車椅子ガッ!事件

僕が「車椅子を見たら吹いてしまう」という病気にかかった理由をまとめました。
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流匠けい @rusyoukei

HPでも触れたやつだけど、話をしよう。あれは確か9月の終わり頃に大学の同学年otu氏と後輩ヒゲ氏の3人で行った富士急ハイランドの『戦慄迷宮』というお化け屋敷風アトラクションでの出来事。バイオハザード的な事が起きた病院に入って暗い廊下を歩き部屋をくぐり時にキャストに驚かされる内容。

2014-10-23 02:20:50
流匠けい @rusyoukei

まず庭にて2時間待ちの洗礼があったが列の途中に券売機があり、入場料500円の他にもうひとつ『お守り』というボタンが500円の表記でついていた。券売機にはこれが何なのかの説明が一切ない。ノーヒントで提示されても困るのだが、500円ともなると重要な物かも知れんと考えるのが妥当だろう。

2014-10-23 02:30:53
流匠けい @rusyoukei

そこで、3人のうち俺一人がこれを購入。500円を投入しボタンを押すと取り出し口にストンと白いお守りが落ちてきた。中には赤い光を放つ発光体が入っているようで、暗闇に入れば光って目立つことも想像に容易い。そうしてしばらく列がじわじわ進むのを待つ。客の回転は早くはないらしい。

2014-10-23 02:36:38
流匠けい @rusyoukei

そうしていた列の途中に、天井からテレビが吊るされており、アトラクション内の注意事項が映像で流れていた。「キャストを殴らない」「動けない他のお客はスルーせよ」等の説明の中、なんと『お守りを見せるとキャストはひるみます』と、しれっと出てきたのである。これがお守りの効果だったのか!

2014-10-23 02:44:01
流匠けい @rusyoukei

小心者には有難いアイテムだが、そもそも小心者はこんなとこ入らないし、入る人は大抵怖さを体験するために入ってるのだから、正直「これ、要る?」と首をかしげるのが3人一致した意見だった。そんなこんなでようやく僕らの番が回ってきたのである。どんなゾンビが待ってるのかワクワクを隠せない。

2014-10-23 02:53:26
流匠けい @rusyoukei

中は薄暗く、所要時間40分の長い道のり。最初にギミックがあり文字通り腰を抜かし(一応ネタバレ防止)、腰に若干の物理ダメージを受けつつ次に個室にて映像を見せられる。ウィルス感染した看護士たちが、院内に入り込んだ一般人を押さえ捕まえ、悲鳴と共にドアの向こうへ引き込んでゆくシーンだ。

2014-10-23 03:01:29
流匠けい @rusyoukei

一般人アクターが少し楽しそうなのはさておき、ここから先はそんな感染者が僕らを襲ってくるのだろう。ああ、想像しただけでも恐ろしい!しかし僕には切り札がある。そう、お守りだ。他の2人がいくら教われようが、こいつがあれば自分だけ涼しい顔で彼らが喰われる様を眺めることさえ可能だろう。

2014-10-23 03:05:54
流匠けい @rusyoukei

500円の投資が実ったと思った瞬間だった。結論から言えば、そこだけだったが。さて、映像を終えいよいよ廊下に出て順路を進んで行く。隊列は前から順にヒゲ氏、otu氏、俺の配置。自分は後列で、背後からの攻撃を警戒する任務を負った。背後は任せろバリバリと考えつつ長い廊下を進んだその時。

2014-10-23 03:13:11
流匠けい @rusyoukei

カーテンの裏からゆっくりと現れる、変わり果てた姿の看護士。隊列の背後からの出現だ。「ちょ」と声を上げる前に前方の二人は逃亡を開始したので、孤立は避けるべきと考え追従。その後の長い廊下では『スパン!スパン!』という強い足音と共に看護士が出現。とにかく逃亡。お守りあるけど逃亡。

