短編【Yellow】

pe-ko @Peko8_m

「もうすぐ、誕生日やろ？」『うん、先に30歳になっちゃう…。なりたくないな…』「そんなこと言っても、俺ももう少ししたら、30歳やろ。これからも、一緒に歳を重ねて行くんやから。お互い、残り少ない20代の時間、楽しも。な？」と手を握ってハニカミながらプロポーズ紛いな発言をする錦戸亮。

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あーぁ。 俺、折角のオフやのになんであいつ仕事なんやろ。 ホンマはクッションやなくて、あいつをギューってしながら、ゴロゴロしたかったんやけどさ… なんやねんなもぅ… pic.twitter.com/lx4aNWvSMr

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いつも乗ってるサーフボードから、今日はスノーボードに乗り換える「ゲレンデが俺を呼んでんねん！」ってやって来たスキー場。やっぱり、白銀の世界は女の子を3割り増しで可愛く見せるわ♡って思う俺やけど、実際はスノボは初めてで、初心者講習なんて受けてもうてる始末。海上なら…って思いながら、

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仕方なく講習を受ける。一緒に来た大倉は経験者やから、バンバン滑って、女の子から黄色い声援浴びとる。俺も早よ、あの位置に行きたい…と思う。せやけど、この初心者向けのコース、女の子が多いな…って思ったら、インストラクターがイケメン（俺ほどやないけどな）。爽やか（俺ほどやないけどな）。

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コースへ出ていざ練習ってなったら、案外、上手に滑れとって自画自賛。後方から「どいてくださーい」って叫び声に振り向くと、女の子が俺の方に向かってやって来る。ベタな展開過ぎるやろ。よく見ると、好みのタイプ…？それとも、3割増の魔力…？ここはキッチリあの子を受け止めてかっこええところを

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見せつけたる！なんて、思ってたのに…支えきれずに思いっきり、向かって来た女の子と2人で転んだ…とこまでは覚えとるんやけど…目を覚ますと宿泊してるペンションのベッドの上で。椅子に座って気まずそうにこっちを観てる女が居る「…大…丈夫ですか？」3割増で可愛いとか言うてたけど、撤回する。

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普通に可愛いって言うより、かなり可愛い。俺好みやん♡身体がズキズキ痛むけど。えぇ子に当たった♡「怪我は…大丈夫ですか？」ベッドに横たわる俺と同じ目線に合わせて聞いてくる。長い睫毛に黒目がちのまん丸の瞳に大きい目…「え…、あ、おん。大丈夫やで。それくらい」うん…なんか恥ずかしいわ。

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「インストラクターさんが、応急処置はしてくれたみたいなんですが、軽く、脳震盪起こしてたみたいだし、病院に行った方が…。それから、少ないですけど、病院代の足しに…」といくらかのお金を差し出されて「お金は要らんゎ。その代わり、あんたの連絡先、教えてくれへん？」これはまたベタな展開で。

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と、少し照れた顔をしながらのお得意のハニカミSmileをしながら、教えてもらった彼女の連絡先。彼女を落とせる自信があったのは…その時だけ。まさか、彼女の彼氏があの人やって知ってしまったから。こんな偶然もあるんやなぁ…。せやから、結局、俺が付き合ったのは、中身が空っぽの美人やねん。

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しかも、章ちゃんに振られた女。ちょっと優しくしたら、直ぐに付いて来てん。せやから、中身ないって言うてんねん。優しくされたら、誰でもえぇんやろ？と思うんやけど、ゲレンデで彼女にぶつかった傷口が日々癒えて行くのと同じように、そんな風に思っとるのに彼女を気になっていると思う俺も居るし…

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それなのに…今まで、素っ気なかったゲレンデの彼女からのLINEの返信がやけに早いし、こっちから送らないと来なかったLINEは向こうから一方的にやってくる。今までとちゃう。“私もそれ好きですよ”だったのが“私もそれ好き♡”語尾に♡どうしたんやろ？彼氏と…すばるくんと…何かあったん？

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俺の気持ちは揺れ動く。すばるくんロッテルダム行ったり、ソロライブに…忙しいから…構ってもらえなくて、さみしいだけなんやろ？だったらと思って「なぁ、今晩は暇なん？」飯を食いながら、話しを聞くだけやったら、ええかな？って思った…。せやけど…あんたは、ホンマに何を思って、俺に近づくん？

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俺の隣で、裸でスヤスヤと寝息を立てる彼女の寝顔を見ながら、タバコを吸いながら、思う。なぁ、やっぱり俺はすばるくんの代わり？身体だけの関係？それとも…？しまいかけようとしていた気持ちの扉が少しずつまた開こうとしとるのがわかる。あかんな… pic.twitter.com/KXDlbaBJQC

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① 「なぁ、もうすぐ誕生日やん？なんか欲しいもんあるん？」仲間内での飲み会。たまたまあいつの隣の席になった「どういう風の吹き回し？」って言いながら大笑いされる。俺らはずっと仲のいい友達で付かず離れず、ずっと微妙な距離を保ってきた「そんなこと言うたら、何もやらんからな」って言うたら

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② 「なんでも良いの？」「流石に、マンションとか車とか高いもんはあかんで？」って言うたら。少し顔を赤らめて、俺にしか聞こえないような小さな声で「亮ちゃんが欲しい…かも」って言われて驚いてグラスを落とす。テーブルの上に勢いよく溢れ拡がるビールに焦るよりも、彼女からの気持ちに焦る俺。

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③ 周りに“何やっとんねん！”ってビールを溢したことに言われとるのに。彼女の俺に対しての気持ちに言われとるような気がして“別に、何をしとらんわけやないねん！”ホンマに俺と彼女が同じ気持ち持っとったってわかったら、ますます照れ臭くなってくる。隣で俺が溢したビールを拭く彼女を見たら、

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④ なんかバツの悪そうな顔して、俺と顔を合わせんようしとるし「亮ちゃん、溢したんだから、ちゃんと拭いてよ」ってその場を取り繕うような会話「ちょっと、拭くものもらって来る」って席を立ったあいつを追う「亮ちゃん、別についてこなくて良いよ」「さっきの意味ちゃんと説明してもらお思ってな」

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⑤ 「さっき、驚いてジョッキ落としてもーて。ごめんな。それって、こういうことやろ？」って人目のつかないところで、硬直しとる彼女を抱き寄せた「せやけど…。別に誕生日プレゼントやなくたって、お前にやったら、いつでも俺の全部、くれてやるゎ」 pic.twitter.com/y5RySH7rgO

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