＃鎮守府ソドム　新入り駆逐艦春雨の場合

大渡　鴉@ミント母の息子 @oowatarikarasu

鎮守府ソドム概要 ①……当施設は矯正用治療施設です。 ②……基本的にどなたもご利用出来ます ③……特に以下の方々に有効です(提督に反抗的な艦娘・命令違反した艦娘・従順にさせたい艦娘・扱いに困っている艦娘・艦娘への罰則用) ④……料金は大変リーズナブルです #鎮守府ソドム

大渡　鴉@ミント母の息子 @oowatarikarasu

鎮守府ソドム概要 ⑤……鎮守府ソドムは俗称であり、正式名称は「艦娘用矯正治療院」となります ⑥……スタッフが温かく出迎えてくれます ⑦……なお当施設における事故については、当施設は一切責任を負いませんので悪しからず #鎮守府ソドム

大渡　鴉@ミント母の息子 @oowatarikarasu

鎮守府ソドム概要(提督用) ※機密 ①……返却時、艦娘の生死は保障しない ②……返却時、艦娘の貞操は保障しない ③……返却時、艦娘の肉体は保障しない ④……返却時、艦娘の精神は保障しない ⑤……ただし艦娘を返却希望か処理希望かは選択できる #鎮守府ソドム

大渡　鴉@ミント母の息子 @oowatarikarasu

鎮守府ソドム概要(提督用) ※機密 ⑥……艦娘保有、及び艦娘の持つ全権限は受け取り次第こちらにあるものとする ⑦……以上を了承し、書類に印を押した瞬間から、この契約は有効とする #鎮守府ソドム

大渡　鴉@ミント母の息子 @oowatarikarasu

鎮守府ソドム概要(提督用) ※機密 なお、この書類は記入次第即座に廃棄されたし 鎮守府ソドム #鎮守府ソドム

大渡　鴉@ミント母の息子 @oowatarikarasu

鎮守府ソドム概要(提督用) ※機密 なお、この件が露見した場合の一切の責任は、当鎮守府は負わないものとする。 #鎮守府ソドム

大渡　鴉@ミント母の息子 @oowatarikarasu

「今日、は、だ、れ、に、し、よ、う、か、な～」 ソドム提督が辺りを見回すと途端に艦娘達は身を震わせ目を反らした。頭に浮かぶのはただひとつきり、すなわち『どうか自分ではありませんように』という、それは最早祈りだ。 #鎮守府ソドム

大渡　鴉@ミント母の息子 @oowatarikarasu

「そういえば随分新しい顔が増えたなあ」 新たに建造、或いはドロップしてきた艦娘達はまだ自分が何をされるのか知らない。が、知らないということが、そして失禁するほどに怯える先達の姿がより一層の恐怖を煽る。 #鎮守府ソドム

大渡　鴉@ミント母の息子 @oowatarikarasu

ソドム提督は一人の艦娘に狙いを定めたようだった。ゆっくりと軍靴を鳴らしとある駆逐艦の前で止まる。 「あ、あの……あの……ぎひっ！？」 突如髪を掴まれ悲鳴を上げる。 ズルズルと引きずられ部屋から連れ出された、その駆逐艦の名は春雨 #鎮守府ソドム

大渡　鴉@ミント母の息子 @oowatarikarasu

「あ……あ……」 「お前、名前は？」 応えられない。否、口が震えて言葉にならないのだ。 蒸せかえるほどの鉄錆びの臭い。壁や床どころか天井にまで飛び散った何かの染み。使用用途を想像したくもない道具の数々。 そこは容易に物質化した地獄だった。 #鎮守府ソドム

大渡　鴉@ミント母の息子 @oowatarikarasu

「な」「イ゛ぎっ！？」 髪を捕まれ 「ま」「ごがっ！？？」 床に叩きつけられ 「え」「ひ゛ぐぃぃぃ！！！」 そのまま床を拭くように 「だ」「あぶぁ……」 最後に顔を上げさせられる。 #鎮守府ソドム

大渡　鴉@ミント母の息子 @oowatarikarasu

「あぶっ…ばぁ……は゛る゛さ゛め゛！は゛る゛さ゛め゛でずぅ！」 鼻からダラダラと鮮血を滴らせて応える。 「はるさめ？っぷ！ あはははは！なんだその腹も膨れないような間抜けな名前は。あはははは！春雨？あはははは！」 「う゛う゛う゛～！！！」 #鎮守府ソドム

