茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第1405回「ほんとうは、言うことは 何もない」
脳科学者・茂木健一郎さんの1月17日の連続ツイート。
本日は、きのう出会った光景。
- toshi3636_1
- 3309
- 0
- 0
- 1
茂木健一郎
@kenichiromogi
昨日、大相撲が大詰めを迎えるときに、タクシーに乗っていた。ラジオで、NHKの中継が流れていた。逸ノ城が勝って、遠藤が健闘し、大いに盛り上がる。そんな中、殊勲の力士が、インタビューを受ける。その話しぶりを聞いていて、なんだかとてもうれしくなってしまったのである。
2015-01-17 08:48:19
茂木健一郎
@kenichiromogi
力士は、何を聞かれても、素っ気なくしか答えない。「あの取り組みは何を心がけましたか?」「はい、とにかく前に出て、思い切り行こうと思いました」「これからの抱負を聞かせてください。」「はい、とにかく、一番いちばん、よい相撲をとるよう、がんばります。」素敵だよね、大相撲の力士さん。
2015-01-17 08:50:22
茂木健一郎
@kenichiromogi
力士は、身体を張って土俵でがんばっているのであって、評論家ではない。だから、本当は、取り組みについて、言うことは何もないのだと思う。「はい、親方の言うとおり、一生懸命やりました」それ以上でも、それ以下でもない。その間合いが素敵で、力士のインタビューは思わず聞き惚れてしまう。
2015-01-17 08:51:36
茂木健一郎
@kenichiromogi
どんな分野でも、作品がすべてで、結果が何もかも物語っていて、それ以上は、何もいうことがない、ということがほんとうなのだと思う。特に、相撲は、土俵の上があまりにも厳しい、まったなしの世界だから、土俵を下りたときに、言うべき言葉などは、本当はないのだろう。
2015-01-17 08:52:40
茂木健一郎
@kenichiromogi
インタビュワーは、それが仕事だから、あれこれと力士に聞く。それに対して、力士が、行きを弾ませながら、「とにかく前に出ました」「一生懸命やりました」と、言葉少なに語るあの間合いは、日本が誇るべき文化のひとつだとさえ、思われるのである。
2015-01-17 08:53:51