錦戸亮 4

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りえこ @eighter_rieko83

錦戸亮 1 安田「で、どうなっとるん?」 彼女の働いてるテレビ局での撮影の日。 俺らのことを唯一知るしょおちゃんが、そう聞いてきた。 知っとるっちゅうか、俺ら橋渡ししてくれたん、しょおちゃんやからな。 そら気になるよな? でも残念ながら…、 錦戸「連絡取れんねん…。」

2014-12-14 22:41:45
りえこ @eighter_rieko83

錦戸亮 2 あのおっさんと別れる言うてから、俺はずっと待ってた。 でも待ちきれんくて、連絡してんけど、電話にも出てくれんし、メールも返信ない。 なんでか全然わからへん…。 気持ち通じ合ったて思ったのに…。 安田「じゃあ…まだ時間あるやん?」

2014-12-14 22:41:58
りえこ @eighter_rieko83

錦戸亮 3 しょおちゃんがニヤリとして俺を楽屋の外に連れ出す。 この前のスタジオの前通ると、今日もあの番組が収録中や! コソッと覗く…と、お世話になったスタッフさんが声かけてきた! 男 「先日はお世話になりました!」 錦戸「こちらこそぉ!」 安田「あの、@@さんは…?」

2014-12-14 22:42:14
りえこ @eighter_rieko83

錦戸亮 4 男 「え?」 安田「こん前お世話なったので、    ご挨拶したいんですぅ。」 男 「あー…いやぁ、実は…。」 そこで初めて聞いた。 彼女が上司と何かで揉めて、この番組を降りたこと。 びっくりして、しょおちゃんと顔を見合わせる。 え、なんそれ?

2014-12-14 22:42:20
りえこ @eighter_rieko83

錦戸亮 5 男 「いやぁ…自分で降りたって    なってますけどね?    …噂なんすけど…、」 声を小さくして辺りを気にしながら話す。 男 「先輩プロデューサーに色仕掛け    で番組もらって、それが    バレたんじゃないかって…、」 錦戸「そんなわけないやろ!」

2014-12-14 22:42:24
りえこ @eighter_rieko83

錦戸亮 6 思わずそう言って睨んだ。 男 「えっ…。」 彼女はそんな女やない! むしろ近付いたんは男の方やろ! 安田「亮。」 しょおちゃんが俺の肩に手を置いて、冷静な声で言った。 安田「すみません、お仕事中に。    失礼しますわ。亮行こ。」 錦戸「でも…、」

2014-12-14 22:42:28
りえこ @eighter_rieko83

錦戸亮 7 安田「噂言いましたよね?    それ嘘ですから、他でそんなん    言わんといてくださいね?」 錦戸「言いふらしたら    ホンマしばくからな!!」 しょおちゃんが睨む俺を引っ張るようにして、2人でその場を離れた。 錦戸「っんやねん、ムカツク!!」

2014-12-14 22:42:33
りえこ @eighter_rieko83

錦戸亮 8 楽屋の前にしょおちゃんとしゃがみ込んだ。 安田「腹立って今どうなったんか    聞くん忘れたなぁ…。」 錦戸「…そんなんやから連絡    取れへんのや…。」 安田「そやなぁ…。」 錦戸「・・・・・。」 そこに脳天気な声。 大倉「あっ、ヤス!亮ちゃん!」

2014-12-14 22:42:37
りえこ @eighter_rieko83

錦戸亮 9 2人して無言で近付いてくる声の方を見上げた。 大倉「えっ、何何ぃ?コワイ顔して…    なんかあったん?」 「「別に」」って、ハモった。 大倉「え、もぉ、絶対なんか    あったやん…あっ!この前の    歌番組のかわいい    プロデューサー覚えとるぅ?」

2014-12-15 23:02:59
りえこ @eighter_rieko83

錦戸亮 10 錦戸「は?!」 安田「あの子がどうしてん?」 急にくいついた俺らに、大倉はちょっとだけきょとんとした。 大倉「…や…さっき倉庫んとこで    見かけてん…。」 錦戸「倉庫?!」 安田「それどこ?!」 大倉「え…この階の一番奥…    向こうの…、」

2014-12-15 23:03:33
りえこ @eighter_rieko83

錦戸亮 11 安田「でかした、大倉!」 錦戸「ちょ、行ってくるわ!」 大倉「えっ、もうそろそろ    撮影始まんで!?」 安田「うまく言うといて!」 大倉の「えぇっ?!」って声を背中で聞いた。 局内やからとか考えんと自然と走り出しとって。 しょおちゃんも後ろで走っとる。

2014-12-15 23:03:43
りえこ @eighter_rieko83

錦戸亮 12 錦戸「…はぁ、はぁ、…おった…。」 一番奥にあるその倉庫は、広いけどなんや物がいっぱいで、ちょっと暗い。 そんな所で、この前とは全然違う姿の彼女。 大きなダンボールに書かれた番組名らしきもの。 それにメモを見ながら物を入れていっとる。

