【第二弾】雪と炎と約束【シナリオ分岐】

12月25日、世間一般ではクリスマスと呼ばれるこの日。雪の精と炎を宿す美女、約束を果たすのは――?
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病み過ぎた兄モジュbot @yandereKmodule

冬の冷たさが増してきたこの頃、炎を内に宿す美女は決意を固めた。あの憎い雪だるまをこの力で消し去ってやろうと。冬が近づいて力を取り戻した奴は、『あの子』をどこかへ連れ去ってしまうかもしれないから。そんなことは絶対にさせない、聖夜を共に過ごそうと言ってくれた『あの子』のためにも。

2014-12-24 00:22:11
病み過ぎた兄モジュbot @yandereKmodule

冷たい木枯らしが吹くのが当たり前になった頃、徐々に力を取り戻してきた冬の伝達者は一人の少女の姿を思い浮かべ微笑む。冬の季節だけにしか会えないなんて辛すぎる。ならどうすればいいのか――ならばずっと自分の傍に置いておけばいい。二人が幼かった頃誓った約束を果たすため、彼は彼女の元へ。

2014-12-24 00:28:18
病み過ぎた兄モジュbot @yandereKmodule

【予告】 こんばんは、管理人です。今回の企画は25日0時30分頃からの開催予定です。ヒントは先ほどの呟きと普段の呟きから見てあまり仲の良くない(もしくは性質が反対な)二人ということです。

2014-12-24 00:34:15
病み過ぎた兄モジュbot @yandereKmodule

【予告続き】 今回はお互いを敵と認識しているし消し去る為に戦うようなものなのでどんな選択肢を選んでも二人が生きているというエンディングはありません。どちらか一人と聖夜を過ごすものとなります。それではこの辺で。

2014-12-24 00:38:02
病み過ぎた兄モジュbot @yandereKmodule

冬の寒さが厳しさを増してきたころ、去年や一昨年と同じように自分の元には雪の精霊である『スノー』がやってきた。彼と初めて出会ったのは小学2年生の頃で、それ以来冬になるとたびたびこちらへと足を運んでくるようになった。 幼かった頃よく一人で留守番をしていた自分を慰めてくれた存在だ。

2014-12-25 00:31:49
病み過ぎた兄モジュbot @yandereKmodule

時が経ち二人とも大きくなったとしても、彼は冬を伝えるかのように自分の元へ来て他愛無い話をする。夏は暑くて困ることや姉妹たちが冬になる度元気にはしゃいでたりと彼もなかなか大変らしい。 話の他にも二人で手を繋いだり頭を撫でたりとスノーはとにかくスキンシップが好きである。雪の精なのに。

2014-12-25 00:36:50
病み過ぎた兄モジュbot @yandereKmodule

「あの、ね…きみは、昔のことどれぐらい覚えてる?」 先ほどまで笑っていたスノーが遠慮がちに聞いてくる。それなりにと答えれば「じゃあね」と雪の精なのに顔を少し赤くしてこう聞いてきた。 「昔僕とした約束…覚えてる?」 『覚えてる』 『覚えてない』

2014-12-25 00:43:36
病み過ぎた兄モジュbot @yandereKmodule

スノーの言った約束―もしや小さいころに言った、「大きくなったら結婚する」というあれのことだろうか。 試しに聞いてみると彼は瞳を輝かせ何度も頷いた。 「よかった、覚えててくれたんだね…そう、今度のクリスマスにその約束を果たそうと思ったんだ。長い間待ちくたびれちゃったよ」

2014-12-25 00:53:31
病み過ぎた兄モジュbot @yandereKmodule

とは言われてもあまりにも急だし、その日には実は約束を入れてしまっていた。どうにかその案件を伝えようとしたが彼は自分の返答も聞かず目の前から消え去っていた。 もしあの人と出くわしてしまったらひたすら謝ろうと心に決め、ちょっと変わった格好をした彼女のいる場所へと歩を進めた。

2014-12-25 00:57:44
病み過ぎた兄モジュbot @yandereKmodule

「ああ、お前か…ちょうどよかった、その…『くりすます』についてなんだが」 彼女の名前は『ブレイジング』。一風変わった名前でどこ出身なのかも良く分からない女性ではあるのだが、別に彼女自身悪いことをしたわけでもないし、何より彼女は自分が不良に絡まれている所を助けてくれた命の恩人だ。

2014-12-25 01:02:26
病み過ぎた兄モジュbot @yandereKmodule

「やっぱり僕と一緒に歩くなんて嫌なんじゃないのか?…『くりすます』は男と女が一緒にいる日なんだろ」 ふいっと視線を逸らすブレイジング。そんな彼女にこう答えた。 『私と一緒に歩くのは嫌?』 『我慢してください』

2014-12-25 01:06:00
病み過ぎた兄モジュbot @yandereKmodule

もしかして彼女は自分と歩くのが嫌で遠ざけているのだろうか?もしくは人混みが多いその日を嫌っているのかもしれない。 人混みについては多少我慢してほしいと答えた。 「そうじゃなくて…いや、いい。25日待っててくれ、必ずお前の元へ行くから」

2014-12-25 01:34:23
病み過ぎた兄モジュbot @yandereKmodule

そう言った彼女の瞳には何か強い思いが込められているような気がした。彼女の名前にふさわしいような燃え盛る熱い思いが。 「…君を連れ去ってしまうようなやつは、この手で消さないといけないんだ」 去り際に何かを呟いたようだが、自分にはあまり聞こえなかった。

2014-12-25 01:38:12
病み過ぎた兄モジュbot @yandereKmodule

それから数日経った24日の夜、寝床に入りながらふと二人のことを思い出していた。 『ずっと昔にした約束を果たそうとしているスノー』か、 『今した約束を果たそうとしているブレイジング』か。 自分はどちらを選ぶべきなのだろうか…?

