#ひこぬとあそぼ　まとめ

水城みと @mzsr310

いつからか僕の中に現れたミルク色の海。甘い甘いその中を砂糖菓子が泳ぐのです。僕が声をかけると不思議そうに見るけれど、近寄っては来ない。その姿が美しいと僕は密かに思っていました。ここには不思議と人が居ないので、ねぇ、もしかして。僕だけ、彼らを知るのかも知れません。 #ひこぬとあそぼ

湖上比恋乃 @hikonorgel

フジパン本仕込みは『白』と『狡い』を使用した140文字小説を書きましょう。 #novel_odai shindanmaker.com/244907 #ひこぬとあそぼ　注：入力する名前はやしろさん考案です。

うぉんうぉー @846n

38.4℃……完全に風邪をひいた。朝起きた時点で、わかってはいたけれど原因は隣で寝ているこいつだ。冬のこんなクソ寒い日に、布団はおろか毛布まで巻き取られたらしく。ああ、身体が、視界か、揺れる。昨日、夜遅くまで苛めた仕返しにしては、中々にパンチの効いた…… #ひこぬとあそぼ

湖上比恋乃 @hikonorgel

走る。今までこんなに一生懸命走ったことなんてないかも。間に合うか、どうか。あの子が汽車に乗って、遠くへ行ってしまう。発車時間まであと三分。駅について、何か餞別でもと押した自販機からは、なぜかネクターが出てきた。汽車を待つ彼女の髪が揺れている。その首筋に「これ」。 #ひこぬとあそぼ

湖田@復帰 @kotatataki

君の母親は木もれ日という言葉が好きで、かねてより一番美しい日本語だと言っていた。そんなことを君にいつ伝えようかなどと迷いながら、僕はガラス越しに庭を眺める。ポプラの木陰で君が太陽に向かって突き出した両腕の、その肌の上で揺れる光はどこか涙に反射するそれに似ていた。 #ひこぬとあそぼ

湖上比恋乃 @hikonorgel

ネクターは『揺れる』と『肌』を使用した140文字小説を書きましょう。 #novel_odai shindanmaker.com/244907 #ひこぬとあそぼ　どんどん遊ぼう！

湖上比恋乃 @hikonorgel

付喪神が物に宿るには、いったいどれだけの年月が必要なのだろうか。どれだけの愛を注げば、付いてくれるのだろうか。形見に譲られたペンにはすでに、叔父の愛がたんまり注がれていることだろう。でも、僕の愛で神さまが付くには、まだまだ、だなあ。キャップを、ゆるりと回す。 #ひこぬとあそぼ

うぉんうぉー @846n

LINEをやってないとか珍しいね。と、言われても私は機械オンチなので携帯もロクに使えない。好きな人に連絡先を交換しよう、なんて言ってくれたものだから、親に強請り倒して手に入れたが、まさに因果応報。機械オンチじゃなければ、彼に手紙で想いを伝えなくてすんだのに。 #ひこぬとあそぼ

湖田@復帰 @kotatataki

三年ぶりに押入れから出した鞄の中から、企業ロゴ入りのボールペンが出てきた。ノックしても返事がないので分解してみると、小さく折り畳まれた紙片が詰まっているのを見つけた。爪の先でそっと拡げてみると、右上がりの小さな文字で、消えかけの愛の言葉が綴ってあった。 #ひこぬとあそぼ

湖上比恋乃 @hikonorgel

『ペン』と『愛』を使用した140文字小説を書きましょう。 #novel_odai shindanmaker.com/244907 #ひこぬとあそぼ　なんか私のためのようなお題がでてきたよ！

うぉんうぉー @846n

初めての彼と初デートは公園だったなぁ。 そういえばお弁当を作っていったんだっけ。料理したことないのに張り切っちゃって、彼の好きな玉子焼きと唐揚げを入れたっけ。美味しいって食べてくれたのは嬉しかったなぁ。よしお仕事頑張れるように、明日のお弁当に入れてあげようか。 #ひこぬとあそぼ

湖上比恋乃 @hikonorgel

新入社員一日目も、とうとう半分が過ぎた。お昼の時間だ。一人暮らしは節約第一ということで、弁当なんぞを人生で初めて作ってみた。それを、デスク上で広げる。……勇気は残念ながら持ち合わせていない。公園のベンチにて、白ご飯に梅干しが二つのせられた、寄り弁が僕を見つめる。 #ひこぬとあそぼ

