ロンゲスト・デイ・オブ・アマクダリ10100745:ショック・トゥ・ザ・システム #7

日本語版公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

SMAAAASH!拳と拳が真正面から激突!絶望的戦況の中でも、なおも押し負けぬニンジャスレイヤー!何たるカラテ!フジキドの胸の奥で、新たな憎悪の炎が燃え上がる。鍛え直された憎悪が!「オヌシらは犠牲者が悲鳴すら上げられぬ世界を作ろうというのだろう、ニンジャの力によって……!」 43

2014-12-21 23:04:23
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ならばどうする!君は世界をどう変えたい!その大志も覚悟も持たぬ臆病者に、アマクダリは殺せぬ!」シキタリの眼が狂気じみた信念に輝き、フジキドと睨み合う!だが鍛え直されたフジキドの憎悪は、もはや揺るぎなし!「殺せるのだ!オヌシらニンジャは、独りとして生かしておかぬ!イヤーッ!」44

2014-12-21 23:17:02
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

SMAAAASH!ナラクの炎を纏ったカラテストレートが官房長官のパワードスーツ胸板へ痛烈打!「グワーッ!」装甲がひしゃげ、塗装面が無数のパーティクルとなって水平飛散!「イヤーッ!」「グワーッ!」さらに連撃!オナタカミ社製最新鋭パワードスーツの装甲を砕く!砕く!!砕く!!! 45

2014-12-21 23:22:37
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

だが官房長官もひるまぬ!既に彼自身も肉体の限界を超えながら、ブーストカラテキックを繰り出す!「イイイヤアアアアアアーッ!」「グワーッ!」ガードの上から弾き飛ばされるニンジャスレイヤー!空中で身を捻って回避!そこへハーヴェスターが復帰し、死神を再び挟み込む形で向かい合った! 46

2014-12-21 23:25:29
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

遠く離れた場所から、ゴウトはそのイクサを見ていた。言葉を聞き取る事はできぬ。ただ壮絶なカラテを感じるのみ。どちらが正義で、どちらが邪悪なのか。テロリストなのか、官房長官なのか。それは解らぬ。解ろう筈も無い。ただ、もどかしさと、何かをせねばならぬという爆発的衝動だけがあった。 47

2014-12-21 23:40:52
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ゴウトは一瞬だけ怖じ気づいた。自分はまた、あの夜と同じように独りで熱に浮かされ、取り返しのつかない暴走をしようとしているだけなのでは。そうだ、ゴウト。このヤマはヤバ過ぎる。カネどころか破滅を呼び込むぞ。ネオサイタマの闇は巨大すぎる。お前の出る幕ではない。お前はもう年老いた。 48

2014-12-21 23:47:15
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

『どうした、強い人』ハーフプライスからIRC。正確には、ゴウトがそれに気づいた。彼は何分も前からIRCを受信していたが、ニンジャ光景に気を取られ、ミスしていた。『ああ……ああ……殴られ過ぎで俺はついにイカれちまったのかもしれないが……ニンジャなんだ』『おおよそログで既に拝聴』49

2014-12-21 23:52:20
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ゴウトはIRCを見た。彼の言葉は全てIRCで同時にタイプされていた。ログを遡る。『そっちにはフジキド・ケンジ、こっちにはナンシー・リー』『一体何が』『成り行きで助けた。おかげで窮地。身動き不能。涼しいだろ』『ミスターハーフプライス=サン』『何?』『あんたも相当命知らずだな!』50

2014-12-22 00:02:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ハーフプライスが指を震わせながら笑った。記憶の底に封印していたニンジャの恐怖が蘇り、彼を震わせていた。だが彼はかつて一度それに勝利したのだ。『ツーアウト満塁だ』そして問うた。『どうやってカネにするんだ。できるのか強い人?』『ああ、できる』『ヤバすぎて買い手が付かない了解?』 51

2014-12-22 00:09:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

『丸ごとじゃあデカすぎる。情報をサシミみたいに切り刻んで、小分けにして、別々の相手に売ればいいのさ。だからカネになる。ヤバいくらいのカネになるさ』ゴウトが殆ど閃きのように返した。『涼しいね。なら作戦続行だ』ハーフプライスが息を吹き返したように言った。『すぐに走るんだ、強い人』52

