【小噺】○○がぱちゅりーとダーツに行ってきた話
「これ何?」クローゼットの奥からぱちゅりーが銀色のメガネケースを小さくしたようなケースを見つけてきた。うわー、懐かしい物が出てきたね。「ね、開けていい?」どうぞどうぞ。ぱちゅりーがケースを開く。「これ、何? ペン…とも違うみたいだけど」そっか、ぱちゅりーはダーツ見たことなかったけ
2015-01-10 12:10:34「ダーツ?」頭に音符弾幕が浮かぶぱちゅりーにわかりやすいように説明するよ。某アニメのA級ジャンパーばりに説明好きの俺君だからね。「へぇー、それじゃあその矢を的に中てて点数を競うゲームなのね」厳密に言えばそれは最も初歩的なカウントアップのルールだけれど、説明としては入りやすいからね
2015-01-10 12:13:00そうだ、ぱちゅりーもやってみる、ダーツ?「やってみたい!」ぱちゅりーが見た目相応の子どもみたいに目を輝かせるもんだから、思わず顔がにやけちゃうね。これで「○○、だーいすき!」とか言ってくれたらそれだけで72時間戦えますみたいな感じだけど、現実は「なににやけてるの?」って言われたよ
2015-01-10 12:15:07そんなわけでぱちゅりーを連れ立って近所の某アミューズメント施設に行ったよ。車の中でぱちゅりーってばダーツを物珍しそうに眺めてるもんだから、買ってもらったゲームの説明書を何度も読んでた子どもの頃の自分を思い出しちゃって
2015-01-10 12:17:19平日だから人も空いてて、幸いな事にガチ勢の人は居なかったよ。でもね、受付の人に「ダーツは持ってきたわ」ってドヤ顔でぱちゅりーが見せつけるもんだからなんか俺君がまるでガチの人みたいに見られたのは困ったものだよ。アクトレイザー1面までしかクリアできませんくらいのレベルだからね、俺君は
2015-01-10 12:19:26「カウントアップっていうのでいいのよね?」ぱちゅりーがお金を入れて機械を操作する。事前に教えてあげてたのは俺君だけど、思った以上にぱちゅりーが乗り気で嬉しいね。思い出すようにダーツを組み上げて、立ち位置を決める。すっかり忘れてる感覚を取り戻すように、矢を放つ――
2015-01-10 12:21:01トン、と軽い音を立ててダーツは的の中央から随分外れた場所に刺さった。11点、と電光掲示板が光った。まぁ、中ったから良しってことにしとこうかな。「ふふっ、次は私ね」ぱちゅりーが調子に乗ってる時のお嬢様みたいに的の前に立ったけど、それってどう見てもフラグなんだよなぁ…
2015-01-10 12:23:12「えいっ」ぱちゅりーの放ったダーツは、綺麗な放物線を描いて、そのまま的の中央に刺さって、電光掲示板が50点と告げるよ…って、いきなりすごすぎない?「矢を放つのも魔法を放つのも、原理は同じなのよ」ぱちゅりー曰く、決まった意志を持つ精霊を使役するよりも簡単ということらしいけど、
2015-01-10 12:26:03俺君としては心中穏やかじゃないよね。初心者のぱちゅりーがボロボロの点数を叩き出すのを横目に見ながら華麗に点数を重ねていって、年に何回見せられるか分かんないドヤ顔をぱちゅりーに見せつける作戦だったのにね、これじゃ待ってるのは緋想天時代のチート級ぱちゅりーの勝利画面だよ!
2015-01-10 12:27:46「あらあら、○○ってばどうしたの?私が初心者だからって遠慮しなくていいのよ?」これは完全に調子載ってるパターンのやつですよ。でもお嬢様と違って(失礼)これってもう勝ちパターンのやつじゃないですか。魔蝕虫を前にしてマムルの肉持ってこれたような顔でぱちゅりーは続け様にもう一投、50点
2015-01-10 12:29:42その後も50点を叩き出し続けたぱちゅりーは、途中で俺君が苦し紛れの20トリプルに中てたところから最高得点の場所を覚えちゃったらしく、帰る頃にはぱちゅりーの周りに人だかりが出来てしまってたよ。俺君はさながらおつきの人か、DDR筐体の周りに集まるギャラリーAみたいになってたよ
2015-01-10 12:31:39「あー、楽しかったわ。ダーツっていいわね、疲れないし。また来ようね」助手席のぱちゅりーはさわやかな顔で俺君に言うよ。その手にはダーツショップで買ったおニューのダーツが握られてて、紫を基調としたぱちゅりーカラーのフライトがついた、俺君のより少し軽いそれを楽しげに弄んでいたよ
2015-01-10 12:34:19すっかり今の生活が長くなってしまって忘れてたけど、この子ってば動く相手に複雑な軌道を制御して弾幕を当てる生活が毎日のように続いてたんだよね。そりゃあ動かない的に直線的な起動でダーツを中てるだけのゲームじゃ俺君がかなうわけなかったよね。
2015-01-10 12:35:58今度は何で勝負しようかな、なんていつの間にかぱちゅりーをゲームで負かすことを考えちゃってるあたり、結構俺君ってば負けず嫌いだったみたい。ねぇぱちゅりー、帰ったらゲームでもう一勝負しない?「いいわよ、何が来ても今なら勝てる気がするわ」自信に満ちたぱちゅりーの顔で信号見逃しそうになる
2015-01-10 12:39:48かつて友人と協定を結んで使用を封じられたディディーコングレーシングのT.Tでぶっちぎってやろうと心に決め、家に向かうことにしたよ。まさかこの後ディディーコングレーシングのデータがぶっ飛んでて使い慣れないバンジョーを使うハメになるとか、そういう未来はこの時知らなかったんだけどね!!
2015-01-10 12:41:54まぁ、流石に人相手にする時は使用禁止だったけどね。早すぎんだよあの時計。同じ隠しキャラなのに不遇な扱い受けてるあの鳥を少しは見習えよ
2015-01-10 12:44:49