余所者艦隊その2

続きです
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CF型マシニーカhir @hir_CF

「今日はー。どうするんですか~?」 朝イチに駆逐イ級を駆除した叢雲。このまま何度も反復出撃させてもいいのだが、彼女が怪我でもした場合助けに行く人員が欲しい。となればやるのは一つ。 建造だ。 さっきの残骸はそのまま再利用できる程良好ではないが、新たな艦娘の素材にはなる #余所者艦隊

2015-01-03 23:25:36
CF型マシニーカhir @hir_CF

工廠にイ級の残骸を持っていこう。建造をお願いする。 「は~い」 裏の透明波板―これもいまどきは高価なのだが―を屋根にした掘立小屋が工廠だ。 中では妖精さんが暇そうに煙草をふかしている。 「妖精さん~。これで建造して~」 叢雲のお願いを聞き、私の方を見る妖精さん。頷く #余所者艦隊

2015-01-03 23:27:55
CF型マシニーカhir @hir_CF

投入資源は最少。それでも確実に並みの駆逐艦は出る、と聞いている。とりあえず頭数が欲しいのだからそれでいい。 叢雲がイ級の残骸を、作業台の窪みに放り込む。複数の妖精さんが作業に取り掛かると、 「1時間20分、かかるって言ってます…よ?」 ?通常20分程度のはずでは? #余所者艦隊

2015-01-03 23:31:19
CF型マシニーカhir @hir_CF

等と話していると、町の方から鐘が響く。 昔ながらの方法だが効果は大きい。叢雲? 「見てきますっ」 外に出ると鎮守府の裏、高台へと昇る。 双眼鏡を取り出してみれば… 「たくさん」 ひとつふたつたくさん。何人だ私は。 ボケたくもなるほど大量の水しぶき。あれは… #余所者艦隊

2015-01-04 00:25:48
CF型マシニーカhir @hir_CF

まず3つ。そのずいぶんと後方に6つ。合計9つの航跡が見える。 ―9つ!? 私は目を凝らした。そうだ。あれはよその鎮守府の艦娘に違いない。きっと村人が誤認したんだ。そうに違いない。 ―数秒で状況は分かった。9匹。深海棲艦が9匹! #余所者艦隊

2015-01-04 00:30:03
CF型マシニーカhir @hir_CF

どうすればいい?高速建造剤は3つあったな。資源もある。あの速度では十数分はかかるか?ならば急いで工廠にいって、奴らが来るまでにあと3隻は作れる。叢雲と、最初に建造したので合わせて4隻。叢雲以外は戦闘経験がないのが不安だがしょうがない。そして近隣鎮守府に電話だ。叢雲! #余所者艦隊

2015-01-04 00:33:39
CF型マシニーカhir @hir_CF

叢雲に抱えられて(私は足が不自由だ)工廠に戻ると、速やかに高速建造をするよう妖精さんに指示。もう一つの建造ドックも使用だ 「は~い。兵装実験けいじゅ…」 すまん、急いでる!ちょっとどいてくれ 「え?は、はい…」 等と言っている間にもう片方も建造完了。あと1隻!急げ! #余所者艦隊

2015-01-04 00:36:56
CF型マシニーカhir @hir_CF

「響だよ。ふs…」 緊急事態だ。自己紹介は後で頼む。 「え?分かったよ」 そして3人目。備蓄資源もこれで空だ。 「うs」 潮か、分かった。夕張、響、潮、叢雲。4人。これで奴らを迎え撃つしかない。 叢雲、どう迎え撃てばいいと思う? 「海上で挑発して、陸に誘導すれば」 #余所者艦隊

2015-01-04 00:41:52
CF型マシニーカhir @hir_CF

旗艦は叢雲。序列は以下夕張、響、潮だ。いいな? 「はい、提督」「早速戦闘ですか?わっかりました!」「分かったよ」「は、はい」 心強い返事だ。行け! 工廠の外に出ると、敵は陸まで後十分とかからない程接近していた。艦娘たちが走り、海へと滑り出す。 #余所者艦隊

2015-01-04 00:46:17
CF型マシニーカhir @hir_CF

執務室へ飛び込んだ私は、ネットブックのキーを叩く。 XO-1。高耐久性・低消費電力・手回し発電に加え無線メッシュワーク機能で中継局不要という、インフラ整備が成されていない途上国での教育用に開発されたこれは今の時勢にマッチした代物だ。多くの提督が愛用している。 #余所者艦隊

2015-01-04 00:56:29
CF型マシニーカhir @hir_CF

メールを大急ぎで書く。救援を求める文面だ。あて先は近隣の幾つかの鎮守府。暗礁艦隊、元町鎮守府、明石鎮守府… どこも間に合わないだろうが、ひょっとしたら近場を航行している艦隊がいるかもしれない。藁にも縋る思いだ。 #余所者艦隊

2015-01-04 01:02:43
CF型マシニーカhir @hir_CF

縦一列に並ぶ4人の少女たちが、スケートで滑るように足を動かす。 だが滑るのはスケートリンクではない。水だ。 足の艤装の体積では本来支えられない千トンを超える体重。それに見合う浮力を稼ぐからくりは、艤装の見せかけ上の体積を水増しする空間歪曲だ。 #余所者艦隊

2015-01-06 23:26:36
CF型マシニーカhir @hir_CF

やや左前方から迫るのは3隻の深海棲艦。軽巡1、駆逐2。 叢雲は後方へ発行信号 《ワレニツヅケ》 体を傾け、右に旋回。敵を避ける方向へと 後方から仲間が続くのを確認すると、やや間を置いて今度は左旋回。敵の側面を突こうという動きだ。 敵も艦娘へと接近する針路を選んだ。 #余所者艦隊

2015-01-06 23:30:27
CF型マシニーカhir @hir_CF

結果として敵味方は正対。―反抗戦だ。 戦闘の叢雲は互いの針路が安定した瞬間、発砲。 既に彼我の距離は1キロを割っている。極めて接近した距離。 主砲を斉射すると、すぐ叢雲は針路をやや右へ。 敵軽巡に叢雲の砲弾が突き刺さるのと、軽巡の主砲が叢雲の真横を通り過ぎるのは同時 #余所者艦隊

2015-01-06 23:34:33
CF型マシニーカhir @hir_CF

主砲を撃ち尽くした叢雲は、轟沈していく軽巡をしり目に再装填中。 次いで夕張が、響が、潮がそれぞれ発砲。後続の敵駆逐艦の周りに、てんでバラバラに砲弾が落ちる。 ―やはり練度が足りない。 そして敵の反撃。 バラバラと5inch砲弾が落ちる中、一発が響に命中。中破させる。 #余所者艦隊

2015-01-06 23:38:40
CF型マシニーカhir @hir_CF

やがて敵味方の距離が100mを切る。 外しようのない距離。叢雲の命令と同時に艦むすは魚雷を一斉発射。同時に敵も同様に魚雷を放った。 爆発。轟音。爆発。 2隻の深海棲艦はバラバラに吹き飛び、こちらも潮が下半身全部と左半身を失う。大破。 #余所者艦隊

2015-01-06 23:48:10