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悔しかった。自分の名を嘲笑われて。 春雨の脳裏に過去の、船だった頃の記憶が甦る。自分に携わってくれた人達が一生懸命想いを託してつけてくれた誇り高き名。それを汚された気がした。 「う゛う゛う゛～！！！」 うなり声と視線にそれを込め、提督にぶつける #鎮守府ソドム

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「う゛げっ……！」 腹を蹴飛ばされ地面を転がる。 「いい目だ。やはり初物はこうでなくては……ん？」 ソドム提督の目に地面に転がったそれが目に入った。 「中々いいものを持ってるじゃないか」 亀裂のような笑みが走る。 #鎮守府ソドム

大渡　鴉@ミント母の息子 @oowatarikarasu

「あっ……ぐ？？？ なに？ なんで真っ暗なの？」 気絶から目覚めた春雨は周囲が暗闇に閉ざされているのに気付いた。夜になってしまったのか？そんなになるまで気絶していた？いや、それにしては光一つ見えないのが変だ。 #鎮守府ソドム

大渡　鴉@ミント母の息子 @oowatarikarasu

「皆？どこに……痛っ！」 手探りで動こうとして、動けないことに気付いた。そして手首に走る鋭い痛みと違和感にも。 「無理に動かさない方がいいぞ」 ソドム提督の声がする、やけに遠い。 「その手錠は特製でな、少し緩めに作ってはあるが中にカミソリが仕込んである」 #鎮守府ソドム

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「動かすほどに肉に食い込むぞ？」 「ひっ……」 だが春雨に確認する手段はない。何せ何も見えないのだから。 いや……段々とわかってきていた。 相手の声は遠く、自分の声だけが響く。吐息が跳ね返って自分にかかる。妙な息苦しさ。これは…… #鎮守府ソドム

大渡　鴉@ミント母の息子 @oowatarikarasu

「そうだ」とソドム提督は見越したように言った。 「中々いいものを持っていたのでな。使わせてもらったよ」 やはり、自分の顔は、頭は今何かが被せられている。そしてそれはいつも自分が持ち歩いていた輸送用のバケツにちがいない。 #鎮守府ソドム

大渡　鴉@ミント母の息子 @oowatarikarasu

カンッ カンッ 何か金属質の音が聞こえる。 「なあ、春雨。俺が一番好きなものが何か……わかるか？」 「？！」 「解ったらこのまま皆のところに帰してやる」 そんなこといっても着任して間もない春雨に、只でさえマトモではない男の好きなものなどわかるはずもない #鎮守府ソドム

大渡　鴉@ミント母の息子 @oowatarikarasu

カンッ カンッ 「わかっ……りま…せ……ぐしゅ」 恐怖から遂に泣き出してしまう春雨。 「答えはーー……」 カンッ カンッ 「ベースボールだ」 「？？？」 カンッ カンッ #鎮守府ソドム

大渡　鴉@ミント母の息子 @oowatarikarasu

「一人の男がバッターボックスに立つ。彼は孤独だ。だが彼の後ろには十人の仲間が控えている」 「？ ？ ？ ？ ？」 意味がわからない。 彼が何を言いたいのか。何を言っているのか 春雨には理解できない。 「チームワークだよ」 「？ あ、あの……？」 #鎮守府ソドム

大渡　鴉@ミント母の息子 @oowatarikarasu

「………なんだ、お前アンタッチャブルを知らないのか？」 「え？！ あ……は、はい……」 「見るといい、あれはいい映画だ……ぞ！！！」 ゴガッ！！！という爆音が耳元で炸裂した。 「～～～～～～～っキヒィアァァアアアアアアア！！！」 #鎮守府ソドム

大渡　鴉@ミント母の息子 @oowatarikarasu

「あ゛ーーー！！！あ゛ーーーー！！！あ゛ーーー！！！」 頭がガンガンする。何も聞こえない。 「凄まじいだろう？密閉された空間での爆音は！」 ゴガッ！ 「キ゛ひぃ！？」 再び爆音。そして衝撃。 そう、ソドム提督は春雨の頭に被せたバケツを殴っていたのだ。金属バットで #鎮守府ソドム

大渡　鴉@ミント母の息子 @oowatarikarasu

頭の芯まで響くような衝撃。耳を走る激痛。爆音が平衡感覚を狂わせ足元がもつれる。 「ぶぁーぶぁーぶぁーぶぁー、ぶぁー♪」 カンッカンッと再びあの音が響く。今なら解る、あれは準備している音。床を金属バットで打ち鳴らしながら、これから始まる処刑を教える鐘だ #鎮守府ソドム