茂木健一郎氏 @kenichiromogi 第1368回【ろくでなし子さん(@6d745)がふたたび逮捕】連続ツイー
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ろくでなし子さん(@6d745)がふたたび逮捕された。前回の逮捕は処分保留で釈放だったが、警察の判断はどのようなものだったのだろう。このような場合、裁判所に逮捕状が請求されるわけですが、裁判所は、外形的に構成要件を満たす場合は、警察請求の通り発行するものなのだろうか。
2014-12-04 06:54:48「わいせつ」という判断は、主観的である。警察としては、「社会通念」に基づいて判断しているのだろう。ここで問題は、その「社会通念」が、往々にして男性中心になりがちということだ。男性と、女性にとっての「わいせつ」は違うだろうし、個人差もまた大きいだろう。
2014-12-04 06:55:53男性の「わいせつ」は、視覚中心になりがちである。しかし、女性は必ずしもそうではない。女性にとっての「わいせつ」とは何かということを、男性は一度は想像して見るべきだと思う。警察は、構成人員に男性が有意に多く、「社会通念」を判断する時に、どうしても男性目線になりがちなのだろう。
2014-12-04 06:57:18ところで、ろくでなし子さんはアーティストである。アートは、常に、「社会通念」とのあつれきの中で表現を模索してきた。村上隆さん(@takashipom)もそうだし、会田誠さん(@makotoaida)もそうだ。現代アートは、社会通念との関係における批評性と切り離せない。
2014-12-04 06:59:32アートにおける批評性、表現の自由を肯定的にとらえる人にとって、今回のろくでなし子さんの逮捕は、警察の誤判断だと映るだろう。一方、警察は、必ずしも文化的な感性の高い人の認識を基準に動くのではない。あくまでも、一般の人々の感覚、認識をもとに、判断をして動く。
2014-12-04 07:01:42その意味で、今回のような事態が起こった時に問題になるのは、果たして、日本の社会の中で、アートのもつ批評性、表現の自由についての理解、合意がどの程度形成されているか、ということだろう。今回の警察の行為が社会通念と明白にずれているという判断は、残念ながらできそうもない。
2014-12-04 07:02:53ごく一般の方と話すと、日本の社会通念においては、「公募展」的なものがアートの標準的理解であることが伝わってくる。年功序列、予定調和、根回し、談合。本来、現代アートの批評性とは無縁の、ぬるま湯的な体質が、日本における一般のアート感性をかたちづくってしまっている。
2014-12-04 07:04:35本来、新聞やテレビなどのメディアは、一般の感性水準よりは、少し先端的、進歩的なスタンス(いわゆる啓蒙的視点)をとることもできるはずだが、近年の日本においては、むしろ、一般の感性水準に合わせて、それを増強する、ポピュリズム的スタンスをとるメディアの方が、調子がよい。
2014-12-04 07:05:48このような状況の下で、今回のろくでなし子さんの逮捕が、一般の社会通念において、不当であるという認識は広がりにくいだろう。メディアも、男性中心の視覚的わいせつ概念自体を問うという、根源的な態度はおそらくとらない。かくして、日本は変わらず、一般の社会通念も揺るがない。
2014-12-04 07:07:09日本にも、ターナー賞( tate.org.uk/whats-on/tate-…)をつくったらいいんじゃないか。授賞作品の選定自体が社会的事件となり、賛否両論を呼び、反対デモまで起こる。美術好きだけでなく、一般の感性水準を上げないと、同じことが何度も繰り返される。
2014-12-04 07:09:12以上、連続ツイート1368回「日本にも、ターナー賞をつくったらいいんじゃないか」をテーマに、10のツイートをお届けしました。
2014-12-04 07:10:23