2014-12-25 01:43:27
病み過ぎた兄モジュbot @yandereKmodule

『いつか大きくなったら結婚しよう』 今思えば人ならざる者の彼と結婚などできるはずがないのだ。戸籍だってないだろうし何より彼は自分以外の人間には見えないのだから。 どうしてそんな約束をしてしまったのか―少し過去を遡ってみることにした。

2014-12-25 01:53:44
病み過ぎた兄モジュbot @yandereKmodule

あれはどんなに遅い時間になっても帰ってこない両親を待っていた時のこと。あまりにも寂しくなって自分は家の外に出て二人を待つことにした。外はとても寒くて、誰も自分の傍にいてくれなくて悲しくなってついには大きな涙をこぼして泣き始めてしまった。 その時に、後ろから声がかけられたのだった。

2014-12-25 01:58:02
病み過ぎた兄モジュbot @yandereKmodule

「どうしたの?なんで泣いてるの?」 自分より幼い男の子の声が聞こえて振り向けば、雪みたいに真っ白なコートを着た男の子がそこにいた。変な人じゃなかったことにほっとして自分の境遇を話し始めると彼は、「そっかぁ、それはかなしいよね」と頭を撫でてくれた。

2014-12-25 02:02:54
病み過ぎた兄モジュbot @yandereKmodule

手袋のはめられた手からは不思議な温かさが伝わってきて更に泣き出した自分を見て、スノーはどうすればいいか分からずに結局彼も半べそをかきはじめた。 しばらくして泣き止むと涙にぬれた顔で彼はこう言った。 「じゃあ僕がそばにいるよ。それならかなしくないでしょ?何があっても僕がいるから」

2014-12-25 02:07:51
病み過ぎた兄モジュbot @yandereKmodule

ふわりと笑ったスノーの顔を見たらそれでいいいかな、なんて思ってしまってそのまま手を繋いで二人一緒に真っ暗な空を眺めたり話をした。その内に両親が帰ってきて外に出て待っていたことを叱られた。一人で外にいたら危ないだろうと怒られたのでこの子も一緒だよなんて言っても信じてもらえなかった。

2014-12-25 02:12:58
病み過ぎた兄モジュbot @yandereKmodule

あれは夢だったのかな、と思っているとその次の留守番の時もスノーはやってきて時間を共に過ごしてくれた。飽きることなくそばにいて手を繋いで、時々頭を撫でて。 その内に自分は彼のことが好きになっていたのかもしれない。だからあんなことを言ってしまったんだろうと思う。

2014-12-25 02:16:34
病み過ぎた兄モジュbot @yandereKmodule

結婚はできない。その内に私にだって好きな人ができてするんだろうから。だからその前にもう一度だけ、彼と話が出来たらいいなと思って瞼を閉じた。小さかったあの頃みたいなことが続けばいいと思った。

2014-12-25 02:20:22
病み過ぎた兄モジュbot @yandereKmodule

「おきて」 いつかのようにあの声に導かれるように瞼を開けると、淡い光をまとったスノーが枕脇に座っていた。表情にはどこか疲労の色が見える気がするが何かあったのだろうか。 「来てほしい所があるの、だから僕の手をとって」 その声があまりにも辛そうで、思わず差し出された手を握った。

2014-12-25 02:25:09
病み過ぎた兄モジュbot @yandereKmodule

次の瞬間、まばゆい光が視界をおおって目を背けてしまった。それでも握った手は離さずにしっかり取られたままだった。 次に目を開けたときは、辺り一面に白い花が咲き乱れている花畑の中心にいて、自分は真っ白なドレスのようなものを身にまとっていた。その近くにスノーの姿はない。

2014-12-25 02:29:23
病み過ぎた兄モジュbot @yandereKmodule

不安になって辺りを見回していると後ろからゆっくりした足取りでスノーが歩いてくるのが見えた。その姿にほっとして駆け寄ると彼は困ったように眉をひそめた。 「新郎入場のつもりだったんだけどな、新婦まで来ちゃったら意味無いじゃない」

2014-12-25 02:33:23
病み過ぎた兄モジュbot @yandereKmodule

「でも二人で入場も僕たちらしくていいかな、行こう?」 紡がれた言葉の数々で察する。これはスノーと叶わない結婚式をしようとしてる夢なんだと。それだけ自分は彼のことが好きなんだなと苦笑しつつも白い花畑の中を二人で歩いた。参列者はいない、二人だけの結婚式だ。

2014-12-25 02:37:10