2014-12-15 23:03:57
りえこ @eighter_rieko83

錦戸亮 13 あがった息が落ち着くぐらい、しばらくの間彼女を見つめていた。 安田「俺…先戻ってるな?」 そう言って俺の肩をポンと軽く叩いた。 しょおちゃんの遠ざかる足音を耳にしながら、どう声をかけたらえぇのか必死に考える。 でも…思いつかへん…。

2014-12-15 23:04:01
りえこ @eighter_rieko83

錦戸亮 14 やけど勝手に足動いて…彼女めがけて倉庫に入ってく。 近付くと、俺に気付いた彼女が大きな目を一層大きく開いて俺を見た。 @@「亮くん…。」 錦戸「・・・・。」 ゆっくり歩みを進めて、更に彼女に近付く。 @@「び、びっくりしたよね?    こんな汚いカッコ、」

2014-12-15 23:04:07
りえこ @eighter_rieko83

錦戸亮 15 彼女が俺から目を逸らして、何かをごまかすように話す。 @@「また昔みたいにADの、」 話し続ける彼女の目の前、いきなり強く彼女を抱きしめる。 また驚いた彼女は、ピタリと黙った。 人気のない暗い倉庫が静かになる。 しばらくして、彼女の手が、遠慮がちに背中に回る。

2014-12-15 23:04:12
りえこ @eighter_rieko83

錦戸亮 16 更にギュッと腕に力を込める。 @@「…ごめんなさい…。」 ちょっと涙声。 @@「うまく別れられなくて…、    降格して…約束…、」 “2人とも出世して…” 錦戸「昔の約束なんか俺忘れた。」 @@「え…?」 錦戸「覚えとるんは…、

2014-12-15 23:04:17
りえこ @eighter_rieko83

錦戸亮 17 錦戸「ずっと前から    好きやったってことだけ。」 @@「りょ…、」 腕の力を弱めて、目も見ないような早急なキスをした。 @@「んっ…!」 なんか、もぉ、ずっと連絡取れんかったこととか、彼女が律儀に約束守ろうとしてたこととか、もぉ、えぇ…。

2014-12-15 23:04:21
りえこ @eighter_rieko83

錦戸亮 18 もぉ、どおでもえぇ…。 とにかくもぉ離したない。 好きやってだけで、十分やろ? 一緒におる意味なんて…、他に理由なんていらん。 気付いたら、彼女の息があがっとった。 @@「はぁ…もぉ、苦しいよ、    亮くん…。」 錦戸「ずっとこぉしたかったし…。」

2014-12-15 23:04:26
りえこ @eighter_rieko83

錦戸亮 19 @@「…もぉ亮くんに会う    資格ないって思ったから…。」 錦戸「俺、別に偉い女が好きなわけ    ちゃうで?あんなん、会う為の    口実みたいなもんやん…。まだ    若かったし…他に口説き文句    とか知らんかってん。」 なんか一気に喋りまくった。

2014-12-15 23:04:31
りえこ @eighter_rieko83

錦戸亮 20 錦戸「あっ…でも…今もどぉ    口説いたらえぇんか…。」 @@「亮くん…。」 錦戸「好きやねん、    それだけじゃあかん?    もぉ連絡取れんとか、    ホンマにイヤやねん!」 @@「…そんな顔しないで…?    あたしだってもぉ…。」

2014-12-15 23:04:38
りえこ @eighter_rieko83

錦戸亮 21 @@「…好き。」 今度はどちらからともなく抱き合った。 錦戸「ここ…誰も来んやろ?    もぉ…襲ったろかな…。」 @@「えっ!!」 錦戸「はは、もぉ嘘やん!」 @@「もぉ…。」 でも襲いたいのは嘘ちゃうで? 錦戸「連絡するから…。」

2014-12-15 23:04:44
りえこ @eighter_rieko83

錦戸亮 22 @@「うん。」 錦戸「今日するから。」 @@「うん。」 錦戸「仕事終わったら    すぐするから。」 @@「うん。」 錦戸「絶対無視すんなや?」 @@「うん。」 錦戸「絶っ対やからな?」 @@「うん、わかった…絶対。」

2014-12-15 23:04:50
りえこ @eighter_rieko83

錦戸亮 23 錦戸「ホンマにホンマやで?」 @@「ふふ…うん。」 錦戸「んー…!」 @@「仕事でしょ?    もぉ亮くん、行かないと。」 彼女のスッキリした顔みたら、なんかちょっと安心した。 もう一度彼女にキスして、倉庫を出る。 後ろ髪引かれるって、この事やな…………。

2014-12-15 23:04:57