湖上比恋乃 @hikonorgel

ひこのは『弁当』と『恥ずかしい』を使用した140文字小説を書きましょう。 #novel_odai shindanmaker.com/244907 #ひこぬとあそぼ　次はこれだよー！ふぁいおー！

うぉんうぉー @846n

薫る珈琲の匂いを吸い込めば、騒がしい朝も幸せになってしまえるのは私だけだろうか。 一杯目は必ず真夜中のような色をした珈琲を飲み、身体に夜の終わりを告げる。二杯目は夜空にミルクの海で橋を架ける。混じり合った珈琲は白みだした夜明けの色。朝の始まりを告げる色。 #ひこぬとあそぼ

湖上比恋乃 @hikonorgel

ミルク色の海が、この世界のどこかに存在しているのだと信じていた。まだ十にも満たない幼い頃のこと。朝食に出る牛乳は苦手だけれど、きっとその海はとってもおいしくて甘いはずだった。なんてったって、砂糖菓子でできたイルカや魚たちが溶けているのだもの。ずっと、信じていた。 #ひこぬとあそぼ

湖上比恋乃 @hikonorgel

ひこのの海は、 ミルク色の海です。 口にふくむとどこか甘い味がします。 砂糖菓子の親子イルカがよくこの海を泳いでいます。 人は入れない禁じられた聖域の海です。 shindanmaker.com/388485 #ひこぬとあそぼ の次のお題はこれ！

うぉんうぉー @846n

幼なじみに初めて好きな人が出来たからって言われて、淡い気持ちに蓋を閉じ、素直に応援しようと思った。 一緒に洋服を買いにいって、プレゼントをあげたいっていうから選んであげた。告白もしたいって言うから聞いてあげた。でも、それが本番だとは聞いてなかった。 #ひこぬとあそぼ

湖上比恋乃 @hikonorgel

紙面に無数にあけられた穴を、ひたすら埋めていく。無数って言っても、一問につき穴は四つで、それがまあ数えられるだけあるわけだから、語弊があるかもしれない。とにかく今はその穴を埋めている作業中だ。試験時間は五十分で、正解の穴は四分の一。落とし穴は、そこかしこにある。 #ひこぬとあそぼ

湖上比恋乃 @hikonorgel

次のお題は『落とし穴にご注意を』です。お時間ある方はぜひぜひー！ #ひこぬとあそぼ

うぉんうぉー @846n

たったったっ、がしゃん。 私は退屈な授業を聞いているフリをして、教室の窓から高跳びをしている彼の姿を追いかけていた。 上手に跳べない彼は、いつも棒にぶつかってばかりで、その度に直して、またトライする。上手く跳べる君じゃなくて、ひたむきに挑戦する君が好きだよ。 #ひこぬとあそぼ

湖上比恋乃 @hikonorgel

ずっとこのときを心待ちにしていた。幼い君を見つけ、そっと家に持ち帰ったあの日のことを僕は忘れないだろう。腕に抱えられるほどの小さな部屋に閉じこめて、食事や温もりを与え、静かに成長を見守ってきた。この瞬間のために。君はついにサナギになり、とうとう背なが、裂けた。 #ひこぬとあそぼ

水城みと @mzsr310

私が小さい時、忙しい両親に代わって面倒を見てくれる親戚の小母さんがいた。彼女が出すお菓子が好きだった。ひとり暮らしをはじめるようになって思い出したその事実。母に問うと、何馬鹿なことを言ってるのと一笑された。嗚呼、でも、暖かな手と背中は、覚えているけれど、顔が。 #ひこぬとあそぼ"

湖上比恋乃 @hikonorgel

次のお題は『この瞬間の君が好き』です。 shindanmaker.com/392860 #ひこぬとあそぼ

うぉんうぉー @846n

職人だった親父が逝ったのは、俺が三歳の頃らしい。もう顔はおろか、声も思い出せないのだが、唯一覚えているのは職人のような後ろ姿。親父は轟音の中、ひたすらはき出される玉を管理する仕事をしていたらしい。高校を卒業した俺はその姿を追いかけて、今日もパチンコ屋にいる。　#ひこぬとあそぼ

湖上比恋乃 @hikonorgel

忘れたいことは、さほど忘れられないし、忘れたくないこともぽつりぽつり消えていく。同じだけ消えて、同じだけ残る。ような、気がしている。昔の私にとって大切な人も、まずは声から忘れ、顔を忘れ、そうしていまでは後ろ姿しか思い出せなくなっている。もらった言葉だけ、残して。 #ひこぬとあそぼ