2014-10-23 03:20:26
流匠けい @rusyoukei

階段へ辿り着く。メタ思考だが、こういうアトラクションは怪我防止のため足場の悪いところでは基本的に脅かさないはずだ。よってしばし休憩。途中にはリタイヤ用の扉が点々とあり『お前そろそろ逃げた方がいいんじゃね?』オーラを発散しまくって扉を開けと誘ってくる。そんな舐めた扉は無視だ。

2014-10-23 03:25:41
流匠けい @rusyoukei

落ち着いたところで移動再開。後列の俺は2度のバックアタックを受けた事に責任を感じた為、より一層のクリアリング(視認によるチェック)に勤しむことにした。仲間と若干離れチーム全体の視野も広げる。だが、その時の俺には知るよしもなかった。この行動が、あんな悲劇を生むことになろうとは…。

2014-10-23 03:33:19
流匠けい @rusyoukei

次の部屋は診察室だ。診察ベッドとデスクがあり、ベッドにはミイラのような患者が横たわっている、ようだ。"ようだ"と表現したのは、先行する二人が入り込み、俺はまだ前の部屋のクリアリングをしている最中だったからだ。そのとき、おぞましい唸り声と共に仲間二人の悲鳴が俺の耳を通り抜ける。

2014-10-23 03:38:37
流匠けい @rusyoukei

同時に聞こえたのは、滑車の動くような音と、二人の走る足音。察するに二人はアタックを受けたのだ。状況を鑑みて、俺はかなり苦しい立場にある。これから部屋の中に入り、二人の味わった恐怖を一人で被らなければならないからだ…。厭な汗が出る。お守りを握りしめ、俺は恐怖の待つ部屋に入った!

2014-10-23 03:45:02
流匠けい @rusyoukei

『ガッ!!』俺の耳に響くのはそんな音。部屋の入り口脇で、車椅子に乗った看護士が、うつむき腕を組みながら、車椅子を隅に動かすために床を強く蹴った、そのときに出た音である。掲げたお守りを一瞥もしないで"定位置"に戻り微動だにしない看護士を見て、俺は、ただひとつ思った。『プロだ…』と。

2014-10-23 03:53:14
流匠けい @rusyoukei

ゆっくりと部屋を出て、二人と合流。彼らはこのアトラクションを本来の意味で楽しんでいるが、俺は今、本来とは違う意味で楽しんでしまった。感染者がガッ!と床を蹴り、車椅子を戻す姿を垣間見てしまったのだから。しばらく笑いを堪えていたが、途中で我慢しきれずに吹き出してしまった。ツボである。

2014-10-23 03:58:44
流匠けい @rusyoukei

その後、誰も出なかったMRI室、やたらとデカイ脳が裸で置いてある手術室、ガンガン音の出る地下室を通り抜け、いよいよ出口の明かりが見えてきた。ここでは同時に2人の感染者が我々を襲った…ようだ。"ようだ"と表現したのは、やはり先程の車椅子と同様に、前の二人が先行したためである。

2014-10-23 04:04:29
流匠けい @rusyoukei

二人の悲鳴、唸り声、走る音。聞こえたね。また乗り遅れてしまった。よし、俺もいくよー!通路に入って目にしたのは、背筋を伸ばし顔をうつむかせながらカーテン裏へ戻って行く感染者×2であった。先には明かりが見える。遂に出口だ。ゆっくりと歩いてゴールを迎え、俺はお守りを地面に叩きつけた。

2014-10-23 04:11:04
流匠けい @rusyoukei

後から気づいた事だが、お守りには『悪霊退散』の文字が入っていた。あれ、確かこの病院ってバイオハザード的な感染が原因でこうなってるんじゃなかったっけ?とか空気の読めない邪推はいけない。とにかくこの一件で、俺は車椅子を見ると吹き出してしまうというろくでもない病にかかってしまった。

2014-10-23 04:15:51
流匠けい @rusyoukei

これが俺の体験した車椅子ガッ!事件の全貌である…。今日も介護施設で車椅子を見て、思い出し笑いをこらえまくってしまったっけ。まあいいや、全部書けてスッキリしたから、そろそろ寝られる気がする。ちゃんちゃん。

2014-10-23 04:19:11