体不明の感情に彼は困惑した。門を越える事も禁を犯す事も出来ず、楽園にいながら彼は苦悩する。 #twnovel

2013-08-12 22:28:48
リュカ @ryuka511

その古い時計がいつから動いているのか誰も知らなかった。作られた年代も不明で、いつ止まってもおかしくない程古びている。だが、いつでも寸分違わず時計は動き続けていた。いつしか、人々は時計が止まる事を怖れ始める。時計が止まった時、何か恐ろしい事が起こるかもしれないと。 #twnovel

2013-08-13 23:18:38
リュカ @ryuka511

彼女はその容姿から忌み嫌われていた。だが彼女は自分の容姿に誇りをもっていた。好かれようと媚びる気もさらさら無い。それでもどこかに淋しさはあったのだろうか。流浪の果てに辿り着いた異国、黒猫を忌む風習のないこの国で、彼女は愛され気儘に暮らしている。 #twnvday #twnovel

2013-08-15 09:04:05
リュカ @ryuka511

癒し系と持て囃されるが、誰かを癒そうだなんて微塵も考えてない。あるがまま気儘に生きてるだけ。なのに。 #twnvday 「あっ! 猫だ!」「可愛い!」「癒される〜!」 たちまち囲まれてしまう。無闇に撫で回すのは止めろにゃ! #twnovel

2013-08-16 09:56:10
リュカ @ryuka511

寂しさなんて気の迷い、自嘲して首を振る。だって私が望んだ結末なんだから。私の属した世界にさよならと告げて、憎しみや絶望が込められた殻を割った。望み通り全てが消えた。だけど。ねぇ、滅亡エッグ。どうして私も一緒に滅ぼしてくれなかった? #世界もう滅ぼしたい協会 #twnovel

2013-08-17 00:12:42
リュカ @ryuka511

夢を見る。巨大な砂時計のくびれた場所に、綺麗に輝くかけらが引っ掛かって砂が止まっていた。これじゃ役割を果たせない。手を伸ばすとかけらはあっさりと砂時計から抜けた。かけらは消え、さらさらと落ち始める黒い砂。そして私が目覚める事は無かった。 #twnovel #世界もう滅ぼしたい協会

2013-08-17 22:49:38
リュカ @ryuka511

数多の犠牲の上の勝利でした。しかし王は犠牲など取るに足らないと仰る。兵達は命懸けで戦ったというのに。何故我らを顧みて下さらない。 #twnovel それでも私は貴方を見限れない。貴方の代わりに私が悪になりましょう。愚かだと笑うでしょうか。貴方は覇道を行かれるのだと信じております。

2013-08-18 22:34:40
リュカ @ryuka511

照り付ける太陽に文句を言っていたら、ある日太陽は姿を消してしまった。謝り宥めても神話を倣い歌い踊っても太陽は姿を現さなかった。途方に暮れた人々が見上げた空に月が輝く。確かに太陽は空にあるのに。冷えていく地上。熱を持たない月明かりが、報いに喘ぐ人々の希望となった。 #twnovel

2013-08-19 22:38:10
リュカ @ryuka511

あれこそ一夏の恋と呼ぶに相応しいだろう。ナンパ目的で行った花火大会。浴衣の女の子達と意気投合して飲みに行ってその中の1人と話してる内に惹かれていった。けどメアド交換しようと切り出した時。「僕、男の娘だけどノンケなんだ。」「え?」「あれ? 解ってたんじゃないの?」 #twnovel

2013-08-20 22:46:50
リュカ @ryuka511

執筆に行き詰まった文豪は気分転換に海が見える宿を取り文机に向かった。これなら筆も進むと思ったのに一向に進まない。このまま一生書けないのか。畳に寝転がる彼の視線に古い水槽が映った。名を知らぬ魚が泳いでるのを窮屈そうだと感じる。そうか。彼は筆を置き浜辺へ駆け出した。 #twnovel

2013-08-21 22:18:43
リュカ @ryuka511

夜空に突き刺さらんばかりにそびえる高層ビル群を、彼は墓標のようだと思う。否、それはこれから正に墓標になるのだ。高度な人工知能を搭載したロボット達の手によって。人類は自分達が作り出した人工の存在、人類の叡智と誇った存在にとって代わられる。 #世界もう滅ぼしたい協会 #twnovel

2013-08-22 21:43:29
リュカ @ryuka511

最愛の人を失った日、私は復讐を決意した。銀の仮面はその証。私は彼女の愛した私を消し、世界に恐怖と罰を与える無慈悲な復讐者に徹する。決して仮面の裏を覗かせてはならない。私は魔王、愛など知らぬ。 #twnovel 魔王が失われた愛に泣いているなどと、知られるわけにはいかない。

2013-08-23 23:31:13
リュカ @ryuka511

夢の中でさえ世界は思い通りにはならない。夢でも叶わない夢に、悲嘆に暮れながら目覚める。世界は変わらず存在していて、君はここにいない。僕は自分のちっぽけさに失望する。取り残された気分でやけっぱちに願う。こんな世界、なくなってしまえばいい。 #世界もう滅ぼしたい協会 #twnovel

2013-08-24 22:10:32