- Eric_Ridel
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中国電力で取材をしたときの広報担当さんが「弊社の提訴はSLAPPにあたりますか」とメールでお問い合わせしてこられたので「カルフォルニア州ほかアメリカ州法が定義するSLAPPの定義には合致します」とお答えしました。「しかし日本ではSLAPPという法理がない」とも伝えました。
2010-12-07 20:44:39ツイッターも含めあちこちで書いていることですが、工事妨害の損害賠償訴訟で中国電力が完勝したとしても「上関(立地予定地)に原発をつくってよい」ということにはなりません。
2010-12-07 22:09:42「上関に原発を作るべきなのか」「中国電力は原発をつくルベキなのか」「日本はこれ以上原発をつくるべきなのか」というパブリックイッシューと、裁判で争われている「P月Q日にRさんは工事妨害をしたのか」という争いとはまったく関係がないのです。
2010-12-07 22:10:52裁判所が工事妨害の事実を認めたとしても、上関原発の是非にはまったく関係がないのです。なのに、負けると、原発が正当であると裁判所が認めたかのように見える。これをSLAPPの「論点のすり替え戦略」(Dispute transfer strategy)といいます。
2010-12-07 22:12:54ですから、究極的には、裁判で勝とうと負けようとどちらでもいい(間接強制が困るくらい)。あまり本気になるとエネルギーと時間を奪われる。これがSLAPPの性質です。「テキトーに相手だけはしておく」くらいがいいのですが、ふつうそうはできず、みなさんSLAPPの術中にはまります。
2010-12-07 22:15:01中国電力の上関原発反対運動への提訴は、カルフォルニア州ならSLAPPとして棄却の動議が出せます。裁判所がSLAPPだと認めれば、審理に入るまでに却下されます。これまでの判例だと、認められる可能性が高いでしょう。
2010-12-07 22:26:46しかし、日本にはSLAPPという法理そのものがありません。いかなる悪辣な提訴も、裁判所が審理してはじくことになっている(実際はそうでもない)ので、裁判は必ず始まり、弁護士費用そのほか裁判コストが加罰的に作用します。そして中国電力の提訴も、日本では違法性はまったくゼロです。
2010-12-07 22:28:33アメリカに持って行くと「言論の自由の侵害」「憲法違反の提訴」と裁判所に判定されてしまう提訴が、日本では何の違法性もないまま通る、というのは珍妙な現象です。民主主義の権利j保護は国によって差があるのか、と暗澹たる気持ちになります。
2010-12-07 22:29:58