@mina_dika 簡単に言うとお婆ちゃんは元々優秀な巫女だったのと、人ならざるものが原因で亡くなった。永久子はお婆ちゃんに懐いてたけど、亡くなった時の記憶をなくしてる。お爺ちゃんたちが永久子を外に出したがらない理由にはそれもある。みたいなふんわり。
2014-12-27 14:19:27@mina_dika 「あ、あんな路ありましたっけ……?」永久子は寒さに震えるように小さな身体を強張らせた。ぶんぶんと首を振る。好きではない、そう感じていた場所だからこそ、記憶に鮮明に残っている。近年の不可思議な経験が頭を過る。けれど、その時には傍にいた二人は、今ここにはいない。
2014-12-27 15:01:51@mina_dika お守りの鈴をぎゅっと握りしめて息をとめる。静かに足を進めて、路の先を見つめる。家に帰らなくちゃ……そう思うのに、まるで待っていたと言わんばかりに、自分の目の前に現れた路が気になってしまう。
2014-12-27 15:05:03@mina_dika 今迄のすべての出会いにも意味があったなら、この出会いにも意味があるだろうか?確認するように後ろを振り返る。それから、永久子はそっと足を伸ばした。→薄暗い路に永久子の右足が触れた。
2014-12-27 15:05:16@mina_dika ひゅっと小さく息を呑んで、永久子はその人物を注視した。これは、“ひと”だろうか?それとも、また、“別のもの”だろうか?ボロボロの衣服と、ただの鉄パイプは、ひとのように見える。「だ、誰、ですか?」こんなことを聞いてどうするのだろう。
2014-12-27 15:26:20@mina_dika 足はじりじりと逃げるために後ろに下がっている。問いかけながら、いつでも逃げられるようにぐっと身体に力を入れた。片手に握りしめた携帯を素早く扱える自信などないし、そこには淡々とした声で、けれど優しく手助けしてくれる相手は、もう、いないのだから。
2014-12-27 15:26:32@mina_dika ああ、この“音”!永久子は耳を塞ぎたくなって唇を噛み締めた。頭が締め付けられるような、不快な感覚に襲われる。相手の喜色の混じった視線が、声が、煩わしい。眉を寄せながら、言葉を返す。「月見里の名を、なぜ」自分で言うのも何だが、とんでもない田舎の神社である。
2014-12-27 15:45:48@mina_dika この場所で、偶然に出会った相手から聞くには不自然すぎる。いや、偶然ではないのだろうことを、すでに気づいている。
2014-12-27 15:46:00@mina_dika 頭の中に、閃光のように記憶が走る。手を引く祖母と、彼女の微笑み。内緒話をするように、何事かを告げた彼女の声が、眼差しが、思い出せない。永久子は頭を抱えるようにその場にしゃがみ込んだ。じわりと涙が零れ落ちて、幼い頃のように膝小僧を濡らす。「おばあちゃん…」
2014-12-27 16:06:00@mina_dika ぐるぐると頭の中で影と言葉がまわる。思い出したくない。思い出したい。引き裂かれるような痛みを胸に覚えて、ぎゅっと胸元を握りしめた。カシャン、と音を立てて懐中時計が滑り落ちる。衝撃で開いた盤面で針が音を立てる。永久子は暫くその場から動けなかった。
2014-12-27 16:06:22