2014年に読んだ本(などなど)ランキング
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17.探偵小説のためのノスタルジア/古野まほろ 思えば今年は、旧訳天帝+探偵小説シリーズマラソンから始まった。幾つものロジックを同時並列で処理しつつ、どんでん返しの技も効かせたこれを選ぼう。稀有な論理を成立させたヴァリエイション、別解潰しと根性のディテクションが支える鳳翔も好き。
2014-12-28 22:25:2416.人魚とミノタウロス/氷川透 今年といえばメフィスト賞特集。氷川透に出会わせてくれたことには最大限の感謝を。顔のない死体と「論理/名探偵」というなかなか見ない取り合わせを、先人への批判を交えて巧みに調理したシビれる一作。初読みメフィストでは歪んだ創世記とUNKNOWNも好き。
2014-12-28 22:25:3115.「心の旅路」連続殺人事件/中町信 今年色々読んだけど、個人的にはこれが中町ベスト。記憶喪失になった女の周辺で起こる殺人事件の真相は? 騙しの技巧を追求した作者が、この作品では手掛かりの美も魅せてくれる。空白の殺意、天啓の殺意が無難に良い。奥只見温泉郷殺人事件はちょいやりすぎ
2014-12-28 22:26:0814.暗闇坂の人喰いの木/島田荘司 すごかったよなあ……大トリック。でも決してトリックだけではなくて、凄惨な描写の書き込みや、過去を踏まえた怪異の演出によって、偶然を誤魔化しながら一枚の絵をしっかり作り上げている。島田荘司、来年はもうちょっと読みたい。
2014-12-28 22:26:1713.初稿・刺青殺人事件/高木彬光 自分のミステリ読書会の関係で読んだ本、というのも今年は多い。よりシンプルな形でその巧みな構成を味わえる『刺青』の初稿版だけでなく、カーの影響を感じる決め手スルドイ犯人当て「妖婦の宿」なども収録していてオイシイ。『誘拐』とかも読んだけど傑作だった
2014-12-28 22:26:2812.暗い傾斜/笹沢佐保 読むぞ読むぞ!と言いながら3冊しか読めなかった笹沢佐保(←)。アリバイトリックの核は知っていたが、それだけでは色褪せない傑作。不倫や会社などの生臭いテーマを取り込んだ昭和ミステリならではのアイデアと、それが生み出す余韻が染みる。『他殺岬』も良かった。
2014-12-28 22:26:4411.煙の殺意/泡坂妻夫 8編全てが違うテイストでありながら、その全てに泡坂の逆説と奇想が横溢しているとんでもない短編集。情景の美しさに酔う「赤の追想」、大胆な一撃が心憎い「紳士の園」、剛腕炸裂の表題作など、たまらなかった。
2014-12-28 22:27:1710.小説スパイラル4 幸福の終わり、終わりの幸福/城平京 この一年で城平を全作読み、特集まで組んでしまいました(←)。中でも好きなのはこれ。論理の積み上げにより明らかになるとんでもない構造。知恵熱を催すようなハードパズラー。しかもこんな芸当をして認められるのは城平くらいだ。
2014-12-28 22:27:419.盤面の敵/エラリイ・クイーン 今年もクイーンをよく読んだ。ライツヴィルは大学一年で全て読んだので、「悪の起源」から刊行順に読みました。やってることもかぶってきてるし、謎解きのキレはとうにないのに、後期クイーンは最高にキュートでクールで楽しくて泣けるんだよな。何なんだろうね。
2014-12-28 22:27:508.第三の女/夏樹静子 交換殺人テーマの傑作。普通なら絶対に納得できない、成立し得ないネタを、叙情性に満ち溢れさせ、泣かせてしまうのは夏樹静子の筆のなせる技だろう。パリで出会った女と結んだ、一夜限りの契りと約束。男は再会だけを望んで、約束である交換殺人に乗り出し……。
2014-12-28 22:28:177.十三角関係/山田風太郎 同期の山風読書会のおかげでようやく読めた。バカトリック、狂気の動機、奇想の光景。次々とアイデアが弾け飛ぶ眩暈のするような短編集。「帰去来殺人事件」のトリックは一体何なんだ。こんなの誰が考えつく!? 読書会の『甲賀忍法帖』も面白かったし、そっちも読みたい
