高田圭介氏のツイッター創作初め『やぎさんゆうびん』

新年早々の新年創作に思わぬ形で心を打たれたのでまとめました。
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高田圭介 @Kei_Takada

ちくしょう。ちくしょう。ちくしょう。その言葉だけを繰り返した。どこにも行けない、誰にも届かない、滲んだ不恰好な言葉だった。 [25/28]

2015-01-01 09:29:47
高田圭介 @Kei_Takada

翌月から俺が黒ヤギさん宅に配達に行くことはなくなり、そのうちに消息も聞かなくなった。あの日、俺は自分でもよくわからない激情に突き動かされ、白紙の便箋に向かい合った。そのことは今もしこりになって心に残っている。 [26/28]

2015-01-01 09:29:58
高田圭介 @Kei_Takada

だがあの便箋が『手紙』になることは結局なかった。想いが言葉にならないこともある。言葉になったって届かないこともある。そのどうしようもなさが、どうしようもないまま、いずれは老いと一緒くたになって、俺のことも殺す日が来るのだろう。 [27/28]

2015-01-01 09:30:06
高田圭介 @Kei_Takada

年が巡る。また新しい冬が来て、俺はまたひとつ歳をとる。路傍の雑草に紛れて、一輪のヒナギクが揺れている。そのささやかさを、ふと誰かに伝えたくなった。 [28/28]

2015-01-01 09:30:20
高田圭介 @Kei_Takada

タイトルはご存知「やぎさんゆうびん」で。朝から三時間半くらい?の即興の割には案外それっぽくなったんでないか(新年最初の自画自賛)

2015-01-01 09:31:47
高田圭介 @Kei_Takada

最近人が死ぬ話ばかり書いていて(ミステリだからしょうがないけど)、うんざりしてたので人が死なない話を書こうと思ったら代わりにヤギが死にました(今回のオチ)。

2015-01-01 09:37:29