ダンジョン変第1話『謎のおでん屋』

自作小説ダンジョン変 @dungeon03hen

そう、男の服装は一般的な学生の制服でも、不良が着るような改造品でもない。

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上下ライン一つない真っ黒なジャージに、段ボールにアルミホイルを貼って作ったチェストプレートと、ショルダーアーマーが付けられている。そして頭には二本の角のついた何かの動物の頭蓋骨を模したようなヘルメットを被っている。 pic.twitter.com/lv0uxxNSwC

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彼の通う学校は私立の中学校で、確かに私服で通うことが認められている。しかし、もちろん彼のような格好をする生徒は他にはいない。明らかに浮いている。浮きすぎている。

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「君はホントに変わっているね。」そう呟いた店長の瞳が一瞬赤く光り、何かの紋章の様なものが浮かび上がったことに男は気付いていなかった。

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男は突然猛烈な眠気に襲われた。薄れゆく視界。店長が男の手に何かを握らせ、呼び掛けている。

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「...たら...を食べろ...聞こえるか！...向こうについたら、そのタカオ豆を食べろ！」

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男は気を失う寸前に確かに見た...店長の赤く光る瞳を...

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(それで、気が付いたら、ここにいたんだ...)男は自分の手のひらを見つめている。そこには一粒の豆があった。

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大きさは空豆くらいだが、見たことのない種類だ。土のような茶色で表面にはまるで人の顔のような模様が浮き上がっている。 pic.twitter.com/nrS2CIbdtZ

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((向こうについたら、そのタカオ豆を食べろ！))店長の声が頭のなかで甦る。

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（これが、タカオ豆なのか！？じゃあ、店長の言っていた『向こう』っていうのは...)

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「うあああああ！！！？？？」何ということだろう！タカオ豆を持つ男の手は透き通り、向こうに広がる草原がうっすらと見えているではないか！

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手だけではない彼の全身が徐々に透明になっているのだ！男はパニックに陥り絶叫する。

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そのとき！「食べろっていってんだろー」何者かの声が聞こえてくる！

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「...え？」辺りを見回すがあるのは異様な塔と一本の道だけだ...「ここだよ、ここー」なんと！声は男の手の中から聞こえてくるではないか！

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「お前なのか...！？」「お前じゃねーよー、タカオ豆だよー。さっさと食えっつってんだろー。さもないと、お前、存在感が極薄になるぞー」

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「うあああああ！！！？？？豆がしゃべった！？」あまりの恐怖に腰を抜かし男は倒れる！

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そのとき！男の手から投げ出された豆が宙を舞い、ゆっくりと倒れた男の方へと落ちてくる！そのポカンと開いた口の中へ！

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コリッ！ゴクン！男はタカオ豆を飲み込んだ！すると、摩訶不思議！男の体は元の透け通ることのない正常なものに戻っていたのだ！

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「なんなんだよ！！」男は叫ぶ。目の前には一本の道。(行くしかないのか...！！！)男は異様な塔へと歩き始めた。 第一話『謎のおでん屋』終わり 【to be continued...】