2014-12-28 22:29:096.夜の記憶/トマス・H・クック 海外ミステリ読書会のおかげで出会えました。鬱々として憶測にまみれた主人公の語りに呑まれ、不安に宙ぶらりんにされ、数々の手がかりが指し示す真相に恐懼し、結末に思わず涙した。傷を抱えた一人の作家の物語としても抜群にうまいミステリ。
2014-12-28 22:29:205.誰のための綾織/飛鳥部勝則 「フェアプレイに徹しすぎではないか? 何だかもったいない」と飛鳥部の作品を色々読みながらしかめ面をしていた僕を、「今回はアンフェアに挑む」という冒頭の宣言で殴りつけ泣かせてくれた作品。バカの乱打『堕天使拷問刑』、構成の魔術『黒と愛』も素晴らしかった
2014-12-28 22:29:304.五匹の子豚/アガサ・クリスティ ちっくしょうクリスティ、最高におもしれえじゃねえか!! 回想の殺人のお手本のような作品で、しかも最高峰。五人の容疑者の語りが、それぞれの人物の印象を目まぐるしく変えていき、最後には鮮やかに「絵」を反転させる。手掛かりもキレていて、素晴らしい。
2014-12-28 22:29:393.宵待草夜情/連城三紀彦 連城の空恐ろしさに震えた傑作しかない(語弊ではない)短編集。奇想の真相を男女の情念で巧みに支えて見せた「花虐の賦」が一番好きだが、表題作の情景には泣かされたし、一番短い「野辺の露」ですらぞくりとする。夜鼠も面白かったから、今度はこれ復刊しようぜ。
2014-12-28 22:29:502.貴婦人として死す/カーター・ディクスン 冒頭からして車椅子に乗ったHMが暴れててマジ○チカーだし、足跡トリックはカーなのにスマートだし、真犯人指摘シーンは死ぬほどかっこいいし、一体何なんだこの傑作は……。最高傑作ですよ。今年読んだカーだとマジ○チ全開の『魔女が笑う夜』も。
2014-12-28 22:29:571.ジェゼベルの死/クリスチアナ・ブランド 密室、多重解決、自白合戦、腰を抜かすような驚愕トリック。ミステリの愉しみを詰め込んだ大好きな一冊になりました。1位は『自宅にて急逝』と代替可。足跡の謎だけで多重解決を繰り広げ(しかもジェゼベルより楽しいぞ)、真犯人指摘演出も巧みなので。
2014-12-28 22:30:06【長編】 26位:白井智之「人間の顔は食べづらい」 27位:黒川博之「破門」 28位:泡坂妻夫「11枚のとらんぷ」 29位:司凍季「湯布院の奇妙な下宿屋」 30位:明利英司「旧校舎は茜色の迷宮」 #2014年書籍ランキング
2014-12-30 17:10:21【長編】 21位:桜庭一樹「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」 22位:ジェイムズ・P・ホーガン「星を継ぐもの」 23位:森博嗣「封印再度」 24位:伊藤計劃「虐殺器官」 25位:東野圭吾「マスカレード・ホテル」 #2014年書籍ランキング
2014-12-30 17:11:11【長編】 16位:青柳碧人「浜村渚の計算ノート 3と1/2さつめ ふえるま島の最終定理」 17位:芦部拓「異次元の館の殺人」 18位:江戸川乱歩「孤島の鬼」 19位:スティーヴン・キング「キャリー」 20位:朝井リョウ「スペードの3」 #2014年書籍ランキング
2014-12-30 17:12:43【長編】 11位:長沢樹「消失グラデーション」 12位:メアリー・シェリー「フランケンシュタイン」 13位:河野裕「いなくなれ、群青」 14位:早坂吝「○○○○○○○○殺人事件」 15位:鯨統一郎「冷たい太陽」 #2014年書籍ランキング
2014-12-30 17:13:32【長編】 6位:中井英夫「虚無への供物」 7位:百田尚樹「永遠の0」 8位:綾辻行人「霧越邸殺人事件」 9位:有栖川有栖「孤島パズル」 10位:古野まほろ「背徳のぐるりよざ」 #2014年書籍ランキング
2014-12-30 17:14:32【長編】 1位:島田荘司「占星術殺人事件」 2位:三浦しをん「舟を編む」 3位:F・W・クロフツ「樽」 4位:綿矢りさ「蹴りたい背中」 5位:サイモン・シン「フェルマーの最終定理」 #2014年書籍ランキング
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