2014-12-22 00:13:24
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

『丸ごとじゃあデカすぎる。情報をサシミみたいに切り刻んで、小分けにして、別々の相手に売ればいいのさ。だからカネになる。ヤバいくらいのカネになるさ』ゴウトが殆ど閃きのように返した。『涼しいね。なら作戦続行だ』ハーフプライスが息を吹き返したように言った。『すぐに走るんだ、強い人』52

2014-12-22 22:44:22
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

IRCコトダマ空間に構築された、トリイ廃墟の小島。そこに立つのは、ナンシー・リー。ピグマリオン・コシモト兄弟カンパニーのエージェント、エシオ。そして彼の横につきそう、電子的アトモスフィアの少女。「……いったい誰が、私のLAN直結を、解除したの……?」ナンシーが繰り返した。 54

2014-12-22 22:51:06
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「高次存在の介入かもしれません」エシオが事も無げに言った。「それ、本気?」「そのくらい、予想がつかないのです。我々はけっして、全能の存在などではありません。安心させられず申し訳ありませんが。いずれにせよ、あなたの物理肉体は、我々の誰も知らぬ、どこかの誰かの手に委ねられた」 55

2014-12-22 22:58:12
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「状況は理解したわ、私はいつ消滅したっておかしくない」ナンシーは頷いた。「じゃあ、どうするの?」「アルゴスに挑んでみませんか」エシオは言った。ナンシーは己のニューロンを疑った。「アルゴスに、挑む……?」「再度のアタックが必要です。盗み出した情報断片は不完全だからです。それに」56

2014-12-22 23:05:59
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

エシオは続ける。「アルゴスが月面に実際存在し、キョウリョク・カンケイからの接続速度が最も速いと仮定した場合……そしてあなたが消滅してしまった場合……弊社はアルゴスを沈黙させる手段を永遠に失うでしょう。弊社はあなた方のように物理的な無茶ができない」「具体的な対抗策はあるの?」 57

2014-12-22 23:12:22
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「僭越ながら、弊社が全力でサポートいたします。私と、彼女で」「ヨロシクオネガイシマス」電子的な少女は屈託の無い笑顔でオジギした。ナンシーはその少女に対してWHOISを飛ばした。頭上には「ネコチャン」と表示されていた。コトダマ空間認識者か否かは、やはり解らなかった。 58

2014-12-22 23:22:28
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ま、信用するしか無いわよね」ナンシーは肩をすくめた。「ハイ」エシオが頷く。「我々は生き残りを賭けていますから」「お互い様ね」ナンシーは上空を睨み、屈伸運動を開始する。額から汗が滴る。三者は、門の彼方にある同じ一点のIPアドレスを見据え、ザゼンめいたPING同期に入った。 59

2014-12-22 23:33:30
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

三者は並んで立ち、飛翔する好機を待つ。「この秘密ドメインは、いわば弱々しい庇です」エシオが警告した。「この島を覆う霧のドームの先は、アルゴスから降り注ぐ土砂降りの01スキャニングの豪雨。出れば瞬時に見つかります。豪雨の中を濡れずに飛翔するには」「それを上回るタイプ速度が必要」60

2014-12-22 23:42:08
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「我々は必ずあなたより遅い」「それなら尚更、完全に3人のPINGが同期した周期を狙う必要がある」「さらに、アルゴスの01スキャニングの雨が最も弱まる一瞬を見極めてください」「4つの周期を重ねるわけ?私の精神力と肉体が持つ事を祈ってて」ナンシーは肩で粗く息をし、額の汗を拭った。61

2014-12-22 23:48:44
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「彼女がアルゴス内部に到達できれば、可能性があります」「やってみるわ」ナンシー・リーは論理肉体の両の拳を握り、斜め上方の彼方にあるIPアドレスを見据える。チャンスは一度きり。あたかも狙撃手だ。時間は無制限ではない。ナンシー・リーは歯を食いしばり、鼻血を垂らし、それを拭った。 62

2014-12-22 23:58:49
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

『すぐに走るんだ、強い人』ミスター・ハーフプライスはIRCを送信した。両手は小動物めいて小さく震える。『走れって、何処へだ!?』ゴウトからの返信。『そこを離れろ、オナタカミ・マリーンが艦内のハッカーを探して重点巡回』『アシがついたってのか!?』『つまりはこの先客のハッカー』 64

2014-12-23 00:15:06