「フジ・サン・ライジング」 #2

B・ボンド&P・モーゼズ作。ネオサイタマを舞台としたサイバーパンク・ニンジャ活劇「ニンジャスレイヤー」の私家翻訳物 詳細はこちら http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「もう十分だーッ!!!」ディンタキ=サンは鼻血を噴出させた!そして膳の盆を両手で掴むと、怒りに任せてひっくり返した。「キロバキーッ!犬にも劣る畜生めが、ワシの手を噛もうてかーッ!!」

2010-11-24 01:24:27
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「アイエエエ!」秘書が主の激怒を恐れて尻餅をつき、メガネを取り落として失禁した。女はディンタキを見据えた。「いかがですか、余興になりまして? 付け加えておくと、私の貞操は守られましたわ。あの直後に退席しましたから」

2010-11-24 01:28:48
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「十分すぎるほどの余興であったわ!」ディンタキは流れる鼻血を拭おうともせず、歯をむき出して怒った。「礼を言っておこうスチュワーデス=サン。……貴様は何者で、何のためにこれを?」

2010-11-24 01:36:51
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

女は静かに、「私はソウカイ・シンジケートに敵する者とだけ。……ディンタキ=サン、明日のカンファレンスに臨むにあたって、今お見せした事実をよくお考えになって」携帯端末のディスプレイは酒池肉林の地獄図からエンガワへ抜け出す視点を流している。

2010-11-24 01:38:31
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

女は『初心』を停止させようと画面を覗き込んだ。映像の終わり際、エンガワの下に膝まづいた姿勢で待機する黒装束のニンジャが一瞬映っているのを認め、女は眉をひそめた。ディンタキはいまだ怒りさめやらず、「奴め。明日は己のハイクの技量をセプクのために使うことになろうぞ」呪詛を吐き続けた。

2010-11-24 01:43:07
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ディンタキは背後を振り返った。「それ、できないです、ディンタキ=サン」声はファーストクラス茶の間の隅に敷かれたフートンの中からだった。SP二人がそちらへアイキドーの構えを取った瞬間、「イヤーッ!」フートンが跳ね上がり、禍々しい影が飛び出した!

2010-11-24 01:53:03
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

影が目の前を横切り、反対側の壁際へ着地したとき、既にその二人のSPの命は無かった。首がぱっくりと割れ、噴水のように鮮血が噴出。天井を汚す。「スパシーバ!」影はディンタキに向かってゆっくりとオジギして見せた。ガンメタル色の……ニンジャ装束である!

2010-11-24 01:59:00
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「アイエエエエ!」秘書が腰を抜かし、再失禁した。ニンジャはゆっくりとオジギを終えると、ロシア訛りの日本語で言った。「オーチン・プリヤートナ、ディンタキ=サン。サボターです。あなたここで死ぬことになっています」

2010-11-24 02:00:13
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(「フジ・サン・ライジング」#2 終わり。#3へ続く

2010-11-